4月に予定されているのは、ブリュッセル自由大学での25日・26日の2日間の講義。それぞれ3時間の計6時間。対象は主に修士課程の学生たちとのことだが、日本のことはほとんど何も知らない学生たちを対象とした東洋哲学についての講義の一環だと聞いている(一連の講義のプログラムについては、この記事に貼り付けたポスターを参照されたし。クリックすると別のウィンドウで拡大版が表示されます)。昨年4月には、同じ枠組みで「心はどこにあるか」というタイトルで2時間の講義を行なったが、今回は時間が3倍に増えている。
「古代日本における世界観の中の自然の諸要素」というのが自分で選択したタイトル。二日に分かれているので、それぞれひとまとまりになっている話をするつもり。
一日目は、「カミと自然」と題して、古代日本におけるカミと自然との関係について話そうと思っている。参考文献は、大野晋『日本人の神』(河出文庫)、末木文美士『日本仏教史』(新潮文庫)、同『日本仏教入門』(角川選書)、鎌田東二『神と仏の出逢う国』(角川選書)、松前健『日本の神々』(講談社学術文庫)など。その他にも、折口信夫、柳田国男、上田正広などの諸著作も参照されるだろう。
二日目は、「視覚と自然」と題して、萬葉集における「見ゆ」の用法に焦点を合わせ、古代日本人の自然との関係について話す予定。佐竹昭広「「見ゆ」の世界」(岩波現代文庫『萬葉集抜書』所収)を手がかりとして、伊藤博『萬葉集釋注』(集英社文庫)、白川静『初期万葉論』(中公文庫)、唐木順三『日本人の心の歴史』(筑摩書房)なども参照しつつ、「見ゆ」という動詞に込められた自然との繋がり方を解きほぐしたい。