かわ遊び・やま遊び雑記

アユ・ワカサギ・ヒメマスなどの釣り情報と自然観察や山菜採りなど自然の中で遊び回った記録や雑記

冬芽(5)

2009年03月16日 | 冬芽と葉痕
ガクアジサイの冬芽です。頂芽は芽鱗に包まれない裸芽を1個つけ、側芽は2~4枚の芽鱗に包まれ対生します。葉痕はハート形で維管束の跡が3つ見えます。上中央は冬芽です。
大きな王冠をかぶった王子様っていうところでしょうか?



次はいたるところに蔓延って嫌われ者のクズですが冬芽はよく見ると非常に面白いですよ!
クズはツル性の草本でも地上部に冬芽を持ちます。葉痕はユニークな形を持っていて、一つ一つが色々な顔に見えてきます。5種類ほど載せてみます、どの様に見えるでしょうか?

 







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冬芽(4)+渓流釣果(4)

2009年03月15日 | 冬芽と葉痕

今日は飛び飛びに用事があったので午前中は冬芽の撮影で碓氷川、小根山、松井田城址などを歩き回り、午後は近場の沢に少しの間だけ渓流釣りでした。

まずは、冬芽の続きで2つほど紹介します。
タラノキは山菜の王様で有名です。王様だけあってU字型の葉痕も大きくて目立ちます。維管束の跡が規則的に並んでネックレスのように見えると言われていますが・・・もう少し想像力を働かせて・・・葉痕を大きなお髭、冬芽を尖った鼻に見立てると・・・クリスマスのプレゼントを運んでくれる“大きなお髭の○○○○ロ―ス”



2枚目はニセアカシアです。冬芽は互生しますが葉痕の奥に隠れていて見えません。葉痕の左右に托葉針が出て、葉痕は突出して三つに裂けることが多いです。棘を耳に、三つに裂けた葉痕の上二つを目に、下一つを鼻と口に見たてると・・・ドラキュラの使い、恐い?顔つきのコ○○リに見えてきませんか?



前回の冬芽(3)はカラスザンショウは「サル」、オオカメノキは「ウサギ」に見えませんか?

そして、渓流釣果(4)です。
午後は渓流釣りに近場の沢に行きましたが、水が少なく深みのある場所でしか釣れず2時間ほど釣り回りましたが、キープサイズはヤマメ3尾のみでした。昨年の放流物か孵化したものか、木っ端サイズが入れ掛りでした。このまま育ってくれれば来年以降が楽しみな沢でした。

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渓流釣果(3)

2009年03月14日 | 渓流釣り

今シーズン3回目の渓流釣りです。
雨が降っていて気温もそれほど低くなく好条件です。6時にYさんとKさんの車に同乗して出発、場所は数日前、吾妻のKUさんが大物に2度も切られたという沢の堰堤に直行です。
あまり大きな渕ではないので3人並んでイチニノサンで投入、何と私は根掛り、Kさんもアタリなし、そしてYさんがキタ・キタッ・・・大きいゾッ・・・と竿を絞ります。慎重に寄せてきますが、また戻されます。これを何度か繰り返して寄ってきたので、私が予め用意して持って行ったヒメマス用のタモ網を伸ばして取り込みに入ります。何度目かで網に入って上げてみると・・・何と48cmのニジマスです。「何で、こんな沢にニジマスが居るのだ?」と3人とも不思議そうに顔を見合わせてしまいました。
それでも、大きいのが釣れれば嬉しいものです。その後上流まで釣り上がって、ヤマメを数尾づつ釣ってこの沢は終了し、KUさんに報告にいきました。



KUさんの家を後にして、次に山の中の沢に入りました。小さな沢なのでYさんは下流に、私とKさんは上流に入って釣りあがりました。雨のため増水し大量の落ち葉が流れてきて針や糸に絡まって非常に釣りづらい状況です。何度も針に付いた落ち葉を取り除きながら打ち直して大滝まで行ってみました。イワナがほとんどでしたがヤマメも混じり22cmを筆頭に数尾を釣って車に戻りました。




その後、2つほどの沢を回りましたが、先行者がいたりして釣れず、最終的に温川上流の鳩の湯へ・・・遅いお昼を食べて、地元のMさんに様子を聞いて再開しますがほとんど釣れませんでした。
低気圧が通り過ぎて冬型になったのか風が強まり雪まで降ってきたので3時に終了しました。
ヤマメ7、イワナ3合計10尾と、
ちょっと寂しい結果でした。

