東京医科大学や資生堂などは、中年以降に薄毛となる脱毛症の患者の、毛髪を再生させる臨床研究を今年から始めると発表しました。
これは育毛剤などを使用せず、いわゆる再生医療を応用した技術です。私がいた研究所でも大昔ですが、当時の若手の研究員がこの育毛剤開発をしたいと一人で頑張っていました。
こういった探索をするためには、どういったアッセイ方法をすればよいのかをまず決める必要があります。例えばマウスの背中の毛をそり、その生え具合で判定するとか、色々試したようです。しかし基本的な難しさは、このころしっかりと効果のある薬剤が、どこにもなかった点です。
通常何かの薬剤を開発しようとすると、ある程度効くものがたとえ市販されていなくても、どこかに存在することが多いので、それを入手して対象として(アクティブコントロールといいます)用いることがほとんどでした。アッセイ系を造る場合でも、この薬剤が陽性となる系を作れば、大体使用できるわけです。
ところが育毛剤ではこういったものがないため、あくまで理論的に推測して作るしかなかったようです。この研究員は動物細胞培養を得意としていましたので、そういった事も含めてアッセイ系を構築していったようです。
こうやって育毛剤探索をしていたのですが、面白いものが出始めたころ、他社からミノキシジルという薬剤が開発されました。これを入手して彼のアッセイ系で調べたところ、非常に優れた活性を持ち、これ以上の物を見つけるのは難しいというほど良かったようです。
このミノキシジルを成分とした育毛剤は市販されていますが、数ある育毛剤の中でこれだけが本当に効果があるものだと思っています。
さて今回研究チームは、「毛球部毛根鞘細胞」と呼ばれる毛髪の根っこ周辺にある頭皮の細胞が、毛髪を作るもとになっていることに着目しました。患者の後頭部から、毛髪周辺の頭皮(直径数ミリ)を採取、毛根鞘細胞だけを取り出して培養によって増やし、患者本人の頭部に移植するという方法を確立したわけです。
これは細胞移植といっても自家移植ですので、拒否反応の心配もないのですが、あまりにも手間がかかりすぎるような気がします。今回の臨床試験では、患者からとった皮膚から細胞を取り出し、培養して増やすところは資生堂が担当するようで、そういったセンターを設立したようです。これか60人の患者?を対象に始めるようですが、やはりどこまで安価にこの一連の治療法となるのかが課題のような気がします。
理論的には効果があるはずの技術ですが、実用化という点では臨床試験でよい結果が出てもいろいろ問題がありそうです。
これは育毛剤などを使用せず、いわゆる再生医療を応用した技術です。私がいた研究所でも大昔ですが、当時の若手の研究員がこの育毛剤開発をしたいと一人で頑張っていました。
こういった探索をするためには、どういったアッセイ方法をすればよいのかをまず決める必要があります。例えばマウスの背中の毛をそり、その生え具合で判定するとか、色々試したようです。しかし基本的な難しさは、このころしっかりと効果のある薬剤が、どこにもなかった点です。
通常何かの薬剤を開発しようとすると、ある程度効くものがたとえ市販されていなくても、どこかに存在することが多いので、それを入手して対象として(アクティブコントロールといいます)用いることがほとんどでした。アッセイ系を造る場合でも、この薬剤が陽性となる系を作れば、大体使用できるわけです。
ところが育毛剤ではこういったものがないため、あくまで理論的に推測して作るしかなかったようです。この研究員は動物細胞培養を得意としていましたので、そういった事も含めてアッセイ系を構築していったようです。
こうやって育毛剤探索をしていたのですが、面白いものが出始めたころ、他社からミノキシジルという薬剤が開発されました。これを入手して彼のアッセイ系で調べたところ、非常に優れた活性を持ち、これ以上の物を見つけるのは難しいというほど良かったようです。
このミノキシジルを成分とした育毛剤は市販されていますが、数ある育毛剤の中でこれだけが本当に効果があるものだと思っています。
さて今回研究チームは、「毛球部毛根鞘細胞」と呼ばれる毛髪の根っこ周辺にある頭皮の細胞が、毛髪を作るもとになっていることに着目しました。患者の後頭部から、毛髪周辺の頭皮(直径数ミリ)を採取、毛根鞘細胞だけを取り出して培養によって増やし、患者本人の頭部に移植するという方法を確立したわけです。
これは細胞移植といっても自家移植ですので、拒否反応の心配もないのですが、あまりにも手間がかかりすぎるような気がします。今回の臨床試験では、患者からとった皮膚から細胞を取り出し、培養して増やすところは資生堂が担当するようで、そういったセンターを設立したようです。これか60人の患者?を対象に始めるようですが、やはりどこまで安価にこの一連の治療法となるのかが課題のような気がします。
理論的には効果があるはずの技術ですが、実用化という点では臨床試験でよい結果が出てもいろいろ問題がありそうです。