だって見たいんだもん!

映画と共に生きてきた私。大好きな映画と芝居と絵画をメモします。

少年が、大人になる時

2006-05-26 21:29:10 | 映画
昨日の記事に続いて、今日も10代の少年の物語。でもアメリカのある意味、平和な環境のお話ではなく、この映画はヨーロッパの過酷な現実を舞台にしています。タイトルは、「13歳の夏に僕は生まれた」。監督は、6時間6分の超大作「輝ける青春」(03)のマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ。未見です。

このタイトル、ちょっと変でしょう?なんで、13歳の夏に生まれたのか?実は、ここに深い深い意味があるのです。では、どんなお話?

北イタリアの小都市ブレシャ。主人公は13歳のサンドロ(マッテオ・ガドラ)。夏には家族で、地中海クルージングに出かけるほどのお金持ち。ステキなバカンスを過ごしている時、誤って海に落ちてしまいます。時刻は真夜中。このシーンは「はっ」と息をのむ怖さ。必死で父親を呼び叫ぶ、サンドロ…。

父親(アレッシオ・ボーニ)が気付いた時はすでに遅く、サンドロの姿はありません。一方、サンドロは消耗し力尽きたその時、彼はある船に救われます。彼を助けたのは、ルーマニア人の少年ラドゥ。その船は不法移民が乗った、密航船だったのです!

船の中は、人でいっぱいで水も食料も乏しい、まさに地獄のような環境。ラドゥと妹のアリーナの力でどうにか生き延びたサンドロは、イタリアに生還します。移民収容センターで見出されたサンドロは、自らの命の恩人であるラドゥとアリーナを養子にするよう、父親に頼むのでした。

ようやく我が子と再会した両親(母親は、ミケーラ・チェスコン)は、戸惑います。わずか数日のこととはいえ、今までの生活からは想像もできない体験をしたサンドロは、自分の目で周りを見るようになるのです。自分、両親、そしてイタリアそのものも!

13歳の夏、少年は大人になったのです。子供から大人になる瞬間を描いた映画は、これまでもたくさんあり、いずれも名作と言われています。この映画も、2005年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品。世界的に問題な“不法移民”“密航船”などをテーマにして、なお少年の成長物語にした監督の心情を見届けたいです。
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