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渓流釣りの餌(2)

2009年03月13日 | 渓流釣り

渓流釣りでテンカラやフライで釣る場合、ヤマブキの花が咲く頃が良いと言われますが、この頃になると水生昆虫の発生が多くなってきて、魚も喰い気が旺盛になってきます。
餌釣りで私がよく使う水生昆虫はフタバカゲロウ科の幼虫(ピンチョロと呼びます)やヒゲナガカワトビケラの幼虫(クロカワムシ、クロンボ“でも、差別用語かな?”)、大型のカワゲラの幼虫(オニチョロ、キンパク)、ヒラタカゲロウ科の幼虫(カメチョロ)で、川で採取しています。

ピンチョロ(フタオカゲロウ科の幼虫)は、泳ぐのに適した紡錘形で暗灰色をしていて背面に斑紋があり、時に白い斑点もあります。ピンピンと跳ねるように泳ぎ回ります。上・中流域のトロ場や水溜りに群生して落ち葉の破片などを食べています。網で10分ほどすくって歩けば1日分は十分に取れ、餌箱にミズゴケ、籾殻などを入れて湿らせておけば長持ちします。また、餌箱の中にウレタンを張って湿らして冷蔵庫に保存すれば1週間は持ちますし、小さなものは水槽に入れホウレンソウなどを茹でたものを餌にして大きく育てている人もいます。

ピンチョロ


クロカワムシ(クロンボ:ヒゲナガカワトビケラの幼虫)は、
小石を集めて巣をつくりその中に棲み、石と石の間に網を張って引っかかった藻や落ち葉などの破片を餌にしています。石を持ち上げて巣を崩すと芋虫型の黒い虫が這い出してきます。下流に網を置いて石の底を洗うようにして採取すると一度にたくさん取れます。

クロカワムシ


オニチョロ(キンパク:大型カワゲラの幼虫)は、石の裏側などを歩き回り小型の水生昆虫などを補食しています。これも下流に網を置いて石を動かしながら採取していきます。逃げ足が速いので餌入れから逃げ出されないように注意しましょう。

オニチョロ

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渓流釣りの餌(1)

2009年03月12日 | 渓流釣り

私の渓流釣りの方法は餌釣りかテンカラ釣りですが、最近は餌釣りの方が多くなっています。
当たり前な話ですが餌釣りは渓流魚が好む餌を針に付けて釣る方法です。解禁当初の頃は川虫の発生も少ないためブドウの虫やモロコシの虫、イクラなどが餌の主体となっています。

ブドウの虫は、昔の人たちは山野に自生するヤマブドウやエビヅルに寄生したものを冬の間に採集していましたが、最近は養殖ブドウとかハチッコと言う名称で、手軽に使える養殖物(20~25尾入り、350~500円)が釣り餌として販売されています。
養殖ブドウは、野生のブドウの虫(ブドウスカシバ)とはまるっきり違う虫で「ハチミツガ」という養蜂の害虫なのですが、釣り餌に最適だと言うことで養殖技術も進歩し、養蜂に被害を与えないようにサナギや成虫にならない処理をして販売されています。

養殖ブドウ


モロコシの虫は、モロコシなどイネ科の植物に着く「アワノメイガ」という害虫ですが、釣り餌として最適なため多くの釣り人が使っています。「アワノメイガ」は年に2~3回発生しますが、夏の虫は皮が柔らかくて釣り餌向きではありません。7月中旬頃に消毒をしていない種を蒔いて作ったモロコシには良く入っていて年明けまで畑に放置しておけば茎の中で大きく育っています。これを刈り取り、束ねて置いて暇な時にでも茎を開いて採取します。


モロコシの虫


イクラは、言わずと知れたサケの卵です。これも買ってきて使えばいいのですが釣り餌用に作られたものがお薦めです。食用のイクラは皮が柔らかく水分も多くてプリプリしすぎて直ぐに取れてしまうような気がします(この場合、小麦粉をまぶすと改善されます)。ちなみに私はヤマメの卵(写真左)を使う場合がありますが、これは小粒で色も淡いのですが食い渋りの時に効くような気がします。ヤマメ卵は流通していませんので秋口に釣った雌から採取して作るしか方法はありません。養殖業者さんが繁殖時に必要なくなった卵で作ってくれれば売れるような気がしますが・・・。

