熊本熊的日常

日常生活についての雑記

紙の博物館で2時間

2011年11月27日 | Weblog
買ったばかりのカメラを使ってみたかったので、実家へ行くときに少し早めに家を出て、飛鳥山公園まで歩いてみた。午後3時過ぎに着いたら、ちょうど何かのイベントの後片付けをしているところで、山の上の公園は子供達で賑わっていた。紅葉の、とてもありきたりな写真を1枚撮ったところで、紙の博物館に入ってみる。そして、ここで2時間近くかけて閉館のアナウンスがあるまで過ごすことになる。

訪れたことのある方ならおわかりになるだろうが、見学に2時間もかかるほど大きな博物館ではない。しかし、私は見学で2時間を要したのである。なぜそれほど時間がかかったかというと、ボランティアの説明員の人と話し込んでしまったからだ。偶然、昨年の今頃、日本民藝館のイベントで和紙職人の話を聴く会に参加した。そのときは事前に参加申し込みをして会に臨んだのだが、今回はたまたま博物館の前を通りかかってふらりと入ったのである。入館してすぐのところは製紙工程についての展示なのだが、そこにボランティアの説明員の方がおられて、「説明しましょうか?」と話しかけられたので「お願いします」と応じただけだ。黙って聴いていれば直ぐに終わったのかもしれないが、私は工場見学の類が大好きで、そういうものを眺めていると楽しくてしょうがない。楽しいと、聴いた話に対して自然にいろいろ反応してしまうので、結果としてひとつの展示物の前で長い時間を過ごすことになるのである。しかも昨年聴いた和紙の話が思い起こされ、それとの対比で尋ねてみたいことが次々に思い浮かんだという所為もあった。ものが出来上がっていく姿を眺めるのも愉快だが、それについて説明する人が楽しそうに且つ熱心に話をする姿も好きだ。どうしても話し手の魅力に惹かれ、言葉のやりとりを続けていたくなってしまう。そんなわけで1階の製造工程の展示で長い時間を過ごし、2階は比較的短い時間で通過して、3階の紙の歴史の展示で、別のボランティアの人の説明を聴いて、1階ほどではなかったが、それでもそれなりの時間を過ごしたのである。閉館時間がもっと遅ければ、おそらくもっと長い時間を過ごしていただろう。人が活き活きと何事かを語る姿は美しい。おかげさまで、紙についての知識を深めると同時に、たいへん愉快な時間を持つことができた。ありがたいことである。