写真は生ハムとチーズとワインの店「ロス・アンデス」。生ハムの塊がずらりと並ぶさまは壮観。店主に頼むとグラム単位で切り分けて売ってくれる。
【フェルパルとロスアンデス】
マドリードの繁華街・老舗デパートも立つマヨール広場には老舗の様々な店舗がひしめいていました。広場の脇道からは高級ハムを切ったばかりのような高雅な香りが漂ってきました。
見ると豚の太ももをそのまま燻製・熟成させたマンドリンのような形の骨付きハムが間接照明に照らされて天井からぶら下がっています。店員の前にあるガラスのショーケースのなかには、固まりのままのチーズと適度に切られたハムやサラミが並んでいます。見るからにおいしそう。
ほかにサンドイッチ用のパンやワインも売られていて、一巡りすると楽しい食事が出来上がるというわけ。
店の名は「FERPAL(フェルパル)」。1971年創業。隣にはカフェバーも併設されていました。
夕飯はここで適当に見繕って、ホテルで食べることにしました。BOTINで食べきれなかったパンも持っていたのでちょうどいい感じです。
100グラム0.72ユーロ(当時100円程度)のミックスチーズ(MEZCLA SEMICURADO:牛乳半分とヤギ、ヒツジをそれぞれ4分の1以下のチーズ)と黄色味を帯びた100グラム0.97ユーロの塩気のあるヤギのチーズ(CABRA BAJO SAL)、
生ハムはせっかくだから最高級な価格のものと一番お手頃価格のものを選びました。(100グラム6.5ユーロのJAMON IBERICO BELLOTAと100グラム1.85ユーロのPALETA SERANA)。
グラム単位で注文すると手早く薄くカットして真空パックにしてくれました。
中心街からスーパーマーケットへと下っていくごとに普段着の人が増え、混みあっていきます。ホテルへの帰り道、「LOS ANDES(ロス・アンデス)」という看板を掲げた、庶民的なハム、チーズ、ワインなどを扱う店では「スライスチーズ入りサラダ」(シーザーサラダ)などを買いました。他に、スーパーでいちごやヨーグルトを足しました。
さて、ホテルの鏡台をテーブルにして夕食です。チーズは比較的安い金額に限定したためか、食べやすいクリーミーな味でした。もう少し臭みがあってもよかった。
(かつて日本の高級フランス料理店で、普段みないような高級そうなものをいただいたら、なんと一周回って古漬けのたくわんのような味でびっくり! 発酵食品というものは熟成が進むほど、行きつくところは同じだと感じ入り、以来、チーズにはそれほど値を張らないようになりました。)
【脂身の上品な甘さ】
生ハムは違いました。
日本では味わえない、スペインならではのなんともいえない奥深さにすっかりトリコになりました。肉が違うのか、熟成が違うのか、塩が違うのか。漬物は漬け樽から出した直後が一番おいしいように、生ハムも固まりであっても熟成小屋から出荷した瞬間から少しずつ味が変わっていくのかもしれません。
生ハムは実験的に食べ比べたのですが、値段が高いほうが明らかにすばらしい。脂身が違います。口に含んだ時のうまみとなんともいえない上品な甘さ。赤ワインにぴったりと寄り添ってくれました。
買ったイチゴは、深紅色で大きさも子供のこぶしくらいの大きさ。口に入れると、かつての日本の地物のような酸っぱさがあり、少しえぐみも。野生味がありました。
※パンデミックの影響を受けて「フェルパル」は今年2月に廃業してしまったようです。ただホームページは動いていて、電話注文だけ受け付ける、と書かれています。パンデミックが終わったら、復活してくれるといいのですが。(https://ferpalmadrid.com/)https://www.timeout.es/madrid/es/noticias/cierra-ferpal-otro-negocio-mitico-de-madrid-que-echaremos-de-menos-020921
「ロス・アンデス」は営業中の様子です。「フェルパル」より地価も安そうで購買層もほぼ地元オンリーだったことが功を奏しているのかもしれません。(マヨール広場からトレド門のほうに下って左側にあります。)
Los Andes - Madrid - Calle Toledo, 75 | ALIMENTACION Páginas Amarillas (paginasamarillas.es)
(つづく)
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