イクラ(右)とヤマメ卵(左)

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冬芽(3)

2009年03月11日 | 冬芽と葉痕

冬芽の第3弾です。

まずはカラスザンショウです。葉は大きく奇数羽状複葉で油点があって独特の臭いがします。アゲハ類の食草になっています。
冬芽は三枚の芽鱗に包まれます。葉痕は腎形で3つの痕が特徴的で目と鼻に見えませんか?
私には○○カニ合戦の○○に見えるのですが・・・。

カラスザンショウの冬芽


次は、オオカメノキの冬芽です。左は葉芽、右は葉芽と花芽です。この木の冬芽は芽鱗に覆われない裸芽です。

オオカメノキ葉芽               オオカメノキ花芽
  

左の葉芽は手を広げて神に祈っているような・・・、右の花芽・・・これは何かの動物に見えませんか? ○○○とカメ・・・・。

前回の冬芽(2)の2枚の写真ですが私にはキツネとタヌキに見えます。

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冬芽(2)

2009年03月10日 | 冬芽と葉痕

冬芽の第2弾です。

まずは、ムクロジの冬芽です。
ムクロジは比較的暖かい地方に生える樹木です。偶数羽状複葉で果実はサポニンを多く含んだ黒い実です。
葉痕は縦長のハート型で、その上部に小さな尖った冬芽を着けます。副芽も着けるため上下に芽が二つ並んでいます。何の顔に見えますか?

ムクロジの冬芽


次は、センダンの冬芽です。こちらも暖い地方の樹木で奇数羽状複葉です。
先端が丸く毛を密生させた冬芽が着き、その下に松型の絵を逆さにしたような葉痕が着きます。これも何かに似ていますね。

センダンの冬芽


両方あわせると○○○と○○○の化かしあい!

○○○の中身は次回に・・・。

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虫えい(虫こぶ)を探そう

2009年03月09日 | 虫えい(虫こぶ)

最近の私は、どうもマニアックな世界に入りこんでしまったようで、普通の人ならば森に入って花を愛で、きれいな果実に喜び、紅葉に感動するのでしょうが・・・、もちろん私も花や実を愛でますが・・・それよりも先に目がいってしまうのが「植物の奇形」である自分に気がつくのです。
森などへ入って植物を観察していると、葉に「球形」とか「とっくり型」のコブが着いていたり、芽が異常に膨らんで「リンゴ」のように見えたり、枝に「バラの花」のようなものが着いていたりと様々な部分が奇形になったものを見つけることができます。

ヤナギシントメハナガタフシ


このような植物の奇形を虫えいとか虫こぶ、またはゴールと呼んでいます。
虫えい(虫こぶ)の多くはタマバエやタマバチ、アブラムシなどの寄生によって作られますが、菌によって作られるものもあり、こちらは「菌えい」と区別して呼ばれることもあります。
虫えい(虫こぶ)には、寄生された植物が防御のための成分を作って集中させるので、タンニンなどが多く含まれるものもあります。これを採取して染料や医薬品、食物として利用されている虫えい(虫こぶ)もあり、特に有名なものとしてはヌルデにアブラムシが作った五倍子(ふし:ヌルデミミフシ)が挙げられます。

五倍子(ふし):ヌルデミミフシ


虫えい(虫こぶ)の名前の付け方にはルールがあって「植物名+出来る場所+形+フシ」が一般的です。例えばコナラの芽についたリンゴのような虫えい(虫こぶ)は「コナラ+メ+リンゴ+フシ」となります。
ただし出来る場所などが省略されることもあるようです。そして最後に付ける「フシ」は前述した五倍子(ふし)が基になっているのです!

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渓流釣果(2)

2009年03月08日 | 渓流釣り

今シーズン2回目の渓流釣りです。放流したての魚ではなくてヒレピンを狙って吾妻漁協管内の小さな沢に行ってきました。
金曜日に雨が降った後なので増水しているかなと期待して行ったのですが、最初は雪だったようで、それほどではなく雪も残っていて、寒く風の強い天気も影響したのか朝のうちはほとんど釣れませんでした。



そして雪の上には大きなイノシシの足跡が点々と付いていました。彼らには直接は行き会いたくないですね。
4つほどの沢をハシゴして4時頃に終了しました。ヤマメ15、イワナ2、合計17尾で一番大きいのが28cmでした。あと2cmあれば・・・



