碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ドラマ『ハゲタカ』と映画『ハゲタカ』

2009年05月05日 | テレビ・ラジオ・メディア
やるなあ、NHK。

ゴールデンウイークに、『ハゲタカ』全6話を3日連続で再放送。

みんながみんな、1000円高速で“お出かけ”しているわけじゃない。“自宅レジャー”の人も多いのだ。

ここで面白い連続ドラマを一挙放映ってのは、視聴者の“ニーズ”に応えていたりする。

何しろ『ハゲタカ』である。

第33回放送文化基金賞・テレビドラマ部門「本賞」。主演の大森南朋さんの「出演者賞」。

第44回ギャラクシー賞「優秀賞」。「マイベストテレビ賞グランプリ」。

第6回放送人グランプリ「特別賞」。

そして、国際番組コンクール「イタリア賞」も受賞した。

ここ数年間のドラマの中ではピカイチだったのだ。

これまでも何度か再放送はあったが、見るたびに面白いし、再発見もある。

「一緒に日本を買い占めましょう。甘ちゃんのこの国を」

そんな台詞が、今だから、なおさら“効いて”くる。


さて、これだけ評判をとったドラマなのだから、続編が望まれるのは当然だ。

そのうち制作されるかも、と思っていたら、昨年、“映画化”決定の知らせ。

そうか、そうきましたか。

かつての「踊る!大捜査線」から「相棒」まで、ヒットドラマ→映画化の図式は民放のお家芸みたいになっていたが、ついにNHKも進出したわけだ。

公開は、6月6日。

元々は5月の予定だったが、例のリーマンショックという、フィクションを凌ぐ“すごい現実”が起きてしまったため、軌道修正に時間を要したという。

「ドラマから数年が経過した日本を舞台に、日本の基幹産業・大手自動車メーカーに買収を仕掛ける中国系ファンドと天才ファンドマネージャー・鷲津政彦が繰り広げる激しいマネー戦争」である。

主演はドラマと同じ大森南朋さん。監督の大友啓史さん、プロデューサーの訓覇圭さん、そして脚本の林宏司さんもドラマのメンバーだ。

これが嬉しい。

もちろん映画も楽しみにしている。公開されたら、すぐに映画館に行くつもりだ。

ただ、個人的には、本当は「テレビで、ドラマとして、続編を見たかった」という思いがあるのも事実。

NHKが展開する多角的ビジネス、いや“事業”ということでは、映画事業もその一環にすぎない。当然の流れ、ではある。

でも、ドラマ『ハゲタカ』を楽しみ、支持してきた“テレビの視聴者”のすべてが、映画館に足を運び、入場料を支払ってこの作品に接する“映画の観客”になれるわけではない。

願わくは、映画公開から出来るだけ早い時期に、NHKで、テレビで放映して欲しいな、と思う。

まあ、気が早い話ではありますが。

さて、ドラマ『ハゲタカ』。

映画公開へ向けて、最高の“前宣伝”であり、“露払い”でもある連続放映は、明日6日が最終日だ。


ハゲタカ(上) (講談社文庫)
真山 仁
講談社

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