一度だけの大泉の話 を 読んでから 萩尾望都さんの 漫画を
読む気持ちが失せてしまって......
それは たいせつにしていた 遠い昔の記憶のなかの 一輪の
瑞々しい白薔薇の 香りが 消えてしまったような カサカサ
した枯れ花になってしまったような さみしさでした。
萩尾さんの痛みは わかるけれど なぜ ここまで 赤裸々に
描く必要があったのか....
銀幕のスターの 日常や闇を 知る必要がないとおなじに漫画家
の生身の闇も知りたくはなかった。
竹宮恵子さんと増山さんのこと 竹宮さんが岡田史子さんに伝えた
苛烈なことば.... 岡田さんの存在がなかったら それこそ 花の
24年組とかいう つくられた惹句で称揚された 一時代を
切り拓いた 少女漫画家たちの作品も あれほどのあざやかさ
清冽さは 持たなかったでしょうに....
こんなことを書くのも ●●靖生 という評論家がSF少女漫画史大全?
とかいう 本を出すと知ったので....
買うのはまっぴらでございますが この方は萩尾さんの大ファン
なので いったいなにを書くのかな ひいきの引き倒しになりま
せんように 公平な評論でありますように 無垢な読者に恣意的な
情報をあたえませんように と 祈るばかりで ついよしなしごと
を 記してしまうのです。
萩尾望都の あそび玉は SF漫画の傑作ですが わたしは岡田さん
のガラス玉が彷彿としてくる。SFではないのですが その透明感
震えるようなリリシズム
少女漫画 とは 透明な もの それが前提だとわたしは思うの
です。萩尾さんの作品でしたら 秋の旅 雪の子 かわいそうな
ママ など....... メッセージは不要です。
SFでしたら ラグトーリンの話ですね。SFマガジンに描いた少女
娼婦のはなしも 好きです。
少女漫画は 朝露 のようなもの
漫画家が おばさん心になってしまったら もう 書けない
たとえ 勲章を もらおうと 絵が見た目うつくしかろうとね
儚いから うつくしい ブラジャーなんか 出した ポーの一族
なんて 見る気もしない。山口百恵のように 表から消えて
いただいたほうが 永遠に 伝説として 残るでしょうに......
SF少女漫画で好きなのは 大島さんのジョカへ 男性失格
四月階段 とか
佐藤史生さんの 夢見る惑星 ワンゼロ 原作ありですが タオピ
静霊王など
澄んだ水のような 岸辺にゆれる花のような 可憐であるが 全世界
を映し 全世界をうてなに抱く そのような 少女漫画は もう存在
しないのかも知れない
少女漫画は ある意味 文学と同等か それ以上です。
わたしの場合 文学で 人生は 変わらなかったが 少女漫画で
変わりました。その作品の名は 「海にいるのは 」でした。
あぁ 語りのテキストを 書くつもりが .... また やってしまった。