先週はオウム真理教による、地下鉄サリン事件から20年ということで、いろいろ特集が報道されていました。20年たった今でも後遺症で苦しんでいる人が大勢いるようで、全く許しがたい犯罪でした。
あの事件後は、私の研究室にも捜査員が来て、いろいろ聴取されましたが、サリン原料となるいろいろな試薬を購入していましたので、捜査対象になったようです。用途などいろいろ説明したのですが、たぶん何もわからないまま大丈夫そうといことで、終わったようです。
私の専門的なことはこのブログでは書いてきませんでしたが、わかりやすく書くことがかなり難しい特殊なことをやっていました。簡単に言えば、新しい薬を目指していろいろなものを合成していくという仕事ですが、いろいろ留意点がありました。その一つが毒性です。毒物というと青酸カリやヒ素がありますが、これは天然の物質で、時々使いますがそれなりに注意すれば問題はありません。それよりも難しいのが、人が作り出す毒物、例えば化学兵器として開発されたいわゆる毒ガスの様なものです。サリンもこの仲間になりますが、戦争中は非常に多くの化学兵器が作成されました。我々はいろいろな物質を作り出しているわけですが、偶然こういった毒物を作り出してしまう可能性が常にあります。そういったことのないように、毒物については詳しい知識が必要となってくるのです。
化学兵器の一つであるホスゲンという化合物がありますが、これは我々にとって非常に用途の多い試薬となっていました。これを使ってある化合物合成をやったとき、十分注意していたのですがある程度吸ってしまったようです。ホスゲンはかなり遅効性であり、吸った直後は何ともないのですが、数時間たってから毒性が出てきます。家に帰って明け方に呼吸が苦しくて目が覚めました。ホスゲンの対処法は準備していましたので、急いで薬を飲みじっとしていましたが、救急車を呼ぶべきかかなり迷うくらい苦しかった記憶があります。それでも1時間ぐらいで楽になり、次の日を休む程度で元気になりました。
こういったこともあり、毒ガスのような化学兵器については徹底的に調べ、どういったものは作ってはいけないかを共通の知識とするわけです。そういった注意をしていても、実験に使った動物がすべて死んでしまうような毒物ができてしまうことがありました。こう書くと非常に危険に感じるかもしれませんが、30年近くやっていて2,3回程度の頻度ですので、通常は安全な仕事です。
別に”薬と毒とは紙一重”という意味ではありませんが、長いことやっているといろいろ危ないこともあったという昔話を、サリン報道で思い出しました。
あの事件後は、私の研究室にも捜査員が来て、いろいろ聴取されましたが、サリン原料となるいろいろな試薬を購入していましたので、捜査対象になったようです。用途などいろいろ説明したのですが、たぶん何もわからないまま大丈夫そうといことで、終わったようです。
私の専門的なことはこのブログでは書いてきませんでしたが、わかりやすく書くことがかなり難しい特殊なことをやっていました。簡単に言えば、新しい薬を目指していろいろなものを合成していくという仕事ですが、いろいろ留意点がありました。その一つが毒性です。毒物というと青酸カリやヒ素がありますが、これは天然の物質で、時々使いますがそれなりに注意すれば問題はありません。それよりも難しいのが、人が作り出す毒物、例えば化学兵器として開発されたいわゆる毒ガスの様なものです。サリンもこの仲間になりますが、戦争中は非常に多くの化学兵器が作成されました。我々はいろいろな物質を作り出しているわけですが、偶然こういった毒物を作り出してしまう可能性が常にあります。そういったことのないように、毒物については詳しい知識が必要となってくるのです。
化学兵器の一つであるホスゲンという化合物がありますが、これは我々にとって非常に用途の多い試薬となっていました。これを使ってある化合物合成をやったとき、十分注意していたのですがある程度吸ってしまったようです。ホスゲンはかなり遅効性であり、吸った直後は何ともないのですが、数時間たってから毒性が出てきます。家に帰って明け方に呼吸が苦しくて目が覚めました。ホスゲンの対処法は準備していましたので、急いで薬を飲みじっとしていましたが、救急車を呼ぶべきかかなり迷うくらい苦しかった記憶があります。それでも1時間ぐらいで楽になり、次の日を休む程度で元気になりました。
こういったこともあり、毒ガスのような化学兵器については徹底的に調べ、どういったものは作ってはいけないかを共通の知識とするわけです。そういった注意をしていても、実験に使った動物がすべて死んでしまうような毒物ができてしまうことがありました。こう書くと非常に危険に感じるかもしれませんが、30年近くやっていて2,3回程度の頻度ですので、通常は安全な仕事です。
別に”薬と毒とは紙一重”という意味ではありませんが、長いことやっているといろいろ危ないこともあったという昔話を、サリン報道で思い出しました。