僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

日蝕(平野啓一郎)

2022年08月07日 | よむ

1998年下半期の芥川賞。
あれの衝撃からもう20年以上経つのか...。
とにかく難解な感じを多用していて
もう辞書なしでは読み飛ばすしかないというか
辞書すら引きようがないくらいに
よめない...。
常用漢字があるのにあえての旧字だったり
なんかもう恣意的すぎて
悪意ともいえる。
15世紀フランスのトマス主義神学生が主人公で
これまでの平野作品と切り口が違いすぎて
まずは肩透かしを食らう。
この人なんでもいけるんだな。
そのテーマ性から遠藤周作を連想するが
背徳に次ぐ背徳の連続で
もはや異端の遠藤周作。
描写が細かくて
文字量が堰をきった濁流のような文字数で表現される
15世紀の荒廃した旅路は
さながら作者が実際に旅をしたかのようにリアル。
難解な文字を使うことで再現できた世界観ともとれるし
また押し付けがましくもある。
いずれにしても
この筆者はいくつの文体を使い分けることができるのだろうか。
のちに本人の提唱する『分人』は
すでに別の意味で確立されていたのではなかろうか。

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