ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

パリバオープン 4回戦

2015-03-21 10:28:59 | テニス
昨日に続いて、パリバオープン4回戦の錦織です。相手はスペインの33歳の選手で左利きですが、強いサーブはあるもののストロークはあまり攻撃的でなく、特にバックはほとんどスライスという情報でした。したがって大体が錦織優位の予想でした。実はこのLiveは午前3時からになっており、録画してからゆっくり見る予定でしたが、もし最後の試合になるようだと生で見たいということで、3時に起きだしました。見終わってから寝なおすので、ウイスキーの水割りを飲みながらの観戦になりました。

出だしはどうかと気にしていたのですが、1ゲーム目のリターンゲームで、簡単にブレークポイントまで行きました。残念ながら相手に粘られこのゲームは取れなかったのですが、何となくこれならばという感じになりました。しかしあとから考えると、ここは何としてもリードしなければいけなかったようです。ゲームが進むにつれ、相手のスライスの頻度が増えてきたのですが、これが非常に深くラインぎりぎりに入ってきます。また錦織の決めのショットの様なものも返され、よけい厳しいところを狙うため、ミスが増えてきました。ところが4-5となった錦織のサービスゲームで、錦織がネットに出て失敗しました。かみさんとなんでこんなところで出るのかと、がっかりしていたら、解説者が「失敗はしたが、積極的な攻撃でよい」とのコメントであきれているうちに、このゲームを取られ1セットを失いました。

2セット目も早い段階でサービスを破られ、リードされてしまい、これでダメかとあきらめたのですが、何とか奪い返しタイになりました。それでも相変わらず無理な攻めをして、ミスを連発しています。それでもタイブレークになれば、粘りのテニスが出てくるので、このセットを取れば期待できるかと見ていました。ところがタイブレークになり、まさかのダブルフォルトが出てしまったのです。タイブレークは一つのミスで取られることが多いのですが、その他のミスも出て、ストレート負けになってしまいました。

今回錦織の試合を3戦見たわけですが、結局錦織らしさが出ませんでした。その後の錦織のインタビュー記事を見ると、コートが苦手だけではなく、ボールも非常に重く固かったようです。しかし常にトップ10をキープするには、どんな環境でもすぐに対応する必要があります。まあこれで錦織の課題が見つかったのかもしれません。
最後に、すべてをNHKが中継してくれて非常に良かったのですが、欲を言えばアナウンサーもテニス中継に慣れていないようで、不必要な発言が多く、解説者も初めて錦織の試合を見たようなものでした。この辺はWOWOWを見習ってほしいところです。

来週から早くも次のマスターズである、マイアミオープンが始まります。またNHKが中継してくれるようですので、錦織らしさを期待してみるつもりです。

錦織ベスト8進出ならず

2015-03-20 10:25:46 | テニス
現在テニスのBNPパリバオープンが、カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されています。この大会は、グランドスラムの次に大きなマスターズといわれるATP1000の戦いで、トップ10の選手は全員出場しており、錦織は第5シードで登場です。日程も10日間とゆったりしており、3セットマッチですので、選手の体の負担も少ない試合です。錦織はかなり恵まれたドロー(組み合わせ)におり、順調にいけば準々決勝のマレー戦に期待がもたれるという状況でした。ただここのコートはやや苦手としているようで、昨年は3回戦敗退でした。ファンとして嬉しいのは、NHKが錦織の試合を生中継することで、場合によっては録画してゆっくり見られるという、うれしい大会となりました。

シード選手は1回戦が免除されているので、錦織は2回戦からの出場となりました。日本時間では午前3時や5時という時間帯となりますので、この試合は録画して、起きてからゆっくり観戦しました。ところがこれがひどい試合になってしまいました。この大会のコートは、ハードコートなのですが、ボールが跳ね上がりスピードが落ちてしまうという、いわゆる非常に遅い設定になっていました。このため錦織得意のラリー戦になったとき、普通ですと決まってポイントになるようなショットに、相手が追いついてしまい返球されてしまうのです。またボールは非常に高く跳ね上がりますので、身長の低い錦織には不利になってしまいます。そのためより厳しいコースを狙うため、ミスが増えてしまいました。
それでも相手はかなり下位の選手でしたので、お互いミスだらけの試合の中で、何とか錦織が1セット目を取りました。2セット目に入り、やっと錦織もこのコートに慣れてきたのか、少し落ち着いた展開になり、少しは錦織らしさも出て、ストレートで勝利しました。

