写真はナショナルギャラリーの前のトラファルガー広場にそびえ立つネルソン像を上部にいただくネルソン記念柱。
【ひそやかなるフェルメール】
静かで小さく暗い部屋に、フェルメールの絵画が2点、置かれていました(16号室)。《ヴァージナル前に座る若い女性》と《ヴァージナル前に立つ女》でした。日本でフェルメール作品を見るには、たいてい人の頭の向こうを仰ぎみる感じなので実に贅沢な空間です。その人気のなさに軽い驚きすらありました(国立西洋美術館のフェルメール作品は真贋論争があるので、ひとまず除外。)
この部屋が小さく、しかも迷路の袋小路のような場所にあるので、気付きにくいからかもしれません。もしかすると、そおっと見てほしい、という、ナショナルギャラリーの意図が反映されているのかもしれません。
ほかにも充実したオランダ絵画には目を見張りました。オランダで各所めぐって、ようやく見られたいろいろな時代、傾向の絵が一同にぎゅっと集まっている感じです。レンブラントは本国よりレベルが上の作品かも、とおもうほどの迫真の絵の数々。実際にそうかといわれるとわかりませんが、展示されているだけでも18作品以上。たたみかけるような展示枚数に圧倒されるのです。
【エキセントリックな筆致が迫る】
またヤン・ヴァン・アイク、ルーベンスなどなど。
ゴッホの絵はオランダ絵画の間ではなく43号室にありました。「ファン・ゴッホの椅子」「ひまわり」など、荒々しいタッチをじっくり鑑賞できます。
ガラスでおおわれている、ということもないので、絵に没入できるのです。筆のタッチが直接、迫ってくる感じ。ゴッホの椅子の絵や森の力強いタッチ、カニの荒々しさなどみていると、私が高校の美術の時間に描いていたタッチに似ている、なんて錯覚も。少し、落ち着かず普通ではない、エキセントリックな感じ。とにかく間近に感じられて、想像がふくらみます。
質、量ともにすごいコレクション。効率よく見て回るガイド情報もネットにあふれていますが、気の向くままに散歩して、虚心坦懐にみてまわるのも楽しい美術館です。
外に出ると、雨はすっかりやんでいて、青空にネルソン提督の下の噴水周りや日本橋三越のライオン像のモデルとなったライオン像に憩う人々でにぎわっていました。
(つづく)
※次回はナショナルギャラリー周辺です。
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