遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



 

旅先でたくさんのジャズ喫茶の名店といわれる店に行った。 京都のブルーノート 横浜の千草 ダウンビート 上野の.... だが わたしにとって ジャズ喫茶といえば日暮里のシャルマン。夕焼け段々を降りたところ。

ワルツ フォー デビー   カインド オブ ブルー   クール ストラッティン  リターン トゥー フォーエヴァー   レフト アローン  モーニン  名盤は数あれど 好きだったのは ケルン コンサート...

わたしの持っている LP ケルンコンサート は シャルマンに業者さんが持ち込んだ 試聴盤で マスターは眉をひそめたが それを2000円で買ったのだ。けれども ジャズ喫茶にいくたび リクエストするのは ケルン コンサート か サムホエア  ビフォー だった。聴くたび わたしは 深い海にいるのだった そして 潮にたゆたい 漂い 流され やがて 岸辺に打ち寄せられる ... 人魚姫のように孤独で ひとの世にあくがれながら 傷つき 押し流され 寄る辺なく彷徨う.... 青春というイタイイタイ時代  キース ジャレットのインプロヴィゼーションは 細い細い糸のように 暗黒の海とおそろしいモノたちのいる陸をむすびつけてくれた。 やがて わたしは 痛みに呻きながら 地の上をあるきだし 牙を剥くものたちと 血を流しながら 戦うまでに 強くなった。そして 強くなるにつれ 地上の果実の苦味も甘みもあじわいつくすようになるにつれ シェルターだったジャズ喫茶も キースのピアノも忘れていった。たまに聴くと 40年前の痛みが あこがれが 甦ってきて わたしを噛む すると 家や家族やもろもろのわたしのかち得たものたちは色彩を失い わたしの魂はあくがれだしそうになる... とりとめのないものに 保証のないものに 不確かな あまやかな 不安にみちた うす青い 痛々しいあの頃に 吹きすさぶ風のなかに 身を置きたくなる。

わたしは首を振る いいえ 今 この場所が わたしの戦うところ 愛するものたちとともにいて ゆめみてきたことを果たすところ。



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