この初戦を見る限り、マスターズ初制覇どころではなく、次の試合が不安になってきました。3回戦は左の選手で、やややりにくいようでしたが、相変わらずミスは多いものの1セット目を取りました。ところが2セット目はなかなかリードが奪えず、タイブレークまで行ってしまいました。それでもこういう時の錦織は、非常に集中しており、あいてのちょっとしたミスに付け込んで勝ってきましたので、安心していたのですが、何と錦織にミスが出て取られてしまいました。それでも3セット目は落ち着いており、なんとか2-1で勝つことができました。
どうもこのコートでは、錦織らしさが発揮できないようですが、3セットやって1度もサービスゲームを破られなかったので、少しは良くなっているのかと4回戦に期待しました。

まあ4回戦で負けてしまったのですが、これは悔しいので次回書いてみます。

薬が患者さんに届くまで 代謝

2015-03-19 10:44:21 | 
薬の性能について何回か書いてきましたが、代謝の問題の続きです。
薬を投与してから、体内でどのように代謝され、どんな物質に変換されるかを調べること自体大変な作業でした。しかし分析技術・装置が進歩して、比較的簡単に調べることができるようになったのですが、新たな問題が出てきました。この分析技術が進歩したことにより、感度が格段に上昇してきました。少し前ならとても検出できないような、微量物質も検出できるようになってきました。つまり代謝物として、性質を調べなければいけない物質がどんどん増えてしまうのです。現在の規制がどうなったかよくわかりませんが、たぶんある程度の量で切ることになっていそうです。

余談ですが、この分析技術の革新で一番困っているのが、排水処理などです。工業廃水などは、含まれる有害物質などが細かく規制されています。特に毒性が強いものは、検出されてはいけないということになっています。ところが昔の検査法では出ないものの、新しい簡単な方法では感度がよくなっているので検出されてしまうのです。そこで昔の”○○法で検出されないこと”と規定されています。そのためいまだに数十年前の大がかりで面倒な検査法を使わなければいけない項目が多くなっています。

さて代謝の話に戻りますが、この代謝物から開発された薬があります。20年ぐらい前の話ですが、高脂血症の治療薬の探索が始まったころです。ある製薬メーカーが、カビの生産物の中から、コレステロールの合成を阻害する物質を見つけました。この物質は非常に活性は強いのですが、若干問題があり、さらにすぐれたものの探索を続けました。その結果元の化合物の犬の尿中に出てきた代謝物が、非常に優れていることが分かったのです。このメーカーはその製造法を探し、放線菌という微生物を使って変換する方法を開発しました。この高脂血症治療薬は、世界に展開し単品で最大売上げを記録するほどの商品になりました。

最後の排泄ですが、経路としては尿中排泄と、腸管排泄があります。腸に排泄されると再吸収の問題が出ますので、できれば如中排泄が望ましいことになります。排泄の速度も重要で、あまり早いと効果が薄くなり、遅いと副作用などが出やすくなってしまいます。特に完全に排泄されることが重要で、体内に蓄積されるようでは、薬になりません。排泄の問題は何か工夫で調整することはできませんので、より大切な事項といえます。

今まで何回か書いてきたように、吸収・分布・代謝・排泄がすべてうまくいって初めて開発対象となるわけです。

少年法と更生

2015-03-18 10:51:30 | 時事
昨日、未成年者の犯人の実名報道は許されるかというテレビ番組を見ました。最近起きた中学生殺害事件の、主犯格の容疑者の少年を、ある週刊誌が写真付きで実名報道したようです。この出版社の幹部と、反対の弁護士の国会議員が主に議論するという番組でした。
実名報道反対意見は、少年の場合更生を主眼としているので、実名を出してしまうと、その更生の妨げになるというものでした。しかし他の出演者も場合によっては、実名報道すべきという意見が多く、少年法自体を不要であるという意見まで出ました。

