声は役者にとって とても重要な要件だ。
高橋一生の声が好きだった。揺らぎ 翳り のある 深くかすかに甘さのある 声
近年では 天国と地獄 あやせはるかと共演した ドラマが出色だった。
正直 ドラマアカデミー賞をとったという 最愛 より ずっと面白かった。
最愛は わるくはないけれど 構成に難がある。
よいドラマはミステリーの要素がなければならない そこはわかるが
犯人を最終回まで 隠すためだろうけれど 登場人物を筋立てのために
置くのは アウト である。整合性があればいいのだけれどね
犯人の弁護士が なんで そこまでして… ヒロインを守るのかイマイチ
説得力がない 新聞記者も熱演ではあったが なぜそこまでするの と
理解できなかった。二兎どころか三兎も四兎も 追ったからと 思った。
これは演出の塚原あゆ子さんの責任ではなく 脚本力の問題である。
さて インビジブルは 面白かった。いいドラマに当たると 人生は
ちょっとばかり あかるくかるーく なる。金曜日まで ときには辛い
仕事の張り合いになる。製作TBSスパークルだから 演出は塚原さんかな
と最初感じたが 展開を見てると どうも違った 流れが綿密じゃない
ちょっとラグがある 粗雑さもある だけど ドドッとくる 感じ。
調べたら違う演出家だった アンナチュラルで助監だった方でしょうか。
肝心の高橋一生さんだが アクションが 怖いくらい 新鮮です。
いい役者は 感性 身体 精神が 一体化している そこからアクション
声 を発する ところが 属性 らしさを 貼り付けるタレント役者
はほんのほんの一瞬 ズレるのね。そのほんの一瞬は大きいです。
あと 相手役 脇との からみね。
なんとなく 声に違和感があった。雪国を見て わかった。
まず 相手役の 奈緒さんは 声 とくに末尾が聞き取りにくい。
演技は 蒼井ゆう 黒木はな 路線の 若手といったところ。
見栄えは優しいが おっかない女 というポジションです。
この路線は一見上手く見えます。
奈緒さんは激情型というか 一瞬の目の輝きとか 迸しりとか
よろしいのですが 姿を見せるのは上手で 美しいのですが
独りよがりというか ひとつの人格として繋がらない。
前見た 怖い話と おんなじ 演技。
高橋一生は風格が出てきた、が 肝心の声 まずナレーション
が最初 固かった。 役柄といったらそこまでだが 音声の高低
を含め 声のキャパ 情報が ちょっと足りない。
もっと 揺らぎが ほしい。それとも得るもののために なにか
うしなった?
たくさんの情報を持つ役者が 出演者や 観客を ものがたり世界
に ときに 異次元に連れてゆけるのです。
塚原さんの演出で 高橋一生を 見たいです。