東日本大震災で津波を知らせる防災行政無線の放送内容は、被災した沿岸自治体ごとに違っていた。
予想された津波の高さを知らせず、「とにかく逃げて!」と訴えて功を奏した自治体もある一方で「高さ3メートル」と放送したため、2階に避難すればいいと判断して被災した人が多い自治体もあった。
3月11日、気象庁は地震発生3分後の午後2次49分に大津波警報を発令。1分後に岩手県に高さ3メートルの津波が来ると予想した。これを受け、岩手県釜石市は午後2時50分と同52分に「高いところで3メートル程度の津波が予想されます。海岸付近な方は直ちに近くの高台か避難場所に避難するよう指示します」と市内96箇所のスピーカーで放送した。
気象庁は津波予想を、午後3時14分に6メートルに切り替え、同31分に10メートル以上とした。
しかし、市は停電で気象庁情報を伝えるメールを県から受け取ることができなくなっていた。この間、避難を指示する放送を6回繰り返した。その結果、市民の中には「津波は3メートル」と思い込み、2階に避難すれば大丈夫と判断した人が多かった。
実際には、釜石港には約9メートルの津波が押し寄せた。
2階建ての鵜住居地区の防災センター周辺住民150人~200人が駆け込んだが、2階まで被災し生存者は約30人だった。
助かった住民は「もっと高い津波と知っていたら山に逃げた」と話している。立派な防波堤がありので、3メートルの津波なら避難する必要はないと思った。だが外に出てみると、すさまじい音が海から聞こえ、慌てて逃げた。「妹も義兄も見つかんねい。これじゃあ人災じゃあなえか」と憤る。
群馬大学の片田教授は「速報性を重視する気象庁が初期段階で発表した3メートルという数字が独り歩きしてしまった」「津波速報の活用方法を、行政も市民も見直す必要がある」と話す。
以上GOOニュース
隣の大船渡市では当所から津波の高さを言わず、大津波警報の発令と高台への避難のみを呼びかけた。「津波は湾によって高さに差が出るので、誤解を与えないようにしている。警報の発令さえ知らせれば逃げてもらえる」市防災管理室談。
大船渡市を襲った津波は約9,5メートル。同市の死亡.行方不明者は約500人。一方釜石市は1300人を超えた。
行政の報道対応の違いでこれだけの被害の差。犠牲者はなんと思うだろうか。人災ということを申すわけではないが、徹底的に検証してこれからの防災報道の基準見直しが為されるべきと思うところです。