熊本熊的日常

日常生活についての雑記

聖地巡礼

2008年06月26日 | Weblog
ふと思い立って週末にマンチェスターへ出かけることにした。前回、留学のために渡英したのが、ちょうど20年前の今頃であったのを思い出した。それで、あの町がどのようになっているのか、急に見てみたくなったのである。ついでに、留学時代に行きそびれてしまったヨークの鉄道博物館にも足を伸ばすことにした。ロンドンを発ってマンチェスターへ行き、そこで一泊してヨークへ、そしてロンドンへ戻るという経路を考えた。

まずは列車の予約である。昔はインターネットというものがあるにはあったが、今のような姿ではなく、それを使って切符を買ったりするという芸当はまだできなかった。鉄道の切符を買おうと思えば、駅まで出かけて長い列に並ばなければならなかった。記憶が定かでないが、マンチェスターからロンドンまでの往復は割引料金で21ポンドであったと思う。当時は国有鉄道だったが、それなりに営業努力はしていて、曜日や時間帯によって同じ区間でも複数の運賃が設定されていた。マンチェスターとロンドンを往復するにしても、どちらを起点にするかで料金は違ったし、正規料金もあるのに、その料金で乗車しているのは1人もいないのではないかと思えるような状況だった。鉄道が民営化された今でも、そうした料金体系の複雑さは昔と変わらない。結局、ロンドンからマンチェスターまでが26ポンド、マンチェスターからヨークまでが6ポンド、ヨークからロンドンまでは34ポンドということで予約を完了した。これらの運賃は距離と比例していない。宿は、マンチェスターのブリタニア・ホテルを予約しようかと最後まで迷った末に、それより30ポンド安い新しいホテルにしてしまった。

ブリタニア・ホテルはマンチェスターの中心部、ピカデリー公園の近くにある、かなり年季の入った建物である。その威風堂々とした立ち姿がいかにも英国風という感じがしたものだが、もとは木綿の倉庫である。その成り立ちの所為か、単に経営方針の所為なのかは知らないが、立派な外観の割に中のレストランやパブはお手軽で、留学中はよく利用した。私はカスタードプリンが大好きなのだが、そのプリンのことを英語で「cream caramel」と呼ぶことを知ったのはここのレストランでの夕食の時のことだった。英国にもコロッケがあるということを知ったのもこのレストランでのことだ。ただ、当然ながら宿泊する機会は無かった。このほかに、ミッドランド・ホテルという当時のマンチェスターでは最高級とされるホテルが市役所の近くにある。既に当時からホリデー・インの経営であったが、その割には敷居が高く、とうとう一度も利用することはなかった。今回もミッドランド・ホテルのレートをチェックしたが、やはり問題外であった。

ヨークの鉄道博物館は鉄道ファンなら、行ったことが無くても当然その存在は知っているという聖地のような場所である。別に自分が「鉄道ファン」であるとは思っていないのだが、小学生の頃は毎週のように秋葉原にあった交通博物館へ足をはこび、小遣いの制約で容易に数は増えなかったが鉄道模型を集め、近所の書店には並ばない鉄道雑誌をバスと電車を乗り継いでわざわざ遠くの書店まで買いにでかけた身としては、ロンドンに暮らしていてヨークの鉄道博物館を無視するわけにはいかないのである。通うつもりは勿論ない。たぶん一度訪れてみればそれで気が済むと思うのである。

博物館といえば、秋葉原にあった交通博物館も元は万世橋駅だった場所を再開発したものだったが、マンチェスターの科学産業博物館(Manchester Museum of Science and Industry)も元は鉄道の駅だった場所である。世界初の商用鉄道は1825年開業のストックトン・ダーリントン鉄道と言われているが、1830年に開業したのがマンチェスター・リバプール鉄道で、ここはそのマンチェスター駅という由緒ある場所なのである。それほど規模は大きくないのだが、興味深い展示がたくさんあったと記憶している。ここも今回の訪問の目玉のひとつだ。

この小旅行についても備忘録を掲載する予定である。