果樹園の風

愛知県豊橋市で無農薬のレモンを栽培している河合果樹園です。
目指せ!楽しむ農業、楽しませる農業!

借景とクジラ山と理想郷

2017年05月10日 21時43分37秒 | 日記・エッセイ・コラム
このところ温室の上に上がって作業することがしばしば。
それは修理のためだったり、ビニールの開放だったり、掃除だったり。
そう、農夫は高いところが苦手では勤まらないのである。
西風に吹かれて飛んだ木々の生ける証である古葉は、
これでもかと樋の上に堆積して水の流れを緩慢にする。
経年劣化でビニールもところどころ裂け目ができていたりすので、
補修用のテープを張ってもう少し生きながらえてくれと祈る。
開放するときは、密閉するために止めてあるバネを外して
換気のためにビニールを巻き上げれるようにする。
そんな時、目に飛び込むは雄大な景色。
ビニールのつるっとした無機質な庭に、有名な立岩が借景のよう。
一呼吸してしまう瞬間だ。


河合果樹園は愛知県にあるのだけれど、最寄り駅は静岡県の新所原駅。
南口ができたおかげで、我が家からの距離はかなり縮まったし、
踏切と立岩街道を通らなくてよくなったので、
安全性と言おうか安心感と言おうか、気持ちに余裕ができたのは確かだ。
街に出るときはここから、JR東海道本線にて二川駅を経由して豊橋駅に行く。
このところの日の長さから、立岩を尾に見立てた通称クジラ山が沈みゆく夕日で影となる。
身近なものがなぜか美しく見えるのは、天命クラブ半ばだからだろうか。
ある人が言っていた、「理想郷は身近にある」と。
しかしその理想郷は、近くて遠い存在なのだろう。
つまり見えない場合が多い、灯台下暗し状態。
理想郷の入り口の門番に問うてみたい。
「どうしたら中に入れてもらえるのですか?」
はてさてなんと答えてくれるのだろうかと妄想が湧き上がる。

きっと「地域の美しいものを100個、答えなさい」というだろう。





コメント
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