そして、渓流の陽だまりにはフキノトウが芽を出していました。魚よりもこっちの方がいいやと言いながら山菜採りです。テンプラと三杯酢で美味しくいただきました。

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冬芽のおもしろさ

2009年03月07日 | 冬芽と葉痕

日本の気候には四季があり、春夏秋冬と移り変わる中で様々な自然の姿を見せてくれます。植物も葉を広げ、花を咲かせ、実を着け、紅葉し、葉を落とすなど変化していきます。
そして草が枯れ、木々が葉を落とした冬は見るものが少ないと思っている人たちも多いのでしょうが、枝先を良く観察すると、とても面白い冬芽たちに行き会えることがあります。

キハダ


冬芽には、樹木が春先に芽吹くまでの間、冬の寒さや風や乾燥(寒さよりも乾燥から守る意味合いが大きいと言われています)などから自分達を守るための色々な工夫がされています。
冬芽をよく見ると、毛で覆われたもの、べたべたした粘液で覆われているもの、芽鱗(うろこ)で覆われたもの、副芽という予備の芽を持ったものなど様々な形があります。

オニグルミ


特に、特徴がある冬芽では、葉っぱの柄がついていた痕(葉痕と言って、水や養分を送っていたパイプの痕です)が冬芽とセットで面白い形を作り上げ、ウサギやサル、ピエロ、ヒツジなど様々なものに見えてくると思います。
特徴的な冬芽を何回かに分けて載せていきますので、想像力を働かせてご覧ください。

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自然観察のすすめ

2009年03月06日 | 自然観察
日本人の多くが農山村に住んで野良仕事や山仕事をして暮らしていた時代の「人間-自然」という関係は、日常生活の中で一体となった存在で当たり前なものとして認識され、少なくとも明治以前の日本人には自然を自分自身と分けて考える存在ではなかったと言われています。
このようなことから、古の日本には英語で言う「nature=自然」という言葉は存在しませんでした。自然(じねん)という言葉はありましたが「強いて勉めざること」が当時の意味で、「自然=nature」という言葉が出現したのは、江戸時代の中期になって、オランダとの交易が始まり、稲村三伯という蘭学者が「波留麻和解(ハルマワゲ)」と言う蘭語の辞典を作り始めたのだそうですが、natuur(英語のnature)の和訳に苦慮して、「自然」の文字を当てたのが最初だと言われています。



自然の代表格である森林や草原からは「山仕事」や「遊び仕事」を通して、住む家の建築材料や燃料としての薪や炭、農業用の肥料や家畜の飼料、薬草、山菜やきのこといった食材など多くの収穫のみならず精神的な喜びや楽しみまでも授かっていましたし、現在伝えられている地域の伝統文化の多くは四季の変化のすばらしさを感じ、自然の恩恵を受けて生活してきた私たち日本人の祖先が生み出してきたものなのです。

それが明治以降、技術面や効率のみが発達し自然を征服することが基本の西欧の科学思想が津波のようにやってきて、近代化や経済発展には大いに役立ったのでしょうが、一方で日本人と自然との密接な関係や秩序を根底から壊し始めてしまったのです。
特に、現代になってからは、多くの人工物に囲まれて自然との交流が無い生活を送る人々も増えてきました。一日中、土に触ることもなく、生命を持った生き物を見ることもなく、四季の変化を感じることも少なくなってしまうと、自然の見極め方やマナーも身に付かず、自然に接する事によって育まれる公共性や協調性、生き物に対する愛など人間本来の資質も失われてしまうことになります。



このようなことへの危機感からか、本能的になのか、自然とのふれあいを渇望する人々が増えてきたような気がしますが、その入り方が分からなかったり戸惑ったりしている状況もみられます。
まずは、自然と親しみ、理解し、愛するために自然観察会に参加してみてはいかがでしょうか。観察会では草本や樹木、野鳥、昆虫や水生生物、地質など、その道の専門家に分かりやすく説明してもらえます。
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種苗放流の憂鬱

2009年03月05日 | 釣り一般
河川湖沼は海と違って区域が狭くて水産資源(魚の絶対量)が乏しく、かつ採捕者が多いため直ぐに資源が枯渇しやすいので漁業権を免許された漁協には増殖が義務づけられています。

