■■【日本経済の読み方】 2013年3月前半 エッセンスを時系列的に見る
◆ エネルギーは採掘から製造へ<2/3> 2013/03/15
昨今の、日本の国産エネルギーといいますと、次の二つが話題になっています。
その一つは、秋田におけるシェールオイルで、一方は、日本周辺の海の底からメタンハイドレートです。これらの新しいエネルギーが発見され、注目されていることは、ご存知の通りです。
しかし、これらは日本の需要を充分に満たせるだけの埋蔵量があるわけではありません。もともと日本には「採掘エネルギー」源が少ないのです。
また、太陽光を始め再生可能エネルギーといわれる自然を頼りにする「転換エネルギー」は、不安定性という問題をはらんでいますので、基礎エネルギー源というよりは、補助的な色彩が強いといえます。もちろんその中には、発電や波動発電など、比較的安定した転換エネルギー源もありますので、ぜひそれらも推進して行くべきです。
では、それでも不足するエネルギーを輸入だけに頼っていて良いのでしょうか。
これからは、「採掘エネルギー」や「転換エネルギー」だけではなく、「製造エネルギー」の時代です。化石燃料頼りの「採掘エネルギー」では、資源が枯渇してしまいますし、環境破壊などの問題も発生します。風力や太陽光に頼る「転換エネルギー」は、自然任せの部分があり、人間の思い通りには発電してくれません。
農業や工業のように、エネルギーを作れば良いのです。
以前、メールマガジンでミドリムシの培養によるバイオ燃料についてご紹介をしたことがあります。
東京大学でもミドリムシによるバイオ燃料を作る研究をしています。ミドリムシは、植物と動物の間の生物で、光合成で増え、増殖も早く、油を生産できるのです。
ミドリムシは120種もの種類があります。全てのミドリムシというのではなく、その中の特定のミドリムシから、含有している油の種類や量、環境との関連を調べ、有力候補を絞り込んだ結果、ジェット燃料として使えるエネルギーが生成されることがわかったのです。
ジェット機は内燃機関のため、自動車のような電化をしにくいのです。ジェット機を飛ばすためには、どうしても現在のようなジェット燃料が必要です。これは、温室効果ガスを出すので環境に悪い影響を与えてしまうのです。
ミドリムシや藻類でつくるバイオ燃料は、増殖するとき二酸化炭素をどんどん吸収しますので、燃料に混ぜれば、温暖化対策になるのです。
ミドリムシの研究は、まずは大規模培養の技術開発が必要ですが、2018年には実用化できる見透しです。これが実現しますと、全体燃料の10%を賄うことも可能です。
◆ エネルギーは採掘から製造へ<1/3> 2013/03/14
エネルギーといいますと、原発、LNG火力発電・・・というように化石燃料を利用することを思い浮かべる人も多いでしょう。また、近年は太陽光発電とか風力発電といった自然の力をエネルギーに変換する方法を連想するかもしれません。
私は、前者を「採掘エネルギー」、後者を「転換エネルギー」と呼んでいます。ところが、NHK室山哲也解説委員の番組を見ていて「製造エネルギー」という造語を作りました。
原発事故後、外国から輸入するエネルギーの調達が課題になり、LNGや原油の輸入金額と円安からエネルギーコストは日々上昇していると言えるほどになってきています。その結果「貿易立国」といわれていた日本は、構造的に「貿易赤字国」になってしまっていると言えます。
その脱却方法としていろいろなエネルギー政策が求められています。
では、日本国内にはエネルギー資源がないのでしょうか?
日本では、原油を始めエネルギー資源は皆無と思っている人が多いと思います。
私が小学生の時に、社会科の時間にわずかながら石油が江戸時代から新潟で産出されていたということを聞きました。日本は、石炭も採掘されていて、粉じん爆発などが話題になったこともありますが、今日では石炭というエネルギー資源も日本ではSL以外では忘れられています。
近年では、秋田沖のシェールオイルが話題になりました。ただ、日本全国消費量の数日分の埋蔵量しかないと言うことで、一旦膨らんだ希望が急速に萎んでしまったことはまだ記憶に新しいです。
それから、当ブログでは何度も紹介しているメタンハイドレートを忘れてはいけません。しかも、日本における消費量数十年分の資源が、日本近海にあるというのですから、大いに期待したいです。
しかし、それでもエネルギー不足問題を解決できません。不足する分を輸入に頼っていて良いのでしょうか?
