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ごっとさんのブログ

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マイクロソフトの蚊取り器

2016-06-24 10:36:18 | 文化
マイクロソフトが開発した蚊取り器を、アメリカテキサス州の南部に設置するという記事を読みました。

マイクロソフトと蚊取り器というと何となくそぐわない感じがしますが、今やマイクロソフトはソフトウエアの開発だけではなく、ハード面や周辺機器も含めた一大メーカとなっていますので、何を作っても不思議はないのかもしれません。

蚊取り器というと蚊取り線香に含まれている菊酸を思い浮かべますが、現在でもこの菊酸の類似化合物が蚊取り器の主流になっているようです。菊酸類は蚊やハエなどの衛生害虫を特異的に殺し、哺乳類はもちろん他の生物には全く害を与えないという優れた性質を持っています。

もともとはやや不安定な物質でしたが、現在は化学合成され安定なものとなっています。代表的な電気蚊取り器は、弱い熱によってこの菊酸類縁体を揮発させるものや、マイクロカプセルに封入し、高分子の中に練りこみ徐々にカプセルが壊れていく、つまり窓の外につるしておくだけでもよいタイプなど出ています。

しかしマイクソフトの開発した蚊取り器は当然ですが全く異なった、いわば電子機器のようです。高さ30センチほどの蚊取り容器は三脚の上に設置され、内部は64の小部屋に分かれて蚊をとらえます。二酸化炭素を放出して蚊を引き寄せ、いずれは中に入った蚊に赤外線を照射して反射具合によって蚊の種類を識別できるようになるようです。

特定種の蚊が入るとばね仕掛けの扉が自動的に閉まり、目的の蚊ではないと分かれば扉は開いたまま蚊を逃がすという装置です。マイクロソフトの研究部門は、エボラ熱が流行していた2015年からこの装置の開発に着手したようです。当面の課題はジカ熱対策に充てるようですが、確かにこの装置を使えば、どんな蚊が分布しているかなどの情報がリアルタイムに集まりそうです。

蚊の種類は3000から4000種とされていますが、赤外線照射ですべての蚊の種類が判別できるようになれば、こういった蚊が媒介するいろいろな病気の対策に役立ちそうです。こういった蚊の情報は、瞬時に公衆衛生局に集まるようですので、生物学的な蚊の生態観察といった観点からも、今までできなかった情報が集まりそうです。

実際にジカ熱やデング熱などを媒介する蚊の生態は、ほとんどわかっておらず、本当に特殊な蚊だけが媒介するのか、それとも何種類かの蚊も宿主となりうるのかといった研究はほとんど進んでいません。今回の蚊取り器のような電子機器はどこまで進歩するのかわかりませんが、こういった方面からのデータでいろいろ面白いものが出てきそうな気もします。