ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

細胞から生まれた「ミニ大脳」が進化

2018-05-05 10:40:51 | 自然
ヒトの大脳皮質スフェロイドまたは神経オルガノイドと呼ばれる「ミニ大脳」が誕生したのはほんの数年前と言われています。

カルフォルニア大学の研究チームは、このミニ大脳が驚くほど進化したことを発表しました。最初のミニ大脳は幹細胞を化学的操作で原神経細胞へと形成し、それを適当な水につけて球状の塊に成長させたものにすぎませんでした。

それでもジカウイルスによって引き起こされる小頭症など、重篤な脳障害の研究をするために役立っていました。次第にこのオルガノイドは成長し、単純な平面だったものが3D構造へと進化し、別の種類の脳オルガノイドと結合したり、電気を通したりできるようになりました。

それでも神経オルガノイドは、未だ成人の大脳とは似ても似つかず、発生学的にはまだようやく第2期の組織体まで進んだ段階です。

研究チームの基本は、「神経オルガノイドの発想は、患者が失った脳組織をいつか患者自身の細胞から作り出せるはずだ。」というところにありました。そこで通常の手術の際に患者からとった脳膜細胞を幹細胞へと変換し、その一部を血管内部の辺縁部にある内皮細胞に変換しました。

この幹細胞が脳オルガノイドへと成長すると、研究チームは内皮細胞を入れたゲル状のシートで3週間培養しました。その後オルガノイドを取り出し、マウスの脳に慎重に開けた小さな空間に移植しました。このオルガノイドは2週間たっても元気に生きており、毛細血管が生成され内側の層にまで浸透していました。

つまり血管が自己組織化し、血管を持つミニ大脳ができたことになるわけです。この実験ではマウスの血液が毛細血管に流れ込んでいるかは明らかにできませんでしたが、血管自体については確かに人間の細胞から生成されていることを証明しました。

このような実験は他の研究機関でも行われていますが、移植した組織にはマウスの血管が入り込んでいるようです。今回の実験のように大脳オルガノイドが血管を自己組織化すれば、色々な手法によりはるかに長い期間にわたって生育できるようになる可能性は高く、マウスを使う必要はなくなるとしています。

そうなれば、大脳オルガノイドは複雑な臓器まで成長する可能性が出て、非常に大きな進歩と専門家は評価しています。今回はまだ血管が入った組織ができただけの本当に初期の段階にすぎませんが、単純な細胞の塊から自然の脳組織への進歩と言えるのかもしれません。

研究チームは脳を作るということについての倫理的問題も指摘していますが、今回の成果は本当に第一歩を踏み出した程度ですので、まだまだ先の話のような気がします。


働き方改革と今年度春闘

2018-05-04 10:42:36 | 時事
安倍政権が今国会の最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」は成立するのかどうか微妙なところです。

この法案の中身をよく知っているわけではありませんが、長時間労働の是正や、同一労働同一賃金などいろいろ問題があるようです。やや遅くなりましたが、今年の春闘ではこういった働き方改革を先取りするような回答も多く出ているようです。

こういった改革の必要性は、色々なところで発生した過労死問題が一つのきっかけにもなっているようです。私の意見としては、必ずしも長時間労働が過労死の原因ではないと思っています。

私は特殊な職場でしたので、一般的な状況はよく分からないのですが、過労死に至るにはその仕事の内容(やりがいがある仕事か等)や上司や同僚との人間関係といった複雑な要因がからんでいると思います。

ですから単に残業時間の上限を設けたり、休息の時間を入れたりしても、過労死の問題が解決できるとは思えません。ただ法律上や環境整備といった、予防できそうなことはその程度なのかもしれません。

今回の春闘で目立ったことは、終業と始業の間に一定の休息を確保する「勤務時間インターバル制度」を組合が要求し、導入で妥結した企業も増えてきたようです。当然これも大手がけん引しているわけですが、過酷な勤務時間をなくすというには良い制度のような気もします。

また労働時間を短くする動きも広がっているようで、祝日が土曜日に重なっても独自の振り替え休日を設けるような企業も出てきているようです。法案には、長時間労働の是正策として残業時間の上限を年720時間とする規制が入っているようですが、すでにこの時間に引き上げる企業も出てきているようです。

