碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

ゴスペラーズの北山陽一さんと、慶応SFCで

2015年10月11日 | テレビ・ラジオ・メディア


慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)が25周年を迎えました。

私が、このキャンパスの教壇に、初めて立ったのは1994年。

まだ卒業生が出ていませんでした。

以後8年間を教員として、最近の10年は保護者(父兄)として、SFCに通ってきました。



10日(土)はSFC秋祭で、25周年記念式典も同時開催。

村井純先生(現・環境情報学部長)や、斎藤信男先生(元・環境情報学部長)にお会いできただけでなく、記念コンサートでゴスペラーズの北山陽一さんにも会うことが出来ました。





北山さんは、私の授業の受講生でしたが、すでにゴスペラーズの活動で忙しく、なかなか授業に出られず、しかし、私の授業の単位がなかったら、卒業できないということで(笑)、最終的には「特別レポート」を提出してもらい、単位を出しました。

これにより、私は北山さんの「恩人」(北山さん談)となってしまい、現在に至っております。

以前、ゴスペラーズの札幌公演の際などに、現地で会ったりしたのですが、今回はミニコンサートの会場となった、懐かしい「シータ館」での再会となりました。

現在、北山さんは、特別招聘(しょうへい)講師として、この母校で音楽系の授業を担当中。

今年9月にSFCを卒業したトリンドル玲奈さんも、北山先生の授業をとっていたとか、いなかったとか・・・。




ちなみに、上の2ショット写真を撮ってくれたのは、新婚である北山夫人(さだまさしさんの長女でピアニストの佐田詠夢さん)です。

遅ればせながら、「北山君、結婚、おめでとう!」





かつてのゼミ生とも遭遇





北斗晶さんに投資を勧める「投資家・松居一代」、その違和感

2015年10月10日 | メディアでのコメント・論評



発売中の「週刊新潮」最新号に、北斗晶さんに投資を勧める松居一代さんに関する記事が掲載されました。

この記事の中で、解説しています。


闘病「北斗晶」に
投資を勧める「松居一代」

「5年後の生存率は50%と告げられました・・・」

乳がんのため右乳房全摘出手術を受けたタレントの北斗晶(48)が退院直後に会見を開いた。

「元気な“鬼嫁”になって、またテレビに出たい」

と力強い復帰への意思表明は、さすがに元プロレスラーと思わせるもので、がんの告白時から多くの友人たちより励ましの声が上がった。

リングの先輩である長与千種は“彼女をなにがあっても助けたいし、負けさせたくない。負けるなよ!”。

お笑いタレントの松嶋尚美は“病気と闘っている方に、『頑張ってください』はNGワードだと聞いたことがあるのですが・・・(中略)でも、やっぱり・・・頑張ってください!!!”などなど、それぞれがブログやツイッターに綴っている。

だが、ひとり違和感のあるブログが松居一代(58)。

術後の病室を訪ねたことを公表しているのだが、“私には34年のキャリアをもつ投資家としての顔があります/ここは一肌脱いで/「投資家松居」として北斗家にハッピーになっていただきたいですね(中略)北斗さんは、投資家としても成功されるような予感がします”と投資を勧めるメッセージ。

「北斗さんを心配しているとアピールしつつ、自分の資産形成の技を自慢しているかのよう。こんな時に言うことかと思う方が大半と思いますし、それを客観視できない松居さんに違和感を覚えるのでしょう」とは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)だ。

見舞いには、“ちょうど”発売したばかりという著書『松居一代の開運生活』も持参したらしい。だが、それらは北斗のブログには一言も触れられていない。

商売熱心もほどほどにしないと、運も逃げますよ。

(週刊新潮 2015.10.15神無月増大号)


・・・・松居さん、今度は「(松居さんの)夫で俳優の船越英一郎と、先月24日に亡くなった川島なお美さんが交際していた過去」を明かしたそうですね。

川島さん本人だけでなく、川島さんの夫にも失礼でしょう。

それに、またも、このタイミングで。

いやはや、何とも。



【気まぐれ写真館】 新校舎建設、進行中 2015.10.09

2015年10月10日 | 気まぐれ写真館


この秋、「深夜ドラマ」が熱い!?

