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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-11 薬籠中物 ブレインを持つ経営者は強い 有能な人材を手元に置く

2024-06-15 00:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-11 薬籠中物    ブレインを持つ経営者は強い 有能な人材を手元に置く 

  

 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

■1-11 薬籠中物    ブレインを持つ経営者は強い
      ~ 有能な人材を手元に置く ~

 「薬籠中物(やくろうちゅうのもの)」の「薬籠」というのは薬箱のことで、薬籠中のものというのは薬箱に入れてある薬、常備薬のことです。「自家薬籠中の物」という形で使われることが多いのです。昔は、越中富山の薬売りが家庭を訪問したこともあり、その習慣から薬箱は何処の家庭にもありました。その中に自分が使う薬を入れておけば、使いたいときにいつでも自由に使えます。
 企業が、その企業独自のノウハウを蓄積したマニュアルがあれば、社員はいつでも、使いたいときに、目的に応じて使うことができます。経営者・管理職は、それらを利用できる部下を上手に使うことにより、経営者・管理職として自分が持つ力を、それ以上の力に変換して充分に発揮することに繋がります。経営者・管理職のリーダーシップの下で社員は、自分が身につけた技術や知識、経験をいつでも活かすことができます。「薬籠中物」というのは「使い時に、いつでも自由に利用できる物」を指し、転じて「技術や知識、情報豊富な人材を手元に置いて、いつでも活用できる人材を持つ」という意味に繋がります。
 企業というのは、「無能な管理職は、無能な社員を育てる」と言われます。十人の優秀な社員がいても、それを統括する管理職が無能である組織より、社員は優秀でなくても一人の有能な管理職がいる組織の方が強いのです。「一騎当千(いっきとうせん)」は「一人で千人の敵に対して戦えるほど強い」ことを指します。有能なリーダーがいれば、組織的な動きをすることができ、組織力が高まるのです。
 データや情報だけではなく、自分のアイディアなど、パソコンの中に蓄えておきますと、いつでも、ほしいときに、ほしい情報を取り出すことができます。上司や同僚・部下などから仕事の指示があったり、相談されたり、頼まれたりしても、これらが自家薬籠中の物であれば、いつでも取り出せ、状況に合わせた対応ができます。
 経営コンサルタントといいましても、それぞれの先生の専門分野が異なります。一時的には特定の課題に対してコンサルティングを依頼してこられる場合もありますが、企業は、経営に関する総合的なコンサルティングを求めています。経営環境の変化が激しく、経営の高度化が求められて昨今、一人の経営コンサルタントで対応するのは困難と言わざるを得ません。
 時には、経営者・管理職から自分の専門外におけます分野についての相談を受けることもあります。それが自分の手に負えないような課題の場合には、専門の先生を紹介するようにしています。一方、完全ではないですが、自分の手に負えると判断できた場合には、時間を頂き、自分で調べたりした上でお答えします。
 また、自分で調査しただけでは手に負えないこともあります。私の所属する経営コンサルタント団体には、いろいろと異なる分野を専門とする先生が多数所属しています。困った問題があれば、その分野の専門の先生に相談したり、意見を求めたりして、回答するようにします。
「企業は生き物」と言われますように、「紫電一閃(しでんいっせん)」、外部環境の変化と共に、日々対応を迫られています。その時に、上述のように人脈が効果を発します。人脈を活かして、環境変化への対処をしたり、問題解決に取り組んだりできる環境作りを平素から構築しておくべきです。「紫電」は、「とぎすました刀の光」、「一閃」は、「ぴかっと光る」という意味で、「研ぎ澄まされた刀のぴかっと光る一振り」ということから「一瞬の変化」、転じて「事態の急変」を指します。
 立派な経営者というのは、陰の人といいますか、大番頭さんを持っていることが多いです。大番頭さん、すなわち「股肱之臣(ここうのしん)」は「主君の手足となって働く、頼りがいのある家臣、部下」を指します。「自分の股(あしのもも)や肱のように動いてくれる人」というのが原意です。「腹心之臣(ふくしんのしん)」という表現もあり、「腹心の部下」というように今日ではしばしば表現されます。因みに「肱」は「肘」のことです。
 かの有名なマイクロソフトのビル・ゲイツ氏も、ソフトバンクの孫正義氏も、ホンダの本田宗一郎氏も、挙げれば切りがないほど、立派な経営者の陰には、目立ちませんが功績の大きい大番頭さんがいるのです。
 彼らの間柄を表すのが「一衣帯水(いちいたいすい)」です。「衣帯」というのは着物の帯ですね。「一本の帯のように幅の狭い川や海峡」のことですし、隔てられている様子を表します。隔たっていることを指すのではなく、距離の近いこと、関係の深さを表します。「衣帯一江(いたいいっこう)」という四字熟語もあります。距離が近いという意味では「一牛鳴地(いちぎゅうめいち)」「一牛吼地(いちぎゅうこうち)」というものがあります。牛の鳴き声が聞こえる距離ということから、近い距離をあらわします。ただし、「一牛鳴地」には、田園ののどかな牧歌的風景を形容するときにも用いられます。
「経営者は孤独である」ということをしばしば耳にしますが、困ったとき、疑問に思ったとき、迷ったときなど、手持ちの社員や人脈だけのパワーでは不充分なことが多々あるでしょう。その時に必要なのが、手前味噌になって恐縮ですが、外部ブレインとしての経営の専門家です。前述のように「コンサルタント」と言いましても、いろいろな分野の専門家の先生をさします。一人の専門家をブレインとして持つことで、その専門家がいろいろと解決に、別項にもあります「東奔西走(とうほんせいそう)」し、最適な提案をしたり、解決策を編みだしてくれたりします。すなわちこのような外部ブレインが「薬籠中物」(やくろうちゅうのもの)といえます。
「鶏群一鶴(けいぐんいっかく)」「鶏群孤鶴(けいぐんこかく)」という四字熟語があります。鶏の中に一羽だけ鶴が混じっているという意味から、「たくさんの凡人の中に、一人だけ優れた人が混じっていて、能力を発揮している」ということを指します。「才気煥発(さいきかんぱつ)」というのは「優れた知性や才能が満ちあふれて外からも解る」人のことをさします。
「東奔西走」は、別項の「南船北馬(なんせんほくば)」と同じように、西に東にとあちらこちらを忙しく走り回ることです。「奔(ほん)」は、訓読みで「はしる」ですので、「走る」ということになります。とりわけ12月は「師走」といわれるように、「師」と言われる先生だけではなく、多くの人が、東奔西走します。
 因みに「道路や交通が発達していて便利なこと」を表すときに「四通八達(しつうはったつ)」という四字熟語があります。「四通五達(しつごたつ)」ともいいますが、もとの意味から「往来の激しい賑やかな場所」という意味で使われます。


 
 
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