
写真は、トレドの街の対岸の展望台よりみたトレド。湾曲したタホ川に囲まれた要塞都市だということがよくわかる。マドリードに首都が移転するまで、長らく首都として君臨していた。
【ごきげんなトレド・トレイン・ビジョン】
世界遺産に登録されているトレドの旧市街は湾曲するタホ川に囲まれた天然の要塞都市です。
その全貌を自分の足で歩き回らなくても、最高のロケーションで見られるツアーがありました。トレド トレインビジョン(TOLEDO TORAIN VISION)です。
宿泊したホテルの真ん前、アルカサル(軍事博物館)の横に真っ赤なトロッコ列車のような形を模したミニバスが停まっていました。すでに何人か人が乗っていて、看板には一人6.5ユーロ(2023年現在は7ユーロ)でトレド旧市街を通って、外周まで遊覧できるツアーだと書かれています。時間は45分。
ヨーロッパ中世に栄えた多くの街に共通することではあるのですが、トレドの街も小山なので、どこに行くにも坂道ばかり。疲れていたので、さっそく乗ることにしました。
ちょうど出発というタイミング。機関車の横に立っていた受付の人にお金を払っておもちゃのような4人掛けのイスに座ると、目の前にイヤホンジャックでオーディオガイドを聞けるようになっていました。イヤホンも渡されていて、日本語の設定もあります。出発すると、流ちょうな日本語が流れ、目の前に見える景色の説明をしてくれました。
【数々みえる街のシンボル的門と橋の美しさ】
曲がりくねった石畳を通ると、まず、14世紀に建てられた太陽の門(PUERTA DEL SOL)、さらに進むと、より趣のある門が見えてきました。ビサグラ新門(PUERTA DE BISAGRA)です。
新門といっても1550年に当時のスペインの王カルロス1世(=神聖ローマ帝国カール5世)とその子フェリペ2世の命で建造したものなのでかなりのもの。名前の由来はアルフォンソ6世がトレドを奪還した際にくぐった9世紀にアラブの人が城壁に築いた門があり(その門の別名はアルフォンソ6世門)、それを旧門として、その横に造ったので新門と名付けたのでした。名前に「新」が残っちゃった感じは東京の「新宿」みたいなものでしょうか? 門の荘厳さにぞくぞくしました。
この門をくぐると、中世の街から、外に出ます。

トレドの外周は意外と森だった。
すぐにタホ川を渡り、そのまま直進するとトレド駅、それを川沿いに右に曲がって対岸の小山を登っていきます。途中、タホ川とトレド市内を結ぶ、またもや荘厳な門が見えてきました。古代ローマ時代から戦争による破壊と修復が繰り返され、現在のものは1721年にフェリペ5世が再建築を命じてできたバロック式の門アルカンタラ橋(PUENTE DE ALCANTARA)です。車は通れない門なので、歩いて渡っている人がみえました。
トレドの街を右手に眺めながら丘を登りきると、トレドの全体を見渡すのに最適な展望台(MIRADOR DEL VALLE)へ。ここで10分ほど停車してトレドの街並みをじっくりと遠望することができました。乗客はみな、写真を撮るのに夢中です。
ちょうど夕暮れ時だったので、陰影にとんだ中世の街並みがタホ川にぐるりと囲まれて浮かび上がるように見えました。守りやすく、攻めにくそうな要塞都市。マシュマロのようなほどよい丸みのある宇宙的な都市。ヨーロッパ中世のお姫様、王子様が出てくる絵本のページが目の前に現出したかのようです。いつまで見ていても飽きない細密な美しさでした。夕やみが迫るにつれ、冷たい風が吹いてきました。
ゆっくりと景色を堪能した後は、展望台から続く山道を降り、タホ川にかかる市西部のあるサン・マルティン橋をわたり城内へ。これも14世紀後半に賭けられた石の橋です。周辺には土産物屋が連なっていました。
こうして石畳の道を通って、元の場所へ。
期待をしていなかったのですが、身体も楽だし、景色もおもしろく、解説もよく予想以上に楽しめました。
朝10時から夜10時まで30分おきに出発しています。3月に行ったのですが、夕暮れ時はぐっと冷え込むので足掛けがあるといいと思います。席は右側がおすすめです。
参考 https://www.toledotrainvision.com/
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