2015年10月09日 | メディアでのコメント・論評



発売中の「週刊新潮」最新号に、この秋の深夜ドラマに関する記事が掲載されました。

この記事の中で、解説しています。


TBSも参戦の「深夜0時」ドラマ熱気

あしびきの 山鳥の尾のしだり尾の――長々し夜を共に過ごす相手は、テレビの向こうにいる。今秋は深夜ドラマが豊富なのだ。

10月2日に先陣を切ったのは、テレビ東京「孤独のグルメseason5」(金曜24時12分~)。松重豊演じる輸入雑貨商が、行く町々でウマいものを食べる様子に、夜食へと誘われる。

「前シーズンまでの深夜バラエティ枠から『ドラマ24』の枠へと移動してきたのですが、ここは長谷川博巳の人気に火がついた『鈴木先生』や、映画がヒットした『モテキ』などを輩出してきた、いわばテレ東の一大ブランド。その冠をつけることで、固定ファンのみならず、新たな視聴者を取り込もうという意気込みが感じられます」(上智大学新聞学科の碓井広義教授)

深夜ドラマは視聴率こそ2~3%だが、ゴールデンではできない“とんがった面白さ”で、若者を掴む傾向があるという。


その旨味は、テレビ朝日「サムライせんせい」(金曜23時15~)、フジテレビ「テディー・ゴー!」(土曜23時40分~)、日テレ「青春探偵ハルヤ~大人の悪を許さない!」(木曜23時59分~)も狙っているが、

「老舗のTBSも新たに枠を設け、本気で深夜ドラマに挑んできました」(同)

というのも、水曜23時53分開始の「おかしの家」は、主演がオダギリジョーなら、演出は映画「舟を編む」の石井裕也監督で、駄菓子屋の跡取りが“本当に大切なもの”を見つめ直す本格的な人間ドラマ。

この長夜は腹が減りそう。

(週刊新潮 2015.10.15神無月増大号)

朝ドラ『あさが来た』で、「宮崎あおいをいびり倒す」萬田久子

2015年10月08日 | メディアでのコメント・論評



週刊ポストに、朝ドラの「いびり」に関する記事が掲載されました。

この記事の中で、解説しています。


「宮崎あおいをいびり倒す」萬田久子
お手本は「泉ピン子の芸風」だって

「嫁に来る宮崎あおいさんをどうやっていじめようかしら。耐えてくださいね」

『あさが来た』の製作発表で、堂々の“嫁いびり”を宣言したのは萬田久子(57)だ。

彼女は宮崎あおい(29)演じるヒロインの姉・はつの嫁ぎ先である大阪の豪商、山王寺家の義母・菊役を演じる。

劇中での登場はまだ先だが、NHK関係者が明かす。

「萬田さん演じる菊は、嫁いできたはつを煙たがり、彼女を暗い蔵に閉じ込めたり、商売が傾くと『あんたが嫁いできてからええことあらへん!この疫病神が!』と罵倒するシーンがある。そのときの萬田さんの演技は、思わず殴ってやりたくなるほど、嫌な感じでした(笑)」

前作『まれ』でも、土屋太鳳(20)演じるヒロインが嫁ぎ先の姑からいびられるなど、最近の朝ドラでは“嫁いびり”が定番。

中でも話題を呼んだののが『マッサン』だ。同作では泉ピン子(69)演じる姑が、スコットランドからやって来た嫁(シャーロット・ケイト・フォックス、30)を「外国人の嫁は絶対認めまへん!」などと強烈に虐げるいびり芸を披露した。その効果もあってか、『マッサン』は平均視聴率21.1%の大ヒット。

そんな“ヒットの法則”にあやかろうとしているのか、萬田はピン子を強く意識していた。製作発表で「いびり役の心構え」を聞かれた際には、「ピン子さんの写真を胸に抱いて臨もうかしら」と挑戦的に答え、「普段から仲良くしないほうがいいのかな」と宮崎を不安がらせた。

ドラマに詳しい上智大学の碓井広義教授(メディア論)が語る

「『マッサン』では、ヒロインがピン子さんのいびりに屈しない姿に共感し、前半戦で視聴者を増やしました。いびりは朝ドラの“スパイス”なんです。ですから宮崎さんが萬田さんにいびられるほど、視聴者は応援して見続けるはずです」


萬田が視聴率を左右するか。

(週刊ポスト 2015.10.16/23号)


