熊本熊的日常

日常生活についての雑記

備忘録 St Ives 1日目

2008年06月21日 | Weblog

午前6時少し前に住処を出て、最寄の駅から6時2分発の列車に乗る。終点London Charing Cross駅には定刻よりも少し早い6時25分に到着。ここから徒歩で地下鉄Embankment駅へ行き、6時28分発の列車に乗る。London Victoria駅には6時35分頃に到着。ここでGatwick Expressという空港までの直通列車に乗り換える。Gatwick Expressは15分毎に発車する。6時45分発の列車に乗り、空港には7時15分着。空港では、鉄道の駅はSouth Terminalにあるが、今日これから乗る飛行機はNorth Terminalから出るので、さらにNorth Terminal行きの自動運転の車両に乗る。SouthとNorthの間は5分で結ばれている。まずはチェックイン。それから、空港内のマックで朝食。ベーグルサンドとコーヒー。セットメニューではないので、3ポンド2ペンス。

Air Southwestという航空会社のWOW103便に乗る。出発の案内放送があったので、55-Cという搭乗口で搭乗券の改札をして、そこから通路を進む。通路は地上へ向かう階段になっており、建物の出口に通じている。出口を出ると、そこに双発のプロペラ機があった。この便はLondon=Plymouth=Newquay=Londonという循環航路を飛ぶ。今日は天候が悪く、Plymouthに着陸したものの、霧で視界が規定に達しないとのことで20分ほど立ち往生する。Plymouth空港の規定によれば離陸に必要な視界は220mであるのに対し、現在は150mしかないというのである。視界の状況に改善があったとは思えなかったが、それでも離陸を決行し、定刻より20分ほど遅れ11時10分頃にNewquay空港に到着。自分を含めて10人ほどの乗客が降りる。殆どの人たちは迎えの人があり、その車に乗ってどこかへ行ってしまう。空港の建物の出口にはタクシーの予約係の人たちが手持ち無沙汰に座っている。タクシーに乗ってしまおうかとも思ったが、バス停へ行ってみる。Newquay市街へ向かうバスが11時25分に出ることになっていたので、そのままそこでバスを待つことにした。バスを待つのは私だけ。本当にバスが来るのか不安もあったが、ほぼ定刻通りに緑色の小さなバスが姿を現した。

バスの運転手はショートカットの女性だ。いかにも善良そうな雰囲気だった。バスは空港を後にすると、麦畑が果てしなく広がるなかを走る。すぐに集落のような場所に着き、そこにある待つ人のいない停留所の前を減速して通過すると、今来た道を空港方面へ向かう。空港の敷地の角で方向を変え、空港を背に進む。細く曲がりくねった道を進むと、やがて海が見え隠れしてくる。道は相変わらず曲がりくねりながら、入り江へと降りていく。そこに大きなホテルがあり、入り江はそのホテルのプライベートビーチのような雰囲気になっている。そこで何人かの乗客が降りたり乗ったりして、今度は曲がりくねりながら入り江を後に登りだす。右手に海が見え隠れしながら、草原のような場所を進む。そのうちリゾートマンションのような建物が増えはじめ、いつのまにか賑やかな通りに出て、途端に渋滞にはまる。それでも、既に市街に入っており、ほぼ定刻通り駅前に着く。終点はその先にあるバスターミナルだが、駅前で下車。まずはSt Ivesまでの列車の切符を買う。

乗車している時間は合計で2時間ほどなのだが、13時22分発の列車に乗って、途中2回乗り換えて、St Ivesに着くのは17時26分である。単に時間だけを考えれば、ロンドンからずっと鉄道を利用したほうが早いくらいだ。しかし、今更どうしようもない。列車を待つ間、町を徘徊して時間をつぶすしかない。

Newquayの目抜き通りは貸しサーフボード屋とかビーチ用品の店舗が目立つ。勿論、よくある商店街のようにカフェやパブも多いが、土産物屋風の店もホテルも並び、横丁にはB&Bが軒を連ねているあたりが、いかにも観光地である。地形は複雑で、海岸は切り立った崖になっている。崖の下には砂浜がある。砂浜ではまさにサーフィン教室が行われているらしく、講師らしき人2人を要に黄色いサーフボートが20ほど放射状に広がる。既に海のなかに入って指導を受けている一団もある。この崖の間際まで建物が建っている。建物は総じて古く、屋根には苔のようなものが生えている。そこでカモメが羽根を休めていたりする。その歴史を感じさせる具合が良い。その建物の通りに面した側が、例えばゲームセンターのけばけばしい感じだったりすると、その表と裏の対照もまた楽しい。

列車の出発時間が近づいてきたので駅へ行く。駅のなかにあるカフェでメルトサンドと紅茶をいただく。食べ終わる頃、列車が入線してきた。いつのまにか駅の横の広場にタクシーが列を成している。列車から降りてくる客が目当てなのだろう。London Paddington発の特急で、機関車2両客車8両の10両編成だが、そこから降りてくる客はそれほど多くはない。この列車は折り返しLondon Paddington行きとなる。降車が完全に終わるか終わらないかのうちに、乗車する客の改札が始まり、列車は定刻通り13時22分に発車する。Newquayを出ると次の停車駅はParである。妙な名前の場所だが、そこでLondon Paddington発Penzance行きの列車に乗り換える。待ち合わせは1時間37分。

