重い腰を上げ、年初に計画を立てた8mmビデオーテープのデジタル化に取り掛かる事にした。
計画としては、その昔使っていた8mmビデオカメラでテープを再生→DVDレコーダーのHDDに保存→DVDにコピー。
場合によってはDVDをPCに取り込んで編集。こんな目論見です。
取り敢えず、20数年間は使っていなかったと思う8mmビデオカメラを動かしてみる。
リモコン、バッテリー(予備も)、ACアダプターなど、全てカメラバッグに入れて保管していました。
当時ハンディカムと呼んでいた様な。懐かしい。
あれ? 全く動作しない。。。 メカも動作しない。テープイジェクトも出来ない。
こりゃダメだぁ。とんだ誤算だ。
しかし、またやる事が増えた。愉しみが出来たと前向きに考え、修理に挑戦する事に。
時間は沢山ある。
オーディオ機器の修理や改造は今まで散々やってきたが、映像機器の修理は今回が初めて。
ワクワク~(勉強になると思ってあくまでも前向きに)。
いざ、解体して問題個所の調査に取り掛ることに。
その前にサービス・マニュアルを探す。何とか英文のものが見つかりました。
まあ、最低限、実装図と回路図があれば何とかなるかな。
ここから解体修理の経過を残しておきますが、長文になります。約10日間の道のりでした。
機種は「SONY CCD-TR705」です。
電源が入らないと言う事は、取り敢えず電源基板のヒューズ切れを疑いました。
先ずテープカバーを取り外します。
本体お尻の電源供給部分を取り出します。
取り出して、ヒューズの導通を確認すると、一番左のリード型ヒューズが切れていました。
回路図を見ると、このラインが映像、音声処理回路、メカ動作ブロックへ電源を供給している様です。
当然、こんなヒューズの手持ちは無いので、取り敢えず同じ定格のガラス管ヒューズを使いました。
ヒューズが切れている原因を探します。
ネット上で色々と調査すると、同類の機種ではチップ電解コン(表面実装)の液漏れが多いという情報を得た。
取り敢えず、分解してなかを覗きます。
まずは、電源供給部(DC-DCコン)を見ていきます。シールドケース内です。
シールドケースを剥がしてみると、「ああ~、なるほどね。案の定だ。」
ご多聞に漏れず、やはり液漏れして、漏れた電解液が基板裏まで染み出て半田を汚しています。
白っぽいところ。と言う事はスルーホールもダメージを受けてないか心配。
(マイクロスコープで撮影した写真を追加)
ここを綺麗にして部品面の該当箇所の電解コンを交換します。
シールドケースに収めるためにサイズ的にタンタルも使いました。
OSコンも使われている様(青い円柱)です。
この状態で元に戻して、電源を入れると、メカが動き、何となく映像と音声が出てきました。
しかし、映像は汚く、音声も割れています。
次に、音声基板です。ここに有ります。
拡大してみると。
これは酷い!
液漏れして周辺の部品までダメージを受けています。腐らせたり半田を浮かしたりしています。
電解コンから漏れた液で半固定抵抗が腐食しています。多分、摺動子やカーボンも腐っているのでしょう。
(マイクロスコープで撮影した写真を追加)
取り敢えず、この悪名高きチップアルミ電解コンを取り除きます。
半田コテを当てても半田が溶けてくれません。そして鼻を衝く凄い悪臭です。何とも言えぬ匂い。
この悪臭や液体は人体に害が無いのか?気になりましたが、そのまま作業を進めます。
足元にフラックスを塗り、半田盛りして何とか取り外し。
力づくでもポロっと取れる物も有ったので、半田がやられているのでしょう。
周辺に漏れ出た電解液を無水アルコールで掃除し、その後基板パッドにフラックスを塗り予備半田を施します。
代わりの電解コンですが、チップ電解コンなど持っていません。
そこで手持ちで過去にオーディオ機器(CDプレーヤー)改造の際に取り外した電解コンが有ったので、これを使います。
一般的なラジアル電解コン(黒)や贅沢にもニチコンのMUSE(緑色)です。
取り敢えず、数か所交換したところ。
その後、さらに数か所交換しました。
写真に写っている取り外したチップ電解コンは一部です。いったい何個交換したのでしょう。
最終的には他の基盤も含めて20個以上交換しました。
ひとつの半固定は使えなくなっていましたので、有り合わせの同じ抵抗値のVRへ交換。
ここで組み直して動作させてみますが、音声は多少良くなりましたが、映像は汚いままです。
さらに解体を進めます。
ファインダー部。
ファインダー部を外したところ。
3枚に下ろします。
取り敢えず、再生が出来れば良いので、左のファインダー部は必要無いと判断。右の2枚に集中。
裏側。
もの凄い集積度です。当時のソニーの技術力の高さが伺えます。1005タイプのC,Rが沢山使われています。
今ならこんなに沢山CRを使わなくても恐らくICに集積化で出来てしまいます。
コネクタも挿入し難いところが沢山あります。一般大手メーカーでこんな設計をすると現場から叱られます。
私もよく叱られました。
まず、一番内側の大きな基板から。
怪しいチップ電解コンを交換。容量合わせのためパラにしました。(下側の深緑色の2個)
カメラ側の基盤。
再生が出来れば良いので、カメラ部も不要と判断。
カメラブロックも取り外し。中央のBtoBコネクタでカメラブロックが接続されていました。
この画像処理基板のアルミ電解コンを交換。
組み直します。
この状態でもう一度再生してみます。
映像は綺麗になりました。※因みに写っているのは私ではありません。
音声も音が割れる事は無くなりましたが、右chから音が出なく、ボツボツと言っています。
取り敢えず、何とか映像と音も聴ける様になりましたので、一旦デジタル化をしてみます。
ここでまた壁にぶち当たると、次の手も打たなければならないので。
DVDレコーダーの外部入力からHDDに録画してみます。
出来ました!!!
さらにDVD化も出来ました!!!
ヤレやれと言った感じです。
8mmカメラで撮った25年前の懐かしい動画をデジタル化する事が出来ました。
ここで妥協していれば、良かったのですが、、、。
さらに右chからも音声が出る様にしようと、音声基板のアルミ電解コンをさらに交換。
ここで悲劇が!!!!
再度動作させようとすると、あれっ!イジェクトが出来ない。
どこかショートさせたかな?
ヒューズは大丈夫。
さきほど交換した電解コンの近くにチップ・タンタルコンが有る。
ここは狭い箇所なので、触るのを躊躇した所。
テスターで確認すると、タンタルの両端でショートしている所がある。
やっちまったかぁ???
流れた半田或いは漏れた電解液でショートしたか?
ショート箇所を修正して、再度動作。
あああああぁ~~⤵。
映像は白黒で歪んでる~。音は出ない。ボソボソ雑音。
最悪。。。。それから、色々やって見たが、修復の見込みなし。
欲を出さなきゃ良かったのに。。。意気消沈。
でも、良い勉強になったし、10日間楽しませてもらいました。費用ゼロ円。
一旦、映像、音とも出る様になったので達成感は味わえました。その後、落ち込みましたが⤵。
最近、こういう失敗が多いな~。どうしたんだろう。。。 失敗は成功のもと?
やはり歳とともに思考力や集中力が落ちているのかなぁ。車の運転も気を付けなきゃ。
今回、半田付けをするのに先日購入したコテ先が大変役立ちました。
先端がマイナスドライバーに様になっていて部品間の狭い所にも入ります。
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さて、それはそうと、これからどうしよう?
8mmテープに収めた懐かしの映像をどうやって再生しよう。。。