11日に発生した福岡市博多区の病院火災で亡くなった10人はいずれも自力避難が困難な高齢者ばかりだった。89歳をトップに88歳、86歳、83歳、80歳、79歳、75歳、72歳、70歳、と全員70~80代だった。
整形外科病院ということで自分で歩行することが困難な人が多いことに加え、防火扉が締まらず、火災現場が1階、スプリンクラー無し。避難階段付近からの火災と不幸な状況が重なった。
5人が負傷している。窓から飛び降りた様子。出火報告は午前2時20分頃。出火当時、病院内には患者と職員17名がおり、うち2名は自力脱出したという。
病院は地上4階、地下1階建て。1階処置室からの出火という。火災は2時間半後に鎮火した。
1階に処置室、整形外科とリハビリテーション科があり、2階に入院施設のある病室。3階と4階は医師と看護師の居住スペースだった。
消防法で定める防火責任者の届け出も未提出だった。一時消火(消火器使用、スプリンクラー)の使用、火災報知機の警報。もなかった様子。通報がタクシー乗務員任せで遅れた様子等の不運も重なった。エレベータも無い病院だった。
消防法の不備も指摘されるかもしれない。毎年実施せねばならない消防訓練ができていない。
防火管理者も選任されていない。昨今の介護施設での夜間火災の被害報道。違法建築での窓なしアパート火災。多くの不備が重なった事例の様だ。
膨大な数の管理施設数。消防法で定める管理監督が行き届かない面もあるが、防火管理者を選任しない施設が多すぎる。1日か二日の講習会を聞けば済むのに果たしていない。
厳しい処分と世論の喚起でこれ以上の悲劇は繰り返さないでいただきたい。徹底した原因究明と対策が必要だ。