ごっとさんのブログ

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大麻の成分カンナビノイド

2016-07-24 10:22:03 | 
最近また元俳優が覚せい剤や大麻を所持していて逮捕され、情報番組などでいろいろ取り上げられています。

覚せい剤は体に悪影響があることは確認されていますが、大麻については近年いろいろと効能が明らかになってきて、医療用大麻という概念も出てきたようです。

大麻の成分はカンナビノイドと呼ばれ、おそらく10種類以上の類似物質が含まれています。この特徴としては、通常の天然物の多くは窒素を含むアルカロイド類が多いのですが、これは炭素・酸素・水素だけから成り、既存の物とはかなり異なった面白い構造をしています。

このうち幻覚などの陶酔作用があるのはTHC(名称が長いので略号だけにします)のみとされています。最も多いのが名称の由来であるカンナビノールで、古くから色々な薬理作用が調べられていました。といってもいわゆる精神作用が主体でしたが、治療用にも使われているようです。特に恐怖体験などによって発生したトラウマ症状を緩和させるために、PTSDなどの症状軽減に使われているようです。

こういった成分が発見されると、類似物質の合成研究が盛んに行われます。本来研究用にスタートしたものが、例えば覚せい剤の合成研究が悪用され、多数の危険ドラッグが生まれたりしますので、こういった研究もなかなか難しい部分もあります。こういった中でカンナビノイドの阻害剤なども合成され、食欲抑制剤いわゆる抗肥満薬なども開発されたようです。但しこういった性質の薬剤は、うつ病などを誘発する恐れがあるとして、すぐ発売中止になっています。

これに関連した面白い生理作用として、ランナーズハイという現象が知られています。これは長距離を走り続けていると、気分が高揚してくるという現象で、エンドルフィンという物質の分泌と考えられていました。しかし最近の研究でこれがカンナビノイドの分泌であることが分かってきました。

こういったものを内因性カンナビノイドと呼びますが、人間もこれを作る能力があり、必要に応じて脳内に分泌されていることが分かってきたのです。ストレスの多い現代社会に生きる脆弱な脳が、“快楽”と“忘却”を司る内在性カンナビノイドによって、ストレスの解消を図っていると考えられるようになってきたのです。

そのほかこのカンナビノールがてんかんの発作を抑えたり、ガン細胞の増殖まで抑制するというようなデータも出ていると言われています。麻薬であるモルヒネが医療現場では重要な鎮痛薬として使用されているように、カンナビノイドが使われようになるのかもしれません。