ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

悪性のガンの診断薬を開発

2016-05-26 10:37:47 | 健康・医療
東京工業大学と量子化学技術研究開発機構などの研究グループは、悪性度の高いガンの高精度診断法につながる技術を開発したと発表しました。

実験では1.5㎜ほどの小さな転移ガンを発見できるとしています。この診断方法は基本的にはMRIを用いて、診断薬を加えることで画像が区別できるようです。ガンは早期発見という発見時期だけではなく、悪性かどうかによってその治療法やその後の方針に大きな違いが出るようです。

ガンについてはこのブログでも何度か触れてきましたが、ガンの中にさらに悪性といわれるものがあるというのは知りませんでした。腫瘍の中には良性のものと悪性のものがあり、その悪性腫瘍をガンと定義しています。またガンは細胞中の遺伝子の変異によっておこりますが、ガン化するような遺伝子の変異部位は非常にたくさんあり、それが異なっていれば違うガンということになります。

それだけに一律の治療方法では、効果が出る場合や全く効かないガンも出てくるわけです。どうもここでいう悪性のガンとは、そういった治療方法に抵抗性があり、転移しやすいガンということのようです。

この診断法開発のために、研究グループは、ガンの「低酸素領域」に注目しました。これは腫瘍の増殖と、そこに酸素や栄養を供給する血管新生のアンバランスによって起きるものです。またガン細胞中に新たに形成される血管は、通常組織の欠陥に比べてかなり脆弱とされています。そのため腫瘍内ではやや酸素不足が起きてくるようで、これが「低酸素領域」ということになります。またこのような血管だと投与した抗ガン剤も十分に運ばれず、効果が出にくいとされています。

この低酸素領域では、周囲のpHがやや低いことが知られていました。通常の血液中のpHは7.4程度の中性ですが、低酸素領域では6.5程度と弱酸性になっています。そこで研究グループはリン酸カルシウムのナノ粒子に、MRIの造影効果を持つマンガン化合物を搭載させた造影剤を作成しました。このナノ粒子は、通常の中性の血管中では安定ですが、弱酸性の「低酸素領域」では分解し、マンガン化合物を放出する仕組みになっています。

実際のMRI画像が示されていましたが、単なるMRIではちょっとしたふくらみとして映っていますが、この造影剤を投与後再測定すると、マンガン溶出が起きた部分は明るく光って映っていました。このように2枚のMRI画像を比べることにより、悪性のガンかが判断できるというものです。悪性かどうかを判断するというよりは、本当にガンかどうかの判断がより明確にできる診断法といえそうです。

単細胞生物から多細胞生物へ

2016-05-25 10:41:23 | 自然
東京大学や国立遺伝病研究所など内外の共同研究チームが、単細胞生物と多細胞生物の中間的特徴を持つで「ゴニウム」の全ゲノム解析を行ったと発表しました。

これを読んだときはそれほど面白いと思わなかったのですが、単細胞生物として生まれた生命がどうやって動物や植物のような多細胞生物となったかは、生命の不思議の一つかもしれません。

解説によると、最初の多細胞生物が生まれたのは、約10億年前とされています。これでもあまりにも前過ぎてピンと来ませんが、生命の誕生が35億年前ですので、単細胞から多細胞に進化するのに25億年もかかったことになります。この多細胞化という進化が起きなければ、現在の動物や植物の生物社会はなかったわけですから、この多細胞化は大きな変換点と言えます。

多細胞になるためには、細胞同士の接着はもちろん、まわりの細胞との協調が必要となりますので、細胞間での情報伝達が必要となり、こういった機能が発達するのに25億年もかかったということになります。生命が単細胞として生きていくよりは、多細胞化して一つの固体になり、各細胞が色々な役割を担った方が有利というところから多細胞生物が生まれたのでしょう。

そのためには様々な細胞が必要となり、それを分化と呼んでいますが、非常に異なっているように見える細胞でも、その遺伝子は全く同じものを持っているというのは、この単細胞から多細胞化への進化の流れかもしれません。人間も生殖細胞として1個の細胞から始まりますが、これが分裂増殖していくうちに、あるものは心臓の組織になったり、別な物が脳になったりと分化していきます。