こういった流れは、昨年まで各社とも様子見だったものが、今年は政権が法制化に動き出したことで一気に議論が進んだようです。

同一労働同一賃金という面でも注目される動きがありました。これは当然非正社員の待遇を引き上げることが目標ですが、ある企業では一部の住宅手当を廃止するなど正社員の待遇を引き下げることで妥結しています。これで正規、非正規の差を縮めたことになるのかやや疑問ですが、企業としては当然の流れなのかもしれません。

しかしこういった動きは大企業だけであり、中小はほとんど進んでいないようです。こういった法整備が進むと企業間で労働条件の格差が広がるという懸念はありますし、この法案で本当に働きやすい環境ができるか問題も残っています。

やはり国会ではこういった法案の徹底的な審議こそ優先してほしいものです。


ガンを薬で治せる時代は?

2018-05-03 10:43:20 | 
副作用の少ない薬だけでガンを治せる時代は来るのでしょうか。現在「免疫チェックポイント阻害剤」と「分子標的治療薬」に期待がかかっているようです。

日本では2人に1人がガンに罹り、3人に1人はガンで亡くなるといわれています。1981年に死因のトップに躍り出たガンは、超高齢時代と相まって、年間37万人以上の命を奪っています。

これは私の個人的感想ですが、私ぐらいの歳になるともう余命はそれほどありませんので、ガンに罹ってもつらい治療を受けず、自然に放置しても寿命はあまり変わらないような気もします。

局所に留まったガンならば、手術で取り除くあるいは放射線を照射するのが、今のところ確実性が高い治療といえます。しかし残念ながら、再発転移したガンには全身療法である薬に頼らざるを得ないのが現状です。

抗ガン剤の基本は1940年代から細胞毒性物質を中心に発展してきました。これは「毒を持って毒を制する」という言い方をする人もいますが、細胞を殺す化学物質という点では、正常細胞にも作用し強い副作用が当然という薬ばかりでした。

この時代は抗菌剤、天然由来の毒物、プラチナなどの有毒物質が抗ガン剤に応用され、一定の延命効果を納めていますが、固形ガンでは根治を目指せるものはほとんどありません。

こういった状況の中2014年、免疫チェックポイント阻害薬という新しいタイプの抗ガン剤としてオプジーポが登場しました。これは非常に高価な薬として注目を集めましたが、発売当初100mgあたり73万円(1年間で3500万円)だったものが、16年には一気に半額の36万円まで引き下げられ、さらに今年の薬価改定で28万円と6割安くなりました。

それでも通常の薬と比較してはるかに高く、ある意味問題を残しています。このガン細胞に発現する免疫のブレーキ役となるPD-1というタンパク質の阻害剤は、ガンを自分自身の免疫で治療するという画期的なものでした。ただ有効率が20%程度と低く、どういうタイプのガンに有効なのか試験方法が期待されています。

次が「分子標的薬」ですが、これはガンを発生・増殖させるガン遺伝子の発見とその活性化に関与しています。最初の分子標的薬として乳ガン治療薬ハーセプチンが発売されています。こういった発ガン遺伝子の活性化を妨げるというメカニズムの薬はその後続々開発されています。

これがどの程度の有効率かは分かりませんが、骨髄性白血病などでは良い結果が出ているようです。ただこういった分子標的薬もほとんどが抗体医薬ですので、価格が問題となってくるのかもしれません。

こういったガン細胞に特異的な薬が開発されれば、それほど副作用もなく薬だけでガンを治療することが可能になるのかもしれません。


昔の仲間との懐かしい家での飲み会

2018-05-02 10:34:21 | 日記
私の高校時代の仲間が同じ市内に8人いるのですが、いつも幹事をしてくれるYT君から昔のたまり場であったYM君の家に集まろうという連絡がありました。

残念ながら少し離れたところにいるSK君は、昨年脳梗塞を発症しリハビリでかなり回復したようですが、まだ出かけるほどになっていないようで、E君も前からの予定が入っているということで2人欠席となり6人が集まりました。

この集まりに関しては、「廃墟での集い」ということでこのブログでも何回か書いています。もともとこの家はYM君のお父さんのY先生(医者でした)が我々を気に入ってくれて、暇があれば集まっていたところです。現在は空き家となっており、YM君が月に1回程度は空気を入れ替えに訪れているだけとなっています。