それでは、増殖にはどのような方法があるのでしょうか?
増殖と言うと、直ぐに頭に浮かぶのが種苗放流ですが、この他に漁獲量の制限(保護区の設定や漁獲数の制限など)や生息環境の整備(産卵場造成や隠れ家の整備など)、河川の連続性の確保(海や下流域からの遡上や降河をしやすくして天然遡上を増やす)といった魚を保護するための方法もあります。

成魚放流


増殖方法の中で簡単で結果がすぐに目に見えるのは種苗放流です。
例えば1トンのアユ種苗(1尾10g)を放流して、その内7割が生き残って1尾100gに育って、その7割が釣れるとすると、放流尾数の半分が釣れることになり5トンの漁獲量があるわけですから、多くの漁協が安定的な結果が得られるこの方法に頼ってしまっていました。
しかし、最近のアユを例にとってみると、冷水病やカワウの食害によって思うような漁獲量が確保できなくなって入漁券収入が減少して次年度の放流数が減る、放流数が減るから釣れない、釣れないからさらに入漁券が売れないという負のスパイラルに陥っている漁協が増えてきてしまいました。
他の増殖方法や水質浄化や環境整備なども平行して行っていれば、これほどひどい状態にならなかっただろうという声も聞こえてきて来るようになりました。現に天然遡上を増やす手法の導入や瀬と淵の造成、河川への石の投入、カワウからの隠れ家造成、水質浄化などに力を入れ始めた漁協も出てきました。

そして、もう一つ気がかりなのが遺伝子の攪乱です。種苗放流に、その河川にはいない遺伝子の種苗を放流した場合、地付きの種苗と交雑して遺伝子が攪乱されないかという心配です。
以前放流されていた琵琶湖産のアユは、産卵時期が海産アユよりも早いため交雑出来ませんでしたし、産卵・孵化して海にたどり着いても環境の違いから仔魚が育たなかったため遺伝子の攪乱は引き起こされませんでした。しかし、最近は湖産アユが冷水病に弱いと言うことで放流が減り、利根川水系以外の海産アユや交雑された人工種苗が放流されたりしていますので、これらに問題はないのかと言われています。

アユの養殖


また、渓流魚にも同じことが言えます。群馬県ではヤマメは吾妻の地付きヤマメを、イワナは川場の地付きイワナを系統保存した親魚から種苗生産を行っています。しかし、群馬県の養殖業は水量の関係などから生産規模が小さくコストが高くなってしまっています。・・・そうすると大量に生産できるため単価が安い県外からの購入が増えることになりますので、これら県外種苗との交雑は・・・という心配があるのです。
交雑が進んでしまった中流域や下流域は仕方ないとして、地付きがいる上流部分には他地域のものは入れないというゾーニング手法の導入や一定年数の禁漁区設定、産卵場造成などで増殖を試みるという方法に切り替えることも必要になってくるのではないでしょうか。
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漁業権・内水面漁業

2009年03月04日 | 釣り一般

あまり釣りをしない人、そして釣り好きな人にも「漁業権って何だい?」とか「どんな小さな川にも漁業権があるんかい?」とか「自然に繁殖して昔からいるんだから釣り券はいらねぇだろう?」とか言った質問を受けることがあります。そこで漁業権のお話を・・・



 内水面漁業という堅苦しく、あまり耳慣れない言葉がありますが、内水面とは河川や湖沼のことで、その対語は海面となります。内水面で行われる漁業を内水面漁業、海で行われる漁業を海面漁業と呼んでいますが、一見すると内水面ではないかなと思われる琵琶湖や霞ヶ浦などは海面と同一に扱われて海面漁業に入っています。

さて、ここでは主に内水面漁業の漁業権についての記述となります。
内水面では漁業協同組合(水産業協同組合法に基づき設置される)を管理団体として、第5種共同漁業権という漁業権が免許されています。漁業権は区域を定めるとともに、魚種(アユ、ヤマメ、イワナ、コイ、フナ、ワカサギなどで漁業権魚種と言います)も区域ごとに定められています。
内水面漁業の特徴としては、①専業の漁業者の比重は低く、漁業を主業としない水産動植物の採捕者が多い。②水面が限られるため資源に乏しく、増殖しなければ成り立たないものが多い。③漁業者や採捕者の他にレクリェーションを目的とした遊漁者が圧倒的に多いこと・・・などが挙げられます。

