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今朝もこんな空で幕開けです。刻々と変わる冬の空。
日の出までの突き抜けるような躍動感! 生命の息吹を感じる瞬間です。
今日も、ピーカンの空。南西の空には白い有明の月も、優しい顔を覗かせていました。
そう言えば、今日は “下弦の月” なのですね。
ところで、冒頭の写真は、昨日の黄昏の空です。
1年で1番、昼の短い今の季節、夕闇は駆け足でやって来ます。
アッと言う間に夜の帳(とばり)に。そのほんの少し前の空です。

こんな優しい空の色・・。
なぜか・・突然に、高村光太郎の、
「智恵子抄」 なるものに、
思いを馳せてしまったものです。
それも、こんな黄昏の空に・・。
そして、とうとうこんな本まで
引っ張り出して来てしまいました。
随分な飛躍ですね。
そうそう、黄昏と言えば・・。
私も、アンの真似をする訳では
ありませんが、好んで 「黄昏」 という言葉を使います。
“・・・今は黄昏時です。最愛のギルバートよ。
(そう言えば、「黄昏」って、いい言葉じゃないこと?
あたしは夕暮れよりも好きだわ。
ビロードのような感じで、陰影をたたえて、
そして ―― そして ―― 黄昏らしいんですもの。)
昼間は、あたしはこの世の人間であり、
夜は眠りと永遠のものです。
でも、黄昏時には、そのどちらからも解放されて、
あたしはただ自分と、それからあなたのものになるのです。・・・”
【「アンの幸福」 最初の1年】
↑ 上の記述は、アンからギルバートに送った、書簡の抜粋です。
所謂(いわゆる)、婚約時代ですね。一方、「智恵子抄」 も素敵な夫婦愛が描かれています。
今日は、その中の有名な詩を・・。
あどけない話
智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
櫻若葉の間に在るのは、切っても切れない、
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすももいろの朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
高村光太郎 「智恵子抄」より