◆ 東日本大震災復興を加速せよ 2013/03/13
3月11日は、震災から2年、いろいろな行事が各地で行われ、マスコミでも報じられました。まだまだご苦労が続いている様子を見ると涙を禁じ得ません。私たちの記憶が薄れてきていることに警鐘を鳴らしてくれているように思えました。
必要な資金やサービスが行き届いていない報道を見ますと、何とかならないのだろうかと気をもみます。
そのような中で、政府はおととし成立した「復興財源確保法」に基づき、東日本大震災の復興財源に充てるため、JT(日本たばこ産業)の株式売却ニュースが流れてきました。
政府が保有するJT株の一部である3億3000万株余りを売却するというのです。株高で当初想定していた2倍近い売却益が出るといいます。総額で9700億円を超えます。
復興に全てが当てられますが、まだまだ不足する金額です。JTに対してだけではなく、一般の投資家向けにも売却されるそうです。煙害を助長するたばこ産業に協力する気にはなれませんが、近年のJTの総売上に占めるたばこの売上高は数%に過ぎないようですので、協力しても良いかという気になります。
政府も、現地の皆さんのニーズに即した、効果的な資金として活用して欲しいです。
被災された皆様のご多幸を祈念します。
◆ 景気動向先行指標が大きな伸び 2013/03/09
景気動向は、毎月内閣府が発表する「景気動向指数」が目安になりますが、これは1か月半ほどのタイムラグがあります。
例えば2013年1月の景気動向指数のうち、景気の現状を示す「一致指数」は平成17年を100とした場合に、92となり、景気回復しているとは言えません。ましてや、この1月は、その前月を0.3ポイント下回った数値が発表され、2か月ぶりに低下したことになります。
同時に発表される、景気の先行きを示す「先行指数」は、これからの見透しです。
これによると、前月を3.1ポイント上回りました。しかも、昭和60年以来、過去2番目に大きな伸びです。このようなことを理解した上で「景気動向指数」を見ませんと、判断を誤りかねません。
因みに、回復した背景は、アベノミクスにより株価の上昇や消費者の購買意欲の回復から、景気の先行きに期待を持てるという判断だろうと考えられます。
一方、「一致指数」が悪くなったのは、製造業の生産が上向きましたものの、電子部品や一般機械といった業種で出荷が減少したことが主な要因と考えられます。
他方、2012年10月から12月までのGDP(国内総生産)の改定値は、年率に換算した伸び率が速報値でマイナスでした。しかるに改訂値では、プラス0.2%と3期ぶりのプラス成長に修正され、景気が底を打って後退局面から脱しつつあることを一段と強くうかがわせる結果となりました。
企業や国民は景気回復への期待が高まっていますが、生産や雇用などの実体経済が本格的な回復に向かうかどうか動向や消費税率が上がることの影響などを注視する必要があります。
◆ パソコン出荷台数が過去最低 2013/03/05
今月24日(日)に、経営コンサルタントや専門職・士業の先生を対象とした「パソコンが“消える時代”の士業の勝ち残り策」と題する公開講座で講師を務めます。
35年の経営コンサルタント業の経験の中で、多くを企業におけるICT支援のアドバイスを経営コンサルタントの視点で行ってきました。それだけに、このようなテーマで講師を務めることが淋しいです。
しかし、現実を直視し、経営コンサルタントや税理士をはじめとした士業の先生方に、今後どのようにICTと関わっていったら良いのかについてお話をしようと準備を進めています。
その背景にあるのが、スマートフォンやタブレット端末の普及が急速に進んでいることです。2013年1月、国内で出荷されたパソコンの台数は、前年同月より13%減少し、出荷額は統計がある平成19年度以降最も少なくなりました。
電子情報技術産業協会の発表によりますと、ことし1月、国内で出荷されたパソコンは64万8000台でした。出荷額でみても18%減少して451億円です。
2012年の秋にタッチパネルによる操作性を高めた基本ソフト「ウィンドウズ8」を搭載したパソコンが相次いで発売されました。先日、日本でもマイクロソフトのタブレット端末の発売発表がありました。
ウィンドウズ8が思うように売れないことから、日本でもこの端末を発売する決定をしたと思われます。
このようなトレンドの中で、士業の勝ち残り策を模索し、それをお話しますので、経営者・管理職の皆様も、お仲間をお誘いの上ご出席ください。
(http://www.glomaconj.com/consultant/3keikonhenomichi/keikon.htm#seminar)
◆ おいしいお米の条件 2013/03/03~04
日本各地で次々と新しいコメの品種が生まれ、味も良くなっています。
NHKのTV番組で「美味しいコメ 変わる勢力図」という番組で、合瀬宏毅解説委員の話に興味を持ちました。
日本各地には、いろんなお米があります。おコメの美味しさ、品種や産地だけでなく、そのときの気候などで大きく変わるようです。
では、その美味しさは、どのように決められるのでしょうか?