【気まぐれ写真館】 朝夕の秋空 2015.10.07

2015年10月08日 | 気まぐれ写真館


見始めたら目が離せない、「家、ついて行ってイイですか?」

2015年10月07日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、「家、ついて行ってイイですか?」(テレビ東)について書きました。


テレビ東京系「家、ついて行ってイイですか?」
深夜ならではのユル~い味わい

テレビ東京で放送中の「家、ついて行ってイイですか?」。「この番組は終電を逃した人に家を見せてもらうだけの番組です」と冒頭で宣言しているが、まさにその通りの内容だ。にも関わらず、見始めたら最後まで目が離せない。

番組は深夜の街角からスタートだ。終電が行ってしまった後、うろうろしている人たちに、スタッフが「タクシー代を払うので」と声をかける。OKが出たら家(部屋)までカメラが同行する。

タレントでも有名人でもない“普通の人々”が、生活感満載の自室で語る“普通の人生”が、とても普通とは思えないほど面白い。これまで単発的に放送されていたが、この秋、堂々のレギュラー番組となった。

先週登場したのは3人。相方との共同生活を続けながら、お笑い芸人を目指す28歳の男性。保育士を辞めてガールズバーで働く24歳の女性。そして映画監督の夢を抱きつつ、アパートの3畳間で暮らす31歳の男性である。

中でも3歳から14年間を施設で過ごしたという3畳間監督の話は、淡々としているのに妙なリアリティがあった。だが、番組はあまり踏み込まない。あくまでも、ちょっと家に寄らせてもらった通りすがりの位置にいる。この距離感がいいのだ。

スタジオ代わりは、お邪魔した一般人の部屋。ビビる大木とおぎやはぎの矢作、そしてゲストがVTRを見ながら語り合う、ユル~い感想も深夜ならではの味わいだ。

(日刊ゲンダイ 2015.10.06)

民放連賞に見る「放送の地域貢献」

2015年10月06日 | 「北海道新聞」連載の放送時評



北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、民放連賞に見る「放送の地域貢献」について書きました。


放送の地域貢献 
「ふるさとのために」追求

先日、日本民間放送連盟賞が発表された。この賞の中の特別表彰部門「放送と公共性」の審査員を務めている。個々の番組ではなく、公共性という意味で際立った放送活動を顕彰するものだ。今年の受賞事績を紹介しながら、放送の地域貢献について考えてみたい。

最優秀は、福井テレビジョン放送『アーカイブスを地域に活かす~「人道の港」番組制作と教育活用~』。「命のビザ」の杉原千畝に命を救われたユダヤ難民たちが、初めて日本の土を踏んだのが敦賀だ。9年前から、彼ら「杉原サバイバー」や当時の市民の証言などを軸に、複数の番組が作られてきた。

同時に、番組という資産を教育の場で活かそうという取り組みも行われている。敦賀市教育委員会と連携し、ドキュメンタリー素材を取り込んだ教育用DVDを共同開発。小・中学校で使用されている。“社会の公共財”としての放送を活用する有効な試みだ。

優秀には4つが選ばれた。まず、福島中央テレビ『ゴジてれChu!Ⅲ部 きぼう~ふくしまのめばえ~の放送による福島での子育て応援キャンペーン』だ。原発事故によって、福島における“子育て環境”は大きくマイナス変化した。特に、地元で出産することへの不安が消えていない。

事故の翌年、夕方のニュース情報番組でスタートしたのが、県内で生まれた赤ちゃんとその家族を紹介するコーナー「きぼう」だ。すでに800人以上の赤ちゃんが登場している。SNSを通じて、全国各地で暮らす県民が慶事を知ることができる仕掛けも嬉しい。

次に、テレビせとうち(岡山・香川)『おばあちゃんの台所プロジェクト』である。地元の素材を生かした、おばあちゃんの手料理。それは美味しいだけでなく、健康食であり長寿食でもある。食材を通じて地域の産物を知り、料理や技を通じて地域の食文化を継承できる。

さらに、新聞や雑誌との連動、番組レシピ本の出版、イベントの開催、ショップの開設など、多彩な広がりをもつプロジェクトへと発展させたことも評価された。

他の優秀は、テレビ新潟放送網『夢を追いかけた少女の26年間の記録「夢は牛のお医者さん」 テレビ番組と自主映画上映活動』。そして、三重テレビ放送『ハンセン病に対する差別解消にむけた報道』だ。

全体として、「ローカル局は、ふるさとのために何が出来るか」という積極的な取り組みと、放送の可能性を広げようとするチャレンジ精神が強く印象に残った。

(北海道新聞 2015.10.05)


もえちゃん、おめでとう!