この仲間ではYT君が本当にマメにいろいろと計画してくれるので、年に何回か集まっていますが、もう半世紀以上の付き合いですので彼に甘えてしまうのが当然のようになっています。

当日は2時集合でしたが、私の家からはやや行き難いところですので車で出かけ、YT君の家により段ボール3箱の酒や食料品を積み込み、先にY医院に向かいました。2時前には全員が集まり、まず庭木の選定や目立つ草取りなど少しやってから飲み会になりました。

話題はもう歳ですので、昨年YM君が軽い脳梗塞になった時の話などから始まりました。やはり皆どこかに悪いところは持っていますので、こういったときの自覚症状や対処法などが一番興味があるのかもしれません。

その他F君とK君の海外旅行の話など、昔話だけではなくいろいろ盛り上がりました。そのうちYT君が食事の準備をするから麻雀でもやっていろということで5人で抽選をして、外れた一人は食事の準備を手伝うといういつものパターンとなりました。

私は麻雀組に入り今では珍しい手積みの麻雀をやり、トップになりましたが、ほぼ準備ができたようなので私と2位のS君が抜けて、交代しました。K君が九州の銘酒を持ってきてくれたのですが、残念ながら飲むわけにはいかずコーヒーで我慢していました。

さてYT君の手作りも含む食事はなかなか素晴らしいものでした。彼は退職後農業していますので、新鮮な野菜類などもあり、ご飯も自分の田で作ったものを精米したとてもおいしいものでした。

こういったなんでも話が合う仲間と、気楽におしゃべりをするというのは何歳になっても楽しいものです。片付けの時間も考えて早めに(9時半ごろでした)終わりにしましたが、来た時の状態に戻すという手間はかかりましたが、普通の居酒屋などとは違った面白みがありました。


夜型人間無理して朝方はリスク

2018-05-01 10:43:26 | その他
宵っ張りで、朝に無理して起きている人は、早寝早起きの人よりも早死にする確率が高いという論文が発表されました。

私は基本的には夜型の人間だと思っています。これはよほど寝不足の状態が続いていない限り、夜遅くなっても眠くならず何かあると遅くまで起きていることが多いためです。ただ朝が起きにくいかというと、目覚ましで起きれば、睡眠時間と関係なくすっきり起きられますので、朝が駄目ということもないようです。

会社に勤務していたころは平日は大体7時に起きるという習慣ができていました。これは前日麻雀や飲み会があり寝るのが遅くなっても変わりませんでした。昼に眠くなることはなかったのですが、常に睡眠不足で(本当かどうかはわかりませんが)休日は昼まで寝て解消するという生活でした。ですから典型的な夜型人間とはやや異なっているのかもしれません。

さてこの論文はイギリスサリー大学の研究チームですが、イギリスでの43万人以上を対象に行われた6年半の研究調査によると、夜型人間は朝方よりも死亡リスクが10%高いことが分かったとしています。

研究チームは、これは無視できない健康問題であるとして夜型人間は仕事の開始時間と終業時間を遅くできるようにすべきだと論じています。

この調査は一般のデータベースから38歳〜73歳の約50万人について情報を集めました。対象者は自らを「間違いなく朝方(27%)」、「どちらかというと朝型(35%)」、「どちらかというと夜型(28%)」、「間違いなく夜型(9%)」のいずれかに分類し、さらに体重や喫煙習慣、社会経済的地位を記録しました。

全部で1万500人の死亡例が6年半にわたり記録されました。その結果、「間違いなく夜型」の人たちは「間違いなく朝方」の人たちより死亡するリスクが10%高いことが分かりました。

このタイプの人たちは、精神的疾患、糖尿病、胃や呼吸器の不調にかかる割合が高く、一日あたりの睡眠時間が短い結果となりました。また喫煙、アルコール飲料やコーヒーの摂取、違法薬物の使用の確率も高いようです。

これは夜遅くまで起きている人の体内時計が、外部環境と合わないことが死亡リスクが高い原因ではないかと分析しています。また精神的ストレスや、体と合わない時間帯の食事、運動不足、睡眠不足、一人で夜起きていること、もしくは薬物やアルコールの使用なども原因の可能性があるとしています。

こういった疫学調査での10%の差がどの程度意味を持つのかわかりませんが、夜型の人が働きやすい環境を整えるといった社会システムを変えるほどのことでは無いような気がします。