日本穀物検定協会という団体があって、そこで評価し、食味ランキングとして毎年格付けし公表しています。
このランキングは、5段階で評価されています。
おいしいお米というと全国に130近くのブランドがあるそうで、それらを対象に評価をします。
おいしいお米の代表というと「魚沼コシヒカリ」が有名です。ところが、本来の魚沼コシヒカリというのは、新潟県南魚沼市のコシヒカリを指します。その中でも、旧六日町産を指すそうです。
すなわち「南魚沼産コシヒカリ」を筆頭に、最も美味しいとされる特Aランクとされるものが全国で29もあり、評価の違いは品種改良や気候の温暖化の影響を受けて次第に少なくなってきているようです。
最近注目されているのが北海道で「ななつぼし」や「ゆめぴりか」というのは有名ですね。
NHKのTV番組で「美味しいコメ 変わる勢力図」という番組で、合瀬宏毅解説委員の話に興味を持ちました。
日本各地には、いろんなお米があります。美味しさは、どのように決められるのかについて、<上>でお話しました。今日は、その続きです。
今年のお米の特徴は3つあるそうです。
まずは全体的に味があがったということです。生育期の天候が比較的よく、寒暖の差が大きかったことと、各地で美味しいコメ作りへの取り組みが進んだというのがその理由です。
二つ目は北陸、九州の躍進が目立った。
三つ目は新たな品種が高い評価を得た。
では、米の美味しさというのは、厳密に区別できるのでしょうか?
炊いたご飯を見た目や味、粘り、それに堅さ、香りの5項目で評価し、さらに総合評価を加えて最終的に決められるようです。
味覚、臭覚、視覚など、五感を使っての判断ですから、人によるばらつきが出てしまうでしょうから、その判断に疑問を持つ人もいると思います。
おいしい米の決定要因は、科学的には「アミロースとタンパク質の割合」で決まるそうです。
アミロースは粘りに関係しており、これが低いほど良いとされています。一方タンパク質はこれが多くなるとコメがぱさぱさした食感になると言われています。
美味しさの基準と言われるコシヒカリですが、アミロースの割合は20%。タンパク質は6~7%だとされています。
最近は、コシヒカリを超える品種もあると言いますので、両者のバランスといっても、やはり個人の食感というのは異なりますので、一概に言えないのではないでしょうか。
因みに、わが家で、今年評価の高かった、某ブランドと、農家から直送された南魚沼産コシヒカリの新米とを、炊きたてと冷えてからのご飯とをブラインドテストしてみました。
わが家では全員が南魚沼産コシヒカリでした。その家の食習慣にも影響を受けるのだろうとも思いました。
◆ あなたの借金? 870万円!! 2013/03/02
財務省によりますと、国債に短期の借り入れなどを合わせた国の債務残高は、平成25年度末(3月)の時点で、1107兆1368億円に達する見込みです。今年度末と比べて101兆円余りも増えることになります。
これは国民一人当たりに換算すると870万円になるのです。換言しますと、国の債務の多くは、国債でまかなわれています。国債の90%以上は国内の金融機関などが保有しています。それらの原資は、結局は国民の預貯金や金融資産などで購入されていることになります。
安倍内閣は、景気てこ入れのため積極的に財政出動を行う姿勢を鮮明にしていますが、その原資は国債です。国債は、われわれの子孫に対する負の財産です。国の支出が効果的に使われているかどうかの厳しい目をわれわれは持たなければ、自分達の子供や孫、その先まで借金を押しつけることになります。
悪い方に転がるとギリシャやスペインなどと同じ信用不安の元凶となるのです。
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