ロンドンの生活で良いと思うのは、入場無料の美術館が夜遅くまで開館していることである。毎日というわけにはいかないのだが、National Galleryなら毎週水曜日、Victoria and Albert Museumなら金曜日、British Museumなら木曜日と金曜日が夜遅くまで開館している曜日である。ただし、残念ながら昼も夜も全館開館というわけにはいかない。
昨日は仕事帰りにNational Galleryに立ち寄った。National Galleryの場合、夜はメインの出入口から遠いエリアは公開されないので、例えば、「アルノルフィーニ夫妻像」とか「ヴァージナルの前に立つ女」などは観ることができない。それでも1時間やそこらでは観きれないほどの作品が公開されているので、その時の気分に応じて楽しむことができる。
美術館に着いて、まずはカフェで腹ごしらえをする。チキンパイとハウスブレンドの紅茶で5.90ポンド。パイは自家製ということになっている。日本でも博物館や美術館のカフェやレストランの質が向上しているが、ロンドンも同様のトレンドにあると見てよいと思う。National Galleryのカフェとレストランは、どちらも評判は良いようだ。ここのカフェのケーキはロンドンでも指折りだ、という声も聞いたことがある。私もこれまでに何度もここでケーキ類を頂いているが、全般に濃厚な味である。少し濃い目の紅茶とよく合う。
適当に展示替えも行われているようで、いつ来ても、何かしら発見がある。やはり英国人画家の作品は充実している。既に英国人作品のかなりのものはTATE Britainへ移されているのだが、それでもターナーやコンスタブル、ゲインズバラの作品はここでも十分堪能できる。私が好きなのはジョージ・スタッブスの作品だ。この人の作品は遠くから見てもすぐにそれとわかる。なぜなら、描かれている作品世界のなかで馬だけが妙にリアルなのである。そのバランスの妙というか悪さというか、それが面白いと思うのである。おそらく、馬がとても好きな人だったのだろう。極めつけは大作「Whistlejacket」だ。縦も横もそれぞれ2m以上ある大きなカンバスに馬が一頭、大きく描かれているだけ。背景も何もない。でも、描き終えた画家の得意げな表情が目に浮かぶようだ。残念ながら、今、そのデカ馬は他の美術館へ貸出中なので、11月にならないとここには戻ってこない。尤も、貸出先は英国内なので、どうしても見たければ出かけて行けばよいだけのことだ。
スタッブスは、存命中はsporting painterという範疇に入れられ、芸術家としては認められなかったのだそうだ。それどころか、少し軽蔑されていたらしい。それでも、馬を解剖学的見地から徹底的に研究し、描き続けたのだそうだ。この手の話を聞くと、彼の作品にますますひきつけられてしまう。彼の馬に対する思いの表現としては、やはり「Whistlejacket」が代表作と言えるのだろうが、個人的には「The Milbanke and Melbourne Families」のような、馬と人間と風景があり、そのなかで馬が突出してリアルという作品のほうが楽しくてよいと思う。
昨日は仕事帰りにNational Galleryに立ち寄った。National Galleryの場合、夜はメインの出入口から遠いエリアは公開されないので、例えば、「アルノルフィーニ夫妻像」とか「ヴァージナルの前に立つ女」などは観ることができない。それでも1時間やそこらでは観きれないほどの作品が公開されているので、その時の気分に応じて楽しむことができる。
美術館に着いて、まずはカフェで腹ごしらえをする。チキンパイとハウスブレンドの紅茶で5.90ポンド。パイは自家製ということになっている。日本でも博物館や美術館のカフェやレストランの質が向上しているが、ロンドンも同様のトレンドにあると見てよいと思う。National Galleryのカフェとレストランは、どちらも評判は良いようだ。ここのカフェのケーキはロンドンでも指折りだ、という声も聞いたことがある。私もこれまでに何度もここでケーキ類を頂いているが、全般に濃厚な味である。少し濃い目の紅茶とよく合う。
適当に展示替えも行われているようで、いつ来ても、何かしら発見がある。やはり英国人画家の作品は充実している。既に英国人作品のかなりのものはTATE Britainへ移されているのだが、それでもターナーやコンスタブル、ゲインズバラの作品はここでも十分堪能できる。私が好きなのはジョージ・スタッブスの作品だ。この人の作品は遠くから見てもすぐにそれとわかる。なぜなら、描かれている作品世界のなかで馬だけが妙にリアルなのである。そのバランスの妙というか悪さというか、それが面白いと思うのである。おそらく、馬がとても好きな人だったのだろう。極めつけは大作「Whistlejacket」だ。縦も横もそれぞれ2m以上ある大きなカンバスに馬が一頭、大きく描かれているだけ。背景も何もない。でも、描き終えた画家の得意げな表情が目に浮かぶようだ。残念ながら、今、そのデカ馬は他の美術館へ貸出中なので、11月にならないとここには戻ってこない。尤も、貸出先は英国内なので、どうしても見たければ出かけて行けばよいだけのことだ。
スタッブスは、存命中はsporting painterという範疇に入れられ、芸術家としては認められなかったのだそうだ。それどころか、少し軽蔑されていたらしい。それでも、馬を解剖学的見地から徹底的に研究し、描き続けたのだそうだ。この手の話を聞くと、彼の作品にますますひきつけられてしまう。彼の馬に対する思いの表現としては、やはり「Whistlejacket」が代表作と言えるのだろうが、個人的には「The Milbanke and Melbourne Families」のような、馬と人間と風景があり、そのなかで馬が突出してリアルという作品のほうが楽しくてよいと思う。