国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

作文参考書 陸軍予科士官学校 その15

2018-08-29 18:16:45 | 作文参考書 陸軍予科士官学校
 第五章 第二節 文の種類

文の種類を大別して二と為す。いわく、散文、いわく韻文(我が国語の性質上、押韻文なし、よろしく律文と名づくべえしとする者あり。)これなり。散文をまた大別して二と為す。いわく普通文、いわく書牘文。普通文は概して記事・叙事・解説・評論・感想・式辞・勧誘等に別たるべし。世に叙情文と称するあり、感想の類に属せしむべきか。随筆なるものあり、また感想の一類たるべし。小品なるものあり、こは感想に属すあり評論に属するあり。訓諭・訓示のごときも勧誘の一体と見做すべく、報告・具申のごときは蓋しまた記叙論説の錯綜応用せらるべき一体たらん。およそこれらの分類はただその大体について定めたるものにして、もとより確然たる区画あるものにあらず。記事にして叙事を含めるものまた固よりあり。各種互いに相錯わり相助けて、ここに始めて如何なる事にも遺憾なき発表を期し得るなり。
もしそれ漢文より因襲せる名に従はば、記あり、紀事あり、序あり小序あり、引あり、題あり、跋あり、説あり、弁あり、論あり、伝あり、行状あり、表あり、疏あり、箋あり、賛あり、頌あり、箴あり、檄あり、碑文・墓誌銘・祭文・弔文等ほとんど枚挙に
遑あらざらんとす。序に送別の序あり、書籍の序あり、等しく書籍の序というにも、自ら序するあり、人に請いて序せしむるあり。(以下略)

第六章  文の変遷

(引用文を省略)
以上、桂月の説くところのごとし。かくて大正を経て昭和に入り、我が文運はますます開けたり。殊に世界大戦以来、急転直下の勢をもって進展し来れるもののごとし。世界思想に入り、世界文学入り、世界的となりて、文章もまた世界的に面目を改めつつあり。而して口語体の勢力、また頓に加われり。帝国の将来の文章、それ燦としてますます光輝を発せんか。

 
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