内水面漁業協同組合の主な役割は増殖と漁業秩序の維持を通じて資源的価値を高めることにあって、漁業権を免許される換わりに増殖義務が負わされていて、区域毎、漁業権魚種毎に増殖量(産卵場造成や稚魚の放流数など)が内水面漁場管理委員会の審議を経て毎年示されています。(増殖呈示量は最低限の数値です。また、成魚放流は増殖行為とは認められていません。)もちろん第5種共同漁業権を設定しても、遊漁規則を定めて組合員以外の遊漁者にも公平に利用することを認めなければなりませんし、組合員には漁業権の行使規則(遊漁規則と内容的にはほぼ同じです)を定めて管理させています。



 群馬県内には18の内水面漁業協同組合(河川11、湖沼7)があって約15,000人の組合員がいます。県内のほとんどの河川湖沼に漁業権が設定されていますし、ため池等にも第二種区画漁業権という漁業権が設定され養殖業に利用されているところもあります。漁業権の無い魚種には規制は掛かりませんが、ウグイなどは昔からいると言っても増殖行為が行われている場所が多くなっています。また、違法放流されたブラックバスなどを釣る場合や漁業権のない魚を釣る場合でも漁業権のある魚を釣る可能性がありますし、漁場管理の経費負担という観点からも入漁料は支払うべきでしょう。

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「かせぎ」・「あそび」・「まごつき」仕事

2009年03月03日 | 農林業

前回、「あそび仕事」と「遊び」について書きましたが、言うまでもなく農山村で主に行われている仕事は農林業です。



この仕事のなかでは「かせぎ仕事」が主業となります。つまり生計を立てるための仕事で「生業」とか「なりわい」とか呼ばれていて「野良仕事」や「山こなし」など経済的側面の強い労働のことを指しています。

そして「あそび仕事」は「かせぎ」の合間に行われる山菜採りやきのこ採り、川や水路・ため池での漁撈などを指していて、経済性や安定した収穫もあてには出来きませんが、きつい主業の息抜き的性格を持ち、自然を相手にした楽しみの要素が強いもので、仕事とは言えないような仕事を指しています。

さらに「まごつき」と呼ばれる雑用があります。「まごつき仕事」は「かせぎ仕事」に必要な農具の手入れや草刈りなどのみならず、生活全般に係わる細々とした作業をこなす仕事を指しています。



このように農山村では3つの形態の仕事があって、ここに住む人々は農夫や木こりのほか、水路の改修のときには土工、小屋を建てるときは大工、農具を直すときは鍛冶などと数多くの職種を一人または共同でこなしていたのです。

農山村の生活では{かせぎ→あそび→まごつき」と言った仕事は関連性を持って行なわれ、「人間-自然」「人間-人間」との関係に調和が取れていて地域共同体の運営や文化の継承、生活環境や自然環境の保全などが上手くいっていたのでしょうね。

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「遊び仕事」と「遊び」

2009年03月02日 | 農林業
私のホームページやブログのタイトルは「かわ遊び・やま遊び」ですが、この言葉で「自然の中で行う遊び」を代表させています。



このような「自然の中で行う遊び」・・・たかが遊びですから難しく言う必要性は無いのですが、それを敢えて民俗学的に言うと・・・農山村の伝統的な民族習慣の流れを汲んでいると言えます。
つい最近までの農山村の姿を想い描くと、その仕事場は田んぼや畑だけではなく、山や野原、川や沢、ため池などに広がっていました。これらの場所ごとに、季節ごとに植物や動物など生き物が生まれ育っていて、私たち人間にとって食料や道具などの一部となっていました。

それを採集し捕まえる行為は金では買えない何かがあります。それは、仲間と分かち合う喜びであり、人よりも多くとる競争や自慢であり、自然の仕組みを体で覚えられる経験であり、自然の生き物たちとの駆け引きであるといったように、何故か夢中になれる楽しい仕事であって「遊び仕事」と呼ばれていました。
この「あそび仕事」は、主業である野良仕事と連続性を持って行われながらも経済性の低い、娯楽性の強いものだったのです。



現在は、農林業に従事する人たちが減ってきてノラ-ハラ-ヤマといった一連の場所の中で仕事をする人が少なくなりましたが、山菜採りやきのこ採り、さかな捕りなど自然の中での「遊び仕事」は「単なる遊び」として独立し、ますます盛んとなっています。
その「かわ遊び・やま遊び」の喜び楽しみを伝えるとともに、ルールとマナーを守った行動をしていただこうと開設したのが、このホームページとブログなのです。
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