ティボリ旧市街で二時間半の昼食をゆっくり楽しんで、旧市街歩きに出発。レストラン周辺の雰囲気ある路地。中世雰囲気だけでなく、古代の名残さえ感じられる。
日本のツアーでティボリというと「エステ荘」ばかりで、旧市街を歩くものは、ほとんどない。ゆえに、モデルコースというものも、ない。小松が調べてみてリクエストしたものを、ガイドのUさん、よくご案内くださいました。
●サン・シルベストロ教会 ※イタリア語ですが下記のページから、より雰囲気の分かる写真が楽しめます。
http://www.visittivoli.eu/luoghi-di-culto/chiesa-di-san-silvestro&lang=IT
何の装飾もない四角な入口から入ると↓
正面祭壇は11世紀のフレスコ画でぎっしり埋まっている↓
聖シルベストロはコンスタンティヌス帝に洗礼をさずけた四世紀の法皇とされる。彼に捧げられた教会。もとは12本の大理石が内部を三つの廊下に分けた、二階建ての建物だったのが分かっている。 前出の写真↑のように、現在その柱は一つも残されていない。キリスト教以前、古代の建物だったのだろう。とりこわされて11~12世紀に現在のレンガ造りなった。その時に、画かれた、シルヴェストロの生涯のフレスコ↓ ひと目見て、ラヴェンナのサンタ・アボリナーレ教会(新旧両方)を思い出させる。十二使徒を表す羊や図像。ビザンチン的↓
細長い窓が12世紀のロマネスクを感じさせる。横に回ってみると、ひとつだけ小さなロマネスクの窓が残されていた⇒
大聖堂方向に登ってゆく坂道は古代のティブルティーナ街道だった途中に立派な巨石をつかった門の跡をみつけて、納得↓
さっき、見えていた立派な鐘楼は?↓
路地から大聖堂のある広場へ通じるところにあるこの小さなアーチ。あとから調べてみると古代には公共広場への入口を示していたもので、「サンタ・シンフォローザのアーチ」と呼ばれていると知った。なにげなく存在し続ける古代↓
●ティヴォリ大聖堂(バジリカ・サン・ロレンツォ) は、やっと午後のオープン時間となった↓
↑大聖堂のファサードは1650年に入口柱廊が増築されているが、鐘楼はオリジナルのロマネスク様式の雰囲気がよく感じられる。内部はバロック⇒●右奥の礼拝堂に 「13世紀の木彫群像」があると、ツーリングクラブ・イタリーのガイドブックに書かれていたが、それは現在街の博物館に収蔵されているとのこと。代わりに簡素ながら雰囲気のある磔刑木造が置かれていた。 ●左三番目の礼拝堂には12世紀の救世主の祭壇⇒こちらは15世紀の奉納覆い(写真左に写っている銀製のモノ)から外され、拝観することが出来た。※これがいつものことなのか、今日が「全聖人の日」だったからなのは不明
奥から地下のクリプトへ降りることが出来る。目を惹いたのは古代のモノかと思われる太い柱⇒
大聖堂前は古代のフォロでもあったから、「メンサ・ポンデラリア」と呼ばれる一世紀の計量所のあとも見つかっている。下の写真で屋根のかかっている下に発掘中の場所が見えた↓
大聖堂すぐ近くには中世から近代まで使われていただろう「洗濯場」⇒
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もうひとつ、見たかったロマネスクの教会・・・そこへ行く道に市立博物館があった。かけられていた写真には、元は先ほどの大聖堂にあった「磔刑群像」の木彫が載せられていた。また、訪れる機会に(いつ?)見てみたい⇒
●サン・ピエトロ・アッラ・カリタ↓
五世紀の創建と伝えられる。↑簡素なファサードに、表面にかつてつけられていただろう装飾か構築物をはぎとった跡が見られる。
内部はより古代的な雰囲気が残されている。柱はハドリアヌス帝のヴィラから持ってこられたものと推察される古代イオニア式↓
床は復元されたものと思われるが、コズマティ様式のモザイク↓
右奥からクリプタ(地下聖堂)へ降りることが出来たが、目につくものは見つけられなかった。※翌日、ティボリ庭園からこの教会の後陣を見上げると、入った場所は「地下」というより崖の一角だったのを知った。みごとなロマネスクの形状が見られた↓
「エステ荘」のように世界遺産にはなっていないが、見ごたえのあるティボリの旧市街である。