私のホームページ「かわ遊び・やま遊びのページ」では取り上げてあったのですが、当ブログではちゃんとした記事にしてなかった虫えい(虫こぶ)の宗主ともいえるヌルデミミフシのお話しです・・・
碓氷川沿いの斜面で、そろそろヌルデの花も終わりだなと眺めていたヌルデに沢山のヌルデミミフシが付いていました・・・

ヌルデミミフシは多量のタンニンを含み、染料・皮なめし・漢方薬として利用され、乾燥されたものは五倍子(ふし/附子)と呼ばれていて虫えい(虫こぶ)の代表選手なのです。それというのも虫えい(虫こぶ)の和名の最後には「フシ」を付ける約束になっていて「植物名+部位+形+フシ」という構成になります・・・って観察会では説明しているのです。

虫えい(虫こぶ)に多く含まれるタンニンはインクや染料などで使われるのですが、日本の場合はインクは発達せずに染料としての道を歩み、古くは既婚の女性が歯を黒く染めたお歯黒に使われたことが有名ですね・・・

ヌルデミミフシが大量に求められるようになったのは実は昭和に入ってからで化学工業の発展に伴ってタンニン酸が必要になったからなのです。ヌルデミミフシの乾燥した虫えい(虫こぶ)にはタンニンが乾重量の70%もあって現在も漢方薬として使われているのです。
ヌルデミミフシの有用性が認められ安定生産が求められ、その生態を調べる必要性が生まれて生活環が解明されたのだそうです。ヌルデミミフシの形成者はヌルデシロアブラムシで複葉の翼葉に作られます。形状は袋状の不定形で人間の耳にも見えることからミミフシの名が付いたと言われています。夏に虫えい(虫こぶ)が形成され有翅成虫は10~11月に出現してチョウチンゴケなどに移住して幼虫を産み越冬し、6月頃にヌルデに戻るという生活をしているのです。

いろいろな研究で分かったことには、ヌルデは様々な虫に加害されやすい樹木なのですが、それらの虫もタンニンの多いヌルデミミフシには加害しないのだそうです。ヌルデシロアブラムシに加害されヌルデはそれに対抗するため虫えい(虫こぶ)にタンニンを集中させたのでしょうが、それが他の虫からヌルデミミフシを守るという皮肉な結果になったようですね・・・

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