遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



   天城にいったとき 田所雅子さんが天城の森につれていってくれた。...ほんとうは原生林におつれしたかったのだけれど...わたしの足がほんとうでないのを案じて 見せてくれたのは三冊の写真集だった。一冊目 二冊目と見せていただくうちに同じ天城の自然を撮りながら撮影者がむきあうものが 目を瞠るほどに深くなってゆくのに驚いた。

   ただの美しい自然のショットが三冊目に至っては ついに目に見えるものを超えてしまう。 見えざるもの...もしかしたら手を触れたり見たりしてはならぬものがそこにありありと絵画のようにある。この写真家 曽我さんは天城の山から愛され特別の許しをもらっているのに違いない...と思った。

   そのなかの一枚は わたしがときどき観る...幻想に限りなく似ていた。虚空から光降りそそぐイマージュ...説明を読むと滝の裏から見た束の間の光の饗宴だったそうだ。一枚一枚の写真がものがたっている...蒼穹と大地をつなぐ樹...無残にも地に堕ちた緋色の落花の尽きようとするいのちのほのお...わたしは息を呑んで凝視める。

   写真家の憑かれたまなざし、カシャとシャッター音がひびく...撮られるものと撮るもののいのちがゆらめき拮抗した一瞬....そこにあって無い世界が...思念...エナジーそのものが留め置かれる。....こういう語りがしたい...純粋な思念...光そのものを手渡す語り.......見果てぬ夢だ。

    

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