列車が来る頃から雨が降り出し、列車が動き出した時には雨脚が強くなっていた。単線の線路を時々沿線の木々の枝に車体をこすりながら、列車はゆっくりと進む。動き始めた時には線路に沿って比較的新しい家が並び、庭のサンルームでお茶を飲む人の姿も見える。やがて家並みは途切れ、牧草地となる。羊がいたり、牛がいたり。それがずっと続く。途中、反対方向へ向かう列車とすれちがうため、徐行するなどして、定刻より遅れて14時25分にParに到着。おかげで待ち合わせ時間は1時間31分に短縮された。

Par駅周辺を歩いてみる。何も無い。往来の活発な通りがあるが、バス路線である雰囲気がない。通りに沿って商店もあるが、人の通りは殆どない。仕方ないので、駅に戻り、待合のベンチに座って持参した文庫本を読む。須賀敦子全集の第1巻である。本人の思い出話なのだが、文章になんともいえない雰囲気があり、つい本のなかの世界に引き込まれてしまう。あっというまに乗り換えの列車の到着予定時刻になった。列車は定刻より5分ほど遅れて到着したので、結局待ち合わせ時間は殆ど予定通りとなった。

この列車はほぼ満席だ。列車の中を移動して、先頭車両近くに空きを見つけた。線路は高架とか土手の上を走っているようで、景色が眼下に広がる感じである。私が座っている側の窓からは相変わらず牧草地や麦畑が広がっている。うとうとしながら座っていると、駅に着くたびに車内がごそごそとする。目的地のSt Erthに着く頃には車内はがらがらになっていた。列車は遅れをさらに3分ほど拡大して、17時ちょうどにSt Erthに着いた。ここでSt Ives行きの列車に乗り換える人は20人ほどいて、ホームは一時活気付く。今度は待ち合わせ12分。細かい雨がかなり強い風に煽られながら降っている。列車がSt Erthを出ると程なく、進行方向右側の窓に海が広がる。最初は川かと思ったが、すぐに海と確信できる風景になる。雨に煙る海というのは、実際以上に寒々として見える。切符はSt Ivesまで買ったが、予約してある宿はそのひとつ手前のCarbis Bayというところにある。風雨がひどく、肌寒いので、今日のところはひとまず宿に落ち着くことにする。

Carbis Bayには定刻通り17時21分に着く。下車したのは私を含めて4人だった。駅はホームがあるだけのもので、駅舎も屋根もない。傘をさし、坂を登っていく。駅の周りには小さなホテルや瀟洒な家が並ぶ。宿泊先の宿の場所を確認してこなかったので、目に付いたホテルを訪ね、そこの人に自分の宿泊先の場所を尋ねると親切に教えてくれた。結局17時30分頃、目指す宿にたどり着いた。海に面して高台に立つ小さくて年季が入っているけれど小奇麗な建物だ。宿の名前はAtlantic Hotel。宿のオヤジは春風亭柳昇のような感じの人で、でもチェックインの手続きはその柳昇氏ではなくて、そこにいた年配の元気のよい婦人がやってくれた。部屋は小さいシングルルームだが、清潔で、トイレとシャワーがついている。これで朝食が付いて一泊70ポンドである。相場に対して高いのか安いのかわからないが、既に十分満足である。部屋に落ち着き、窓の外を見ると、雨脚はさらに強くなっているように見えた。

夕食はあてがないので、宿泊先の宿のレストランで食べることにする。18時から営業だと言われていたので、18時過ぎに階下へ降りていくと、予約が必要だという。その場で予約をして、18時45分ということにしてもらう。前菜とメインから一品ずつ選び、余裕があればデザートということのようだ。寒かったので、前菜にはマッシュルームのスープを、メインには牛肉とマッシュルームのパイを頂くことにする。スープはベジタリアン用ということで肉類は一切入っていないのだが、おそらくチーズが入っているのだろう。乳製品系の風味とマッシュルームの風味とが絡まりあい、舌先でとろけるような美味しさだ。パイは味自体はごくありふれたものだが、様々な種類のマッシュルームが入っていて、食感のバリュエーションが楽しい。付け合せの温野菜とジャガイモがパイによく合っていた。きちんと手が加えられた料理というのは、味覚や嗅覚が感じる以上のものを身体に与えてくれる。話し相手がいるわけでもないのに、食べ終わるまでに1時間以上もかけてしまった。デザートをいただく腹の余裕はなかった。

身体が温まり、満腹になったところで部屋に戻って読みかけの本を開く。雨がやみそうにないので、今日は夏至だというのに、外出はしないことに決めた。

本日の移動

05:55 住処を出発
06:02 Westcombe Park発
06:25 Charing Cross着
06:28 Enbankment発
06:35 Victoria着
06:45 Victoria発
07:15 Gatwick Airport着

11:10 Newquay Airport着
11:30 Newquay Airport発
11:50 Newquay Station着

13:22 Newquay発
14:25 Par着
16:00 Par発
17:00 St Erth着
17:12 St Erth発
17:21 Carbis Bay着
17:30 宿に着く