エンテロウィルス-D68が流行の兆しを見せている。
エンテロウィルス-D68は昨年わずか一か月あまりでアメリカ全土に広まった。その感染者がほとんどが子供。
症状は普通のインフルエンザと似て 筋肉の痛み、熱、寒気、咳、さらに、すでに喘息など。
呼吸器に問題を抱えている子どもにおいては、ひどい呼吸障害、呼吸困難などになる。ワクチンは存在しない。
予防法
・病気の人に近づかない
・咳と鼻水を覆う
・石鹸と水で頻繁に手を洗う
・清掃と消毒(塩素系)
・顔を洗っていない手でさわらない
・発病したら外出を避ける
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AFPBB News 【AFP=時事】米国の子どもらの間で確認されている珍しいウイルス性呼吸器疾患の感染件数が、過去数か月間で400人以上に上っているなか、コロラド(Colorado)州では一部の若年患者に突発性のまひ症状もみられるとされ、医師たちの間で突然変異を懸念する声が上がっている。保健当局は、喘鳴とせきを引き起こすエンテロウイルス68型(D68)の米国各地での流行と、8月初頭にコロラドで四肢の筋力低下で9人の子どもが入院した時期が重なったことから、これら2疾患間での関連性について調査を進めている。
米疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は29日、コロラド州の子どもら9人について、「呼吸器疾患の後に神経疾患を発症した」ことを明らかにした。過去2か月間に1歳~18歳の若年層でこのウイルスが流行した理由については現在、専門家らによる解明作業が進められている。まひの症状が出ている9人の子どもたちの8人はポリオワクチンを受けていた。報告によると、一部患者の症状は改善しつつあるが、まひの症状が残る可能性については、現時点で不明だという。専門家によると、まひの症状がコロラド州でのみ確認されていることから、ウイルスが突然変異を起こしている可能性も否めないという。
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昨年8月からアメリカの 100人以上の子どもたちに麻痺を引き起こしている原因として、医学誌ランセットで 2015年1月28日に発表された研究では、それらの麻痺とエンテロウイルス EV-D68 とに関係がある証拠が提示された。
以前の研究で、身体が麻痺した 41人の患者のうち 8人の鼻腔から EV-D65 が検出され、麻痺の原因となっている可能性が強くなっていた。
新しい研究では、コロラド州デンバーで、麻痺を経験している子どもたちのグループに焦点を当てた。このグルーブでは、8人のうち、5人の鼻腔から EV-D68 が検出され、ウイルスとの関係がより強く示された。
このウイルスが脳脊髄液中に見出された場合、麻痺のような状態の原因となる可能性がある強い証拠がとなる。しかし、今のところ、脳脊髄液からは検出されていない。
エンテロウイルス EV-D68は 1962年にカリフォルニアで初めて発見された。症状は、鼻水、咳、発熱、筋肉痛などで、普通の風邪と似た症状を起こすが、このウイルスは特に呼吸器系に影響を与える。
そして、これは身体に麻痺を引き起こしてしまう可能性を持つ。しかし、感染した中の誰が麻痺に陥るのかは、時が経たないとわからない。
これまで麻痺から回復した子どもは、ほんのわずかだ。
EV-D68の感染を防ぐワクチンや、具体的な治療法はない。また、EV-D68を検出できる病院や診療所はそれほど多くはない。
EV-D68 は、夏から秋にかけて感染の可能性が高まり、2014年は、10月の時点で、アメリカで 1,000人以上の感染例が報告された。患者は、主に子どもや免疫系の弱い人たちだ。麻痺や筋力低下は、カナダでも起きているが、アメリカとカナダ以外では報告はない。
ランセットは、その論文の中で、アメリカとカナダの病院では、呼吸器疾患の後に現れた神経症状に対応し続けているとしつつ、しかし、同時にランセットには、
「患者たちは物理療法で治療しているが、長期での予後の判断はできない状態だ。なぜなら、ほとんどの子どもたちが、これまでに改善の傾向を示していない」
と記されている。