goo blog サービス終了のお知らせ 

散歩するなべさん

しょうがなくも所在なく散歩するなべさん。近頃野鳥に目覚めて鳥見お散歩の日々。病気もしたけど時には山歩きに物思い旅ね。

須賀敦子を読んでいます

2010-09-26 14:41:34 | 


とくにはまっている
というわけではないのですが、
あれこれ他の本も間にはさみながら、
須賀敦子を読んでいます。

もともと、中井久夫が
そのエッセーの中で褒めているのを
気にしながらも

「外国の生活・紀行文も何だかな~」

と縁がなさそうに思い、
手に取ることもしなかったのですが。






「遠い朝の本たち」
「ミラノ 霧の風景」
「コルシア書店の仲間たち」
「旅のあいまに」
「ヴェネツィアの宿」・・・

と読んできました。


何やら奇妙な
異空間に入り込んだような
読書体験であります。
自分の読書経歴の中で
どの辺に位置づけたら良いのだろうかと
少々居心地の悪さも味わいながら、
引き込まれております。


私たちが生きた世界の少し向こう側で
こんな人生の歩みもあった
ということでしょうか。


街角の画廊に開かれている個展を
ゆっくりゆっくり観ている感じですかね。
作品の細部は友人たちの近景が丁寧に描かれながら、
気が付くと、額縁の中の遠景に静かにおさまっています。


「ヴェネツィアの宿」まで読んできたとき、

「あ~、これは小説なんだ。」

という思いを強くしました。

全体の構成の見事さに気が付きました。


いずれも、著者が出会った友人たち、
そして
家族の姿を描きながら、
彼らへの静かな響きをたたえた
鎮魂の書となっています。


そう思うと、
著者没後、12年も立って読んでいると
作品全体が著者自身への、自らの
鎮魂の書のように思えてきます。




「須賀敦子DVD保存版」
発売の新聞広告が出ていました。

結構ファンが多いのでしょうかね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする