いい映画でした。アリエッティーよりずっといいし ある意味で風立ちぬ より好きです。
途中から 落としどころは視えてしまうのですが それでも こみあげてきて その余韻はかなり深いものでした。
「私は自分が大嫌い 」 杏奈は神経質で不器用で 自分の気持ちを表現することができず そのためもあって
ひとが信じられず 孤独な日々を送っていました。養父母ともうまくいってはいませんでした。
ストレスがひきがねになって喘息を起こすので ある夏 杏奈は養母の勧めで転地療養に向かいます。
トラウマが癒されることによる 再生.... それは 通常 そのトラウマを客観的に「みること」により
あるいは「他者の愛 ことばや行動によって」 果たされるのではないでしょうか。
けれども このものがたりでは 自分自身の手で閉じ込められた杏奈の心が マーニーとの出会いでひらかれ しかしながら 裏切られ
再びひどく傷ついたにもかかわらず 愛の本質である 赦しを 「自らの声で発すること」 でまず起きるのです。
その声の響きは波のようにひかりのように 時空を超えて 祖母 や 母の傷ついたつながりも癒してゆく。
この赦しというテーマは原作が英国のファンタジーならではのもの= キリスト教的と思いました。
そして 最終的には 杏奈の記憶 愛された記憶の回復によって 育ての母も救われてゆく。
母の連環が癒され完成されてゆく。
愛と死 再生 または喪失と復活 これはものがたりの永遠のテーマ いはば黄金律です。
「マーニー」は杏奈というひとりの少女にスポットライトをあてた喪失と再生のものがたりであり
マーニーの人生のものがたりでもあります。そこのところ もっと重層的に 波濤のように押し寄せてきてもいいのですが....
杏奈にたいして マーニーが... 外人であるためとファンタジーであるため
絵が漫画になってしまっていて(クララみたいに)..... もうすこし リアルだとよかったかなという感じがしました。
杏奈がスケッチした 輝くばかりのマーニーがいいです。
彩色したもの
あと心配性の養母 頼子さん こちらは写実的に過ぎた。
祖母は最後までうしろすがたでいてほしかった。
ほかに気になるところがいくつか
杏奈の声 よかったです。マーニーはよく笑います。マーニーの声の有村さんは 透明感があっていいのですが 笑うのってむつかしいですね。
脇を固める声優が力不足 とくに杏奈の祖母、 画家久子さん、 育ての母 女優を出すならもっと力のあるひとを出してほしい。
黒木瞳とか電通押しもあったのではないか 創価押しも。
電通のみならずディズニージャパン 創価 ...... ジブリもたいへんだなぁ とラストのテロップを見て思いました。
質の高い映画ですが 一方で 世界観のある壮大なオリジナルを宮崎駿監督に もう一本 撮ってほしい。
複数の人間が織り成す 大河のように雄大な 知られざる日本のものがたりを。
アニメはお金がかかります。
でも負けないで 利用できるものは利用して うまいこと だまくらかして
隠されたメッセージをわたしたちに送ってください。
ひとすじなわではいかない宮崎アニメ それを読み解くのも たのしみのひとつです。