2015年10月05日 | テレビ・ラジオ・メディア
今年の誕生日に、もえちゃん、TX繁田美貴アナと


山口もえさんと、爆笑問題・田中裕二さんが結婚。

めでたいことです。

山口もえさん、いえ、もえちゃんですね。

この春まで2年間、BSジャパン「大竹まことの金曜オトナイト」で、一緒にレギュラーを務めていたのですが、ずっと「もえちゃん」と呼んでいましたから。



もえちゃん、おめでとう!

もえちゃんが、このブログを、ちょくちょく見てくれているのは知っているので、この場で、お祝いのメッセージです。



田中さんの話は、収録前のスタジオやロビーで、もえちゃんから時々聞いていて、「いつか、上手く行くといいなあ」と思っていました。

決定的だったのは、今年3月の打ち上げパーティの最中に、大竹さんが突然、「もえちゃんが夏には・・・」と発言してしまい、一同大喝采でした。

でも、その時は「みんな、黙っていようね」ということになり、でも、どこかから話が漏れたらしく、私のところにも取材が来ました。

実際は、もえちゃんの隣に座っていたのですが、「遠くの席にいたので、何の話か、聞こえませんでしたよ」と、トボケました(笑)。

夏のはずが秋にはなりましたが、とにかく、無事ゴールイン。

よかった、よかった。

一家4人で、よき家庭にしていってください。

もえちゃん、本当に、おめでとう!




書評本: 野上孝子『山崎豊子先生の素顔』ほか

2015年10月05日 | 書評した本たち



野上孝子さんの『山崎豊子先生の素顔』などの書評を、アップするのを忘れていました。


「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

野上孝子 『山崎豊子先生の素顔』
文藝春秋 1620円

昭和37年、女子大の国文科を卒業した著者は、秘書として就職する。ただし雇い主は、『花のれん』で直木賞を受賞し、『ぼんち』など話題作を発表していた山崎豊子だ。以来52年間、一昨年9月に山崎が亡くなるまで作家活動を支え続けた。

身近にいた人が見た、国民的作家の素顔と創作の秘密。こうした本を手に取る読者の関心はそこに向かうはずだ。著者はそんな好奇心に対して迎合も拒否もせず、自分の目で見たエピソードを淡々と語っていく。

たとえば、「テーマがよければ、それで小説はまず五十点取ったも同然というのが、先生の持論である」といった一文が貴重なのだ。教授選挙と誤診問題を梃子に、大学病院の権威主義や封建制を暴いた『白い巨塔』。魑魅魍魎がうごめく金融界に踏み込んだ『華麗なる一族』。そして中国残留孤児の過酷な運命を描いた『大地の子』と、ハードルの高いテーマに挑み続けた作家だった。

次に興味深いのは、その徹底した取材ぶりだ。これはと思う人物から納得のいくまで話を引き出す。必要なら地球の裏側までも飛んでいく。その様子は、優れたドキュメンタリー番組の制作過程を見るようだ。「私の小説作法は、丸太を斧で割るタイプ。その点、例えば三島由紀夫さんは切れ味鋭いナイフだ」という山崎の言葉も頷ける。

日々の執筆活動のサポートはもちろん、取材旅行では寝食を共にした著者だが、節度ある距離感を保ち続ける。「自分勝手でええカッコしい」だが、「どこか憎めず、チャーミング」だった素顔。また、「小説に対する情熱が半端ではない。大変な努力家である。ストイックとさえいえた」仕事への姿勢。それらを踏まえた上で、著者は山崎が陥った剽窃騒動にもきちんと触れている。

晩年、山崎は満身創痍でありながら、絶筆となった『約束の海』に取り組む。迷いながら努力する意欲は、最後の最後まで変わらなかった。


中山康樹 
『ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?』

シンコー・ミュージック・エンタテイメント 1944円

「スイングジャーナル」元編集長で、博覧強記の音楽評論家として健筆をふるってきた著者が、今年1月に急逝した。 遺作となった本書では、稀代のトランぺッター、ウィントンが提示した「新しいジャズ」とは何だったのかを探っている。ジャズの伝道師に合掌。

(週刊新潮 2015.10.01号)


