熊本熊的日常

日常生活についての雑記

Wanderlust

2008年06月30日 | Weblog
同僚がURLを送って来た。その同僚の友人の友人が旅行記サイトを作っているのだそうだ。

http://traveler.design-ichi.com/

若い頃は旅行が好きだったが、歳を取ってすっかり出歩くのが億劫になってしまった。しかし、先日St Ivesに出かけてみて、やっぱり見知らぬ土地を歩くのは楽しいと改めて感じた。

この旅行記の主は現在東南アジアを旅しているようだが、その風景になんとなく懐かしさを感じるのは、自分のなかのインドやタイの風景が重なるからであろうか。ベトナムもラオスもカンボジアも行ったことはないが、サイト上の写真を眺めながら、ベトナムには一度行ってみたいと思った。ベトナムで見てみたいのは、サイトにもあった戦跡である。何を以って「国力」と称するのか定かではないのだが、少なくとも軍事力という点において大きな違いがあったであろう大国を相手に、1946年から1975年に至る断続的な戦争を戦い抜いたという事実に素朴に興味を感じる。

大学を卒業するときにインドに行って来たが、私はざっくりとした方向だけ決めて、そこで何をするかということは現地で考えることにしていた。この時の旅行で知り合った人たちのなかには、詳細な計画を作り、しかも不測の事態に備えた代替案まで考えて、それをA4のごついファイルにまとめて持参している人もいた。彼は以前このブログにも登場している(2008年1月30日付「念ずれば通ず」)が、某金融機関に就職し、現在もそこで働いている。当然のことながら、人の行動というのは、その人の性格を反映する。人の仕草とか癖を観察するのも楽しいし、自分の癖を改めて自覚するのも面白い。

この旅行記サイトの作者はODA関連の仕事をしているようだが、自分の交友範囲にはODA関連が3人いる。ひとりは以前の職場の同僚で、現在もODAコンサルとして忙しく飛び回っているようである。ひとりは留学仲間で、ODA関連の仕事で主に農業の指導などをしていたようだ。その後、家業を継ぐことになり、今は大阪で暮らしている。ひとりはインド旅行で知り合った人で、教育関連の仕事をしていたが、海外青年協力隊に参加したことをきっかけに、今は外務省の専門職員として中南米を転々としているようだ。現役のODAコンサルの人とは年に一度くらいは会う機会があるのだが、他のふたりとは疎遠になってしまった。それでも、大阪の人とは今でも年賀状は続いている。協力隊は、最後に会ったのが2000年か2001年だ。私の勤務先が渋谷であった頃、昼食を食べに街へ出た時に、国連大学の前でばったり会ったのである。人生というのは面白い。一人の人生を辿るのも面白いが、それが交錯する様子も面白い。

旅行の面白さというのは、見知らぬ土地へ出かけ、自分が知らなかったことを知る面白さもあれば、旅先で出会った人や風景や出来事に触発されて、それまで自分のなかで燻っていた考えが明確になったり変化したりする面白さというものある。旅行というのは、帰る場所があることが前提なので、気楽である。気楽に日常から離れることで、自分の内部に思いもよらぬ変化が生じることもあるかもしれない。わずか数日、長くても数ヶ月の旅行で生じる変化など取るに足りないものかもしれないが、その微妙な変化がその後の大きな転換をもたらすことだってあるだろう。おそらく、日常から離れる、ということに何がしかの意味があるのだと思う。同じ物事を見る角度がわずかにずれることで、新しいことが見えるのだろうし、何がしかの気づきがあるのだろう。

個人的には世界一周することに興味はない。少なくとも今はない。ただ、世界一周にでも出かけるか、と思う心の余裕というか、遊びのようなものは日常生活を豊かに生きるためには必要なのではないだろうか。