私は未成年というだけで、それほど保護する必要はないと思っています。本来こういう番組であるならば、未成年の犯罪者の再犯率など出すべきですが、そういうデータがないのかもしれません。今回のような凶悪な殺人という犯罪で、容疑者が犯人であることが確実な場合は、実名報道すべきと思っています。
現在の少年法では、未成年者は鑑別所に入れられ、少年院に入れるべきかどうかを判断されるシステムになっています。これを利用し、鑑別所では非常におとなしくして、少年院送りを逃れようとする少年が多いと聞きます。逆に言えば、こういったことがわかっていながら、少年院に送られるような少年は、更生の可能性がないような気がします。

話は変わりますが、日本の刑罰の判定は、本人の意思を非常に重視しています。つまり犯人に殺そうとする意図がなければ、殺人罪は成立しません。たぶんこの基本理念があるために、責任が取れるかどうかを、精神鑑定ということになるようです。しかし私はこの流れに非常に違和感を持っています。なぜ精神疾患があり、責任能力がないと起訴さえされないのでしょうか。例えば酒に酔って、あとからその時の記憶が全くない状況は、似たようなもので責任能力がなかったということになりそうですが、全く考慮されないようです。

日本の刑法も犯罪者の更生を主眼に構築されているようですが、体制は必ずしもそれに即していないような気もします。少年院や刑務所は、犯罪者の巣窟になっているわけですので、入所して更生するどころか、よけい悪くなって出てくるというような話も聞きます。ではどうすればよいかというと、なかなか具体的には思いつきません。

少年法の年齢の見直しは、選挙年齢の引き下げなどと連動して見直されるはずですが、どうすれば犯罪が減るのかという観点からの、十分な議論が必要と考えます。

私は、現在の裁判員制度に批判的です。このあたりの話はまたどこかで書きます。

アニサキスとがん

2015-03-17 10:46:57 | 健康・医療
最近、新聞やネット、テレビで線虫の一種であるアニサキスを用いたがん診断が話題になっています。アニサキスは、長さ1mm程度の寄生虫で、通常魚などに寄生していますが、生で食べることによって食中毒を起こすことが知られています。報道によりますと、食中毒を起こした患者さんから、アニサキスを除去しようとしたところ、早期の胃癌に食いつていたということから、診断できるのではということで、研究が始まったようです。
現在のところ、がん患者の尿と健常者の尿にアニサキスを加えると、健常者の尿からは逃げるような行動をとり、がん患者の尿に集まってくるということです。がん患者20数人を調べたところ、95%の有効率で尿に集まったと報道されています。これが実用化できれば、安価ながんの早期発見法になるのではないかと話題になっています。

がんの診断法として、がんマーカー試験が行われています。これはがん細胞表面に特異的な抗原が発現し、血液中に出てきたこの抗原を抗体を用いて検出するというものです。しかしこのがんマーカーは、まだすべてのお医者さんが認知しているわけではないようです。ある病院では十数年前から、がんマーカーを指標としてがん治療を行っているところもあれば、この数値を信用せず、全く測定しない病院もあります。また抗体法ですのでかなり高価な測定となります。

そこでアニサキス法の可能性についてです。私の隣の研究室が、臨床検査法の開発をしていただけの情報ですので、しょせん素人ですが、生物を用いた検定法はかなり難しいと思います。たぶんアニサキスという生物の品質管理ができないでしょう。
私の専門からいえば、がん患者の尿にアニサキスが集まるというのであれば、何か誘引物質があるはずです。尿からこの誘引物質を、アニサキスを指標として見つけ出すことは可能と思われます。現在はこういった微量物質の精製や同定技術は、非常に進んでいますので、たとえ混合物であっても同定できそうな気がします。
それが決まれば、科学的に測定するのは、既存の方法になりますので、新しいがん検査法となるかもしれません。

がんの早期診断は、特に若い人にとっては非常に重要な問題です。今回のアニサキスを用いた方法が開発されるかどうかはわかりませんが、こういった新しい発見から新たな診断法や、場合によっては治療法につながると期待しています。