この分化の謎を解く手がかりが、単細胞生物から多細胞生物への進化のメカニズムを調べると、なんらかの手がかりが得られるのかもしれません。この共同研究チームは、緑藻の一種であるボルボックスに注目しました。

この仲間は単に偶数個の固体が集まって、一つの固体を形成するという簡単な生物です。そのうちの16個が集まっている「ゴニウム」の遺伝子を解析したところ、細胞周期の調節を行うRB遺伝子と、それを制御するタンパク質が多細胞化の原因であることを突き止めたと言います。

「多細胞化」においてはまず細胞周期を調節する遺伝子群が進化し、その後に多細胞体の増大や細胞の役割分担に関連する遺伝子が増加・進化したことが推測されたと研究チームでは説明しています。これを読んでもよくわかりませんでしたが、こういった単細胞と多細胞の中間のような生物を研究することにより、生命の進化の新しい発見が出てくるのかもしれません。

東京都知事のセコイはなし

2016-05-24 10:29:30 | 時事
このところずいぶん長い間、情報番組やニュースでは東京都知事の政治資金の用途の問題が取り上げられています。

タイトルに書いたように都知事にしてはセコイことをしている程度で、あまり取り上げるつもりもなかったのですが、もう2週間以上話題になっていますので、感想など書いてみます。

週刊誌の記事が発端だったようですが、その後都知事になる前の色々な用途までほじくり出されて、釈明の方法もおかしくなったような気がします。

こういった問題は、前知事の猪瀬さんが辞任した時から若干疑問に思っていました。こちらは怪しげでその後何かの不正が明らかになった団体から、借金をしたか政治献金を受けたかということでした。この事件について、私としては単純に猪瀬さんが借りるかもらうかしたときは、特に不正な団体というわけではないので、責任を取る必要はないと感じていました。

しかし結果としては、知事辞任という結末になりました。私は小説家としての猪瀬さんを認めていたこともあるのですが、石原都政の副知事として、その後知事として良い仕事ができる人と感じていました。都政の内容を知っているわけではないので、あくまでも感覚の問題です。都知事として都政を運営している内容になにか問題があるのならば、辞任すべきですが、この時の事件は都政とは関係ないと思います。

この猪瀬さんの辞任によって、誰が利益を受けたのでしょうか。首長というものは、市民のために働いているはずで、東京都民にメリットがあったとはとても思えません。どうも日本は政治家だけでなく、トップの人たちに清廉潔白を要求しすぎるような気がします。極端な云いかたをすれば、本当に清廉潔白な人は、そもそも政治家などにならないような気もします。いわば清濁合わせ呑むような人でないと、勤まらない様な気もします。これは私の個人的な見解です。

現在の舛添知事はこの突然の辞任のいわばピンチヒッターとして登場しわけですが、主張などを聞くとそれなりにできそうな人と思っていました。今回の事件は、政治資金規正法などの法的責任はないと思われます。あくまで道義的な責任ですが、若干の公私混同ぐらい大目に見てもよさそうな気がします。今回の会見では、あくまで第三者機関の調査を待つということしかなかったようですが、これでは悪印象が増すだけです。むしろ「ごめんなさい、これから知事として頑張りますので許してください」のほうが収束しそうな気がします。

これからどういう展開になるのか分かりませんが、また辞任して多額の金をかける選挙で、くだらない人が都知事になることは避けて欲しいものです。

ALS新薬の臨床試験実施

2016-05-23 10:24:49 | 健康・医療
東北大学と大阪大学の研究グループが、ALSの新薬の臨床試験(第二相)を実施すると発表しました。

ALSは筋萎縮性側索硬化症という難病で、筋肉が徐々に障害を受け動かなくなるという恐ろしい病気です。

実は私がまだ薬の開発をしていたころ、このALSの治療薬の探索の検討をしたことがありました。こういった難しい病気で患者数が少ないということは、薬のメーカーにとっては利益にならない仕事になります。それでもこういった特定疾病については、ある程度推奨されていました。