書評本: 山田太一『夕暮れの時間に』ほか

2015年10月04日 | 書評した本たち



いやあ、ラグビーW杯の日本代表、サモアに圧勝でしたね。

いまだに詳しいルールは分かないままですが(笑)、見ていて興奮します。

来るのか? ラグビー・ブーム。


「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

山田太一 『夕暮れの時間に』
河出書房新社 1728円

著者は「岸辺のアルバム」などで知られる脚本家。本書のエッセイ群は、この10年間に書かれた。技術の変化の病的な早さ。何を食べても、「うまい」としか言わないテレビリポーター。 著者は“適応不全老人”を自称しつつ、小声で、はっきりと違和感を表明する。


中村淳彦 『AVビジネスの衝撃』
小学館新書 842円

オーディオビジュアルではなく、アダルトビデオの過去と現在を概観できる。メーカー、女優、そして男優への取材は綿密。ビジネス上の数字も明かしていく。誕生から34年、栄枯盛衰を経た業界は終焉へと向かっているという。最後の輝きを探してみるのも一興だ。 


越野弘之 『昭和レトロ自販機大百科』
洋泉社 1512円

めん類、ハンバーガー、トースト。これらを提供する自販機を「御三家」と呼ぶ。またレトロ自販機の聖地は、なぜか群馬県だ。コンビニのない時代、救いの神だった食べ物自販機も今や絶滅危惧種。労作である全国マップと膨大な写真を眺めながら、レトロ旅を夢見る。

(週刊新潮 2015.10.08号)



民放BS報道番組が盛り上ってきたのは?

2015年10月03日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム
BS-TBS「外国人記者は見た!日本inザ・ワールド」

先日、読売新聞の取材を受けました。訊かれたのは、「民放BSの報道番組が盛り上ってきた理由(ワケ)」です。

そう言われてみれば、確かに「いつの間に、こんなにも」というくらい、最近のBS報道番組は数も中身も充実してきていますし、新番組も始まるようです。

BS日テレ「深層NEWS」
BS-TBS「週刊BS-TBS報道部」
BS-TBS「週刊報道LIFE」
BS-TBS「外国人記者は見た!日本inザ・ワールド」(10月7日から放送開始)
BSフジ「プライムニュース」
BS朝日「いま世界は」
BSジャパン「日経プラス10」

読売新聞の特集記事では、短いコメントとなって掲載されていますが、実際には、下記のような説明をさせていただきました。

『民放BS 報道番組を強化』と題された記事の全体は、ぜひ本紙(2015.9.30夕刊)をご覧ください。


最近の国内外の情勢は、短時間で断片的な情報を伝える地上波のニュースだけを見ていても、現実を捉えきれません。そんなニーズに合致してきたのが、BSのニュース番組です。

地上波においては、ニュース・報道番組といえども、視聴率競争から逃れられません。

そこには、「伝えるべきニュース」よりも、「耳目を集めるニュース」が優先される傾向があります。ニュースとして伝える際の順番、長さ、論調が、「現実を知りたい」「本当の問題点を知りたい」という視聴者の欲求に、必ずしも対応していないのです。

BSの視聴者として、以前から、比較的年齢が高く、教養レベルも高い層が存在します。それはまた、日常的に社会の動きに関心を持つ層でもあります。最近のBS報道番組には、そうした旧来のBS支持者だけでなく、新たなファンも加わってきています。

BSは、地上波のように「赤ちゃんから高齢者まで」という幅広い視聴者を狙う必要はないため、時間的・内容的制約にあまり縛られない、一種のポリシーをもった、またエッジの立ったニュース番組を送り出すことが可能です。

そこでは、「課題を明らかにすること」「掘り下げること」「議論すること」といった内容が展開され、視聴者が「自ら判断するための材料」が提示されています。

各局がBSニュース番組に力を入れているのは、「BSパワー調査」(視聴率調査に該当)の進化(日記式から機械式へ)によって、視聴者のニーズが、より可視化されてきたこと。また地上波で弱まっている「ジャーナリズムとしてのテレビ」という側面を補強する意味合いがあると思います。

以前に比べれば、BSも多くのスポンサーを集められるようになりました。番組制作上は、より高い予算を確保することで、内容の充実を図ることができます。しかし、気をつけたいのは、BSが単なる“第二の地上波”になってはいけないということです。課題発見、掘り下げ、議論という、BS報道の長所をより意識した番組作りが、今まで以上に必要なのです。

