敢えて事を構えるような物言いを私は好まない。誤解を恐れずに公共の場で真実を言う勇気(パレーシア)もない。自分から論争を仕掛けるのも億劫だし、相手を挑発して怒らせるのも趣味ではない。結果、八方美人的で、当たり障りのない言い方を選んでしまい、おかげで人の注意を引くこともない。
今、ついうっかりと「八方美人」という言葉を使ってしまって、ちょっと気になった。手元のいくつかの辞書によれば、これは和製漢語で、もとは「どの方向から見ても美しい人」の意だったのに、「だれに対してもあいそよくふるまう人」という侮蔑的な意に転じた。この侮蔑的意味での「八方美人」は男性にもたくさんいるし、実際この意味で男性に対しても使われる。ところが「美人」は女性にしか使われない。この語の使用は女性差別にあたるのだろうか。
さて、話を元に戻すと、このブログも始めてもうすぐ丸九年になるが、炎上したことはまったくない。そもそも読者は少ないし、読んでくださっている方たちは、多少問題があると感じる表現があったとしても、きっと好意的解釈してくださっているか、些細なことだと寛容に見逃してくださっているのだろう(この場を借りて、感謝申し上げます)。
なんでこんな話を始めたかというと、今、食べることと食べられることとの関係についての論文(日本のある月間思想誌の六月号に掲載される予定)を書いていて、肉食に断固反対する菜食主義者たちのことを考えているうちに、それらの人たちに対して相当に手厳しい結論に至ってしまい、それをそのまま掲載したら、命を狙われることはないにしても、激しく「噛みつかれる」かなあとちょっと弱腰になっているからなのである。
ネタバレにならない程度にその結論の一部をここにちらっと紹介しようかと、一瞬思ったが、ヤッパリやめた。