当時はこの病気は名前の通り、筋肉が萎縮して起きると考えられており、筋肉を活性化する薬という方向で検討しました。こういった研究では薬の効果を調べる評価グループとの連携が重要で、いろいろミーティングを行いましたが、結局この病気に対応した評価系の構築ができませんでした。ということで具体的には何もできず終わってしまいましたが、その後ALSの研究が進み、この病気は筋肉の萎縮ではなく、脳から筋肉への指令が届かなくなる、つまり神経系の病気であることが分かりました。

この病気はMRIやCT、血液検査といった項目はすべて異常が出ませんが、筋電図検査で運動ニューロンの障害を証明することで、やっと診断ができるようです。この運動ニューロン障害以外脳の働きには全く異常がなく、その原因はわかっていません。現在でもアミノ酸の代謝障害や自己免疫疾患といったことが言われていますが、はっきりした原因を特定するに至っていません。

今回研究グループが試験する新薬は、HGFという幹細胞増殖因子と呼ばれるタンパク質です。このHGFは運動神経を保護する作用があり、今回の臨床試験で効果が確認されれば、初の治療薬となる可能性が高いと期待されているようです。これまでラットの実験で、筋力低下が抑制され、生存期間が1.6倍伸びることが確認されているようです。

今回の臨床試験は、比較的症状の軽い48人を対象として、2週間に1回このHGFを投与し、最長1年間続けるというものです。ALSについては、いくつかの既存薬があるのですが症状の進行を抑える効果は十分出ていないのが実態です。HGFは日本で発見された生理活性物質で、その後の研究で細胞死を防いだり血管新生を促す働きがあり、疾病により障害された組織の再生や保護に関わっているとされる物質です。

どういうきっかけでこのHGFをALS治療に用いるようになったかわかりませんが、いわゆる低分子薬よりもこういった天然の生理活性物質のほうが、何となく効果が期待できるような気もしています。

スーツケースの破損と全日空

2016-05-22 10:38:28 | 旅行
1か月ほど前ですが、かみさんが友人たちと石垣島のほうへ旅行にいったことをこのブログにも簡単に書きました。

その帰り羽田まで迎えに行き、30分ほどの遅れで到着し、駐車場まで行く間にスーツケースの動きがおかしいのに気付きました。このときは遅かったので、そのまま帰り家でよく見たところ、キャスターの片方が完全に壊れ、車輪が外れてしまいました。

本来このスーツケースは、機内持ち込みのサイズなのですが、ソフトケースのため荷物でやや膨らみ、機内に持ち込めなかったようです。これは飛行機からの出し入れで壊れた可能性が高いので、全日空のHPを調べたところ、器物破損という担当がありましたので、かみさんが電話したようです。この時の係員の対応は非常に良かったようで、さすが全日空と感心していました。

結局スーツケースを送り修理してもらうことになったようですが、こんなものをどう梱包するのか考えていたら、向こうから送るための一式を送ってくれることになったようです。比較的早く梱包する袋や、着払いの送付状などが丁寧な詫び状と一緒にきました。しかし私が見たところでは、キャスター部分が大きくひび割れ、とても修理できそうな感じではありませんでした。

またこのスーツケースは友人からもらったものの様で、それほど使ってはいませんがかなり古くあまり高価でもないので、それだけ手間をかける価値もなさそうでした。それでも送る道具はそろっているし、こういったものに全日空がどういう対応をするのか見たい気もあり、ゆうパックで送りました。

しばらくたって連絡があり、やはり修理不可能という結果でした。こういう場合は、自分で新しいものを買うときは3千円か4千円の商品券を送ってくるということでした。また代替品でよい場合は、カタログを送るから選んでくれという内容でした。私の感じでもこのスーツケースはそれぐらいの価値しかなさそうなので、カタログを送ってもらうことにしました。

このカタログを見ると、いわゆる一流メーカーの物はありませんが、何種類かの色々な大きさが揃っており、価格も2万数千円とかなりよさそうなものでした。かみさんは値段の差額はどうなるのかなどと言っていましたが、代わりに出すと言っているので無料のはずで、結局その中から気に入ったものを選び返送しました。

その新しいスーツケースが昨日届きましたが、若干色がカタログと違っているようでしたが、かなり良い品物でした。これでスーツケースの破損問題は解決しましたが、一連の全日空の対応は非常に良いものでした。さすが全日空でこういったシステムもしっかりしているようです。