切磋琢磨する、民放BS報道番組

2015年10月02日 | メディアでのコメント・論評



読売新聞に掲載された、民放BSの報道番組に関する特集記事で、解説しています。


民放BS 報道番組を強化

民放BS局の報道番組の競争が激しくなっている。今秋にはBS日テレの「深層NEWS」が内容を刷新、BS―TBSも新番組を開始する。地上波放送よりも「分かりやすく」「より詳しく」、「ニュースの裏側」を詳報するのが、BS報道番組の特徴だ。(市原尚士)

BS日テレ 分かりやすく

BS日テレの「深層NEWS」(月~金曜後10・00)は10月で放送3年目を迎える。より多くの視聴者を獲得するために、「分かりやすさ」をキーワードにして番組を一部刷新する予定だ。

番組の中で、フリップなどをこれまで以上に活用し、ニュースの「見せ方」に工夫を凝らすほか、放送中に視聴者からの意見をメールで募集したり、番組に対するツイッターを画面表示したりすることで、視聴者とのコミュニケーションを重視する。

また、この番組の「売り物」は、ゲストを呼んで時事問題を徹底討論することだが、今後はテーマによっては、「トレンドの発掘」的な傾向ものの紹介や、有識者によるニュース解説も導入する予定だ。

番組が始まった当初は60歳代が中心だった視聴者層も、「最近では40歳代や50歳代が増え、テーマによっては20歳代からの意見も寄せられるようになった」とBS日テレ報道局。今後はさらに幅広い視聴者の獲得を目指すという。

BS―TBS 外国人の視点で

これに対して、BS―TBSが7日から始める新番組が「外国人記者は見た!日本inザ・ワールド」(水曜後10・00)だ。お笑い芸人のパトリック・ハーランらを司会に据えて、外国人特派員協会に所属するジャーナリストがニュースを分析する国際派の番組だ。

「日本人の良い点も悪い点も、忌憚(きたん)なく冷静に伝えてくれる海外特派員の目線が、日本には必要」というのは、笠原啓プロデューサー。日本人には思いもよらない論点・視点でニュースを斬ることに期待するという。

BS11の「報道ライブ21 INsideOUT」(月~木曜後9・00)は、10月からスポーツなどを強化する予定だ。

課題発見や議論重要に

2009年にBSフジが「プライムニュース」(月~金曜後8・00)をスタートさせたのをきっかけに、民放BS局では、次々と報道番組が生まれてきた。

10年秋にはBS朝日が「いま世界は」(日曜後6・54)を開始。13年春には、BSジャパン「日経プラス10」(月~金曜後10・00)、BS―TBS「週刊BS―TBS報道部」(日曜後9・00)がスタート。この番組は15年春に終了したが、「週刊報道Bizストリート」(土曜後9・00)、「週刊報道LIFE」(日曜後9・00)が始まっている。

BS日テレが「深層NEWS」を始めたのは13年秋。これで民放キー局系のBS局で、報道番組が出そろった。07年開始の「本格報道 INsideOUT」は14年春、「報道ライブ21 INsideOUT」になった。

これらBSの報道番組は、地上波に比べ、ひとつのテーマを掘り下げて解説・討論するのが特徴だ。「『毎日2時間の特番を作る』つもりで臨んでいる」とBSフジの高島英弥報道局長はいう。

地上波に比べ、年齢層が高いといわれるBSの視聴者には、じっくりと詳しくニュースを伝えてほしい、というニーズがある。さらに、15年春からは、民放BS局の“視聴率”にあたる「BSパワー調査」が視聴者が記録したものを回収する日記式から自動的にデータが蓄積される機械式へと切り替わり、BS放送全体への注目度も高まっている。

これらを背景にして、より深く、分かりやすい報道番組が、BSで求められているのだ。

上智大の碓井広義教授(メディア論)は「課題発見、掘り下げ、議論というBS報道の長所をより意識した番組作りがこれまで以上に必要になる。それができなければ、BSは単なる“第二の地上波”になってしまう可能性もある」と話している。

(読売新聞 2015.09.30)

碓井ゼミ、秋学期スタート!

2015年10月02日 | 大学

【気まぐれ写真館】 四谷も秋の空 2015.09.30

2015年10月01日 | 気まぐれ写真館