最近ジャーナリストの田原総一朗さんが、タイトルのような題での評論を書いているのを見ました。
田原さんはいまだに討論番組などで、いろいろ面白い議論をされています。今回の記事で取り上げているのがiPS細胞による再生医療と、新しいタイプの抗がん剤であるニボルマブでした。
iPS細胞を使った目の移植治験については、準備などを含め1億以上の費用が掛かったということをこのブログでも取り上げました。この網膜細胞の移植結果については、正式な報告を見たことは無いのですが、拒否反応などの副作用もなく、順調に推移しているようです。たぶん臨床試験としては成功していると思われます。
しかし問題はその費用が膨大になる点です。特に今回は最初の試験ということで、よけい費用がかさんだとも思われますが、少しでも安価にするための工夫もいろいろされています。その一つが患者さんの細胞からiPS細胞を作るのではなく、健康であまり拒絶反応がでないような人からのiPS細胞を準備しておくという物です。これで少しは安価になるかもしれませんが、こういった再生医療が非常に効果になることは避けられないようです。
もう一つが新しいタイプの抗ガン剤の話です。これは大阪の中堅医薬メーカーが、京都大学の先生と共同で開発したもので、直接ガンに作用して殺すものではなく、ガン細胞の持つ免疫から逃れる性質を妨げ、人間の持つ免疫力によって治そうとするものです。
私はこの京大の先生の話を聞いたことがありますが、かなり難しい話でした。これを非常に簡略化すると、ガンの細胞表面にはPDL-1という抗原が発現しており、これが免疫細胞の一種であるT-細胞のPD-1と結合すると、免疫細胞の攻撃を受けなくなるようです。そこで別な抗体によりこのPD-1を抑制すると、ガン細胞が免疫系により死滅するという理論でした。
この抗体がニボルマブですが、その価格が100mgで97万円もするというのです。これを1年間続けると3.500万もかかり、日本の高額医療制度を使っても170万程度かかるようです。私はこのニボルマブはそれほど著効を示すものではなく、有効率に疑問を持っていましたので、それほど売れるとは思っていませんでした。
ところがこれが夢の新薬的な感覚で、かなり使われているようです。こうなると確かに「生命の値段」を考える必要がありそうです。
田原さんの結びの言葉にあるように、医療そのものが非常に高価になった場合、「従来は必要でなかった倫理観や法規制などを、考えなければならなくなるのではないだろうか」ということになるのかもしれません。
田原さんはいまだに討論番組などで、いろいろ面白い議論をされています。今回の記事で取り上げているのがiPS細胞による再生医療と、新しいタイプの抗がん剤であるニボルマブでした。
iPS細胞を使った目の移植治験については、準備などを含め1億以上の費用が掛かったということをこのブログでも取り上げました。この網膜細胞の移植結果については、正式な報告を見たことは無いのですが、拒否反応などの副作用もなく、順調に推移しているようです。たぶん臨床試験としては成功していると思われます。
しかし問題はその費用が膨大になる点です。特に今回は最初の試験ということで、よけい費用がかさんだとも思われますが、少しでも安価にするための工夫もいろいろされています。その一つが患者さんの細胞からiPS細胞を作るのではなく、健康であまり拒絶反応がでないような人からのiPS細胞を準備しておくという物です。これで少しは安価になるかもしれませんが、こういった再生医療が非常に効果になることは避けられないようです。
もう一つが新しいタイプの抗ガン剤の話です。これは大阪の中堅医薬メーカーが、京都大学の先生と共同で開発したもので、直接ガンに作用して殺すものではなく、ガン細胞の持つ免疫から逃れる性質を妨げ、人間の持つ免疫力によって治そうとするものです。
私はこの京大の先生の話を聞いたことがありますが、かなり難しい話でした。これを非常に簡略化すると、ガンの細胞表面にはPDL-1という抗原が発現しており、これが免疫細胞の一種であるT-細胞のPD-1と結合すると、免疫細胞の攻撃を受けなくなるようです。そこで別な抗体によりこのPD-1を抑制すると、ガン細胞が免疫系により死滅するという理論でした。
この抗体がニボルマブですが、その価格が100mgで97万円もするというのです。これを1年間続けると3.500万もかかり、日本の高額医療制度を使っても170万程度かかるようです。私はこのニボルマブはそれほど著効を示すものではなく、有効率に疑問を持っていましたので、それほど売れるとは思っていませんでした。
ところがこれが夢の新薬的な感覚で、かなり使われているようです。こうなると確かに「生命の値段」を考える必要がありそうです。
田原さんの結びの言葉にあるように、医療そのものが非常に高価になった場合、「従来は必要でなかった倫理観や法規制などを、考えなければならなくなるのではないだろうか」ということになるのかもしれません。