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写真は宜良の市場にて。子供達もせっせと、緑色のヘタをとる。ちなみに唐辛子で一番辛い部分は、ヘタの部分から先端に向けてついている種の付いた胎座、と呼ばれる部分である。普段の料理で雲南で辛すぎる唐辛子を買った時は、その部分を取り除いて使うと日本人にはちょうどよい辛さとなる。(日本の鷹の爪の方が一個あたりは辛い。)
【「生」を刻む】
市場やスーパーに行けば、野菜売り場では生、乾物売り場では干した保存食や、干したものを加工した粗挽き品や粉がすぐに目につきます。また、市場の中だけでも唐辛子を利用した加工品も枚挙にいとまがないほどです。たとえば、豆腐にたっぷりと唐辛子をまぶしたものや、辛子味噌、赤々とまぶした浜納豆や乳酸発酵した唐辛子の丸ごと漬け、唐辛子などにつけこんだ川魚などバラエティ豊かです。
2010年8月中旬、昆明のお隣、宜良の市場に行ったときには、野菜売り場はほぼ唐辛子に独占されていました。すべて付近の畑からの直送品、すなわち生ものです。昆明付近の標高1900メートル前後の平らな高原では、ちょうど唐辛子の収穫期だったのです。軽トラの荷台の天井まで唐辛子がぎっしりと詰まったものを無造作に市場に山積みしたり、10キロの米が入っていた大袋を再利用し、詰め込んだものなどが次々に搬入されてきました。
丸いものからピーマンに横縞の溝が入ったものまで様々な色や形の唐辛子が並ぶ中、ひときわ目を引いたのが30センチ以上の細長く尖った、まるで凶器のようにピカピカ光る深紅の唐辛子でした。唐辛子でも大型のタイプです。地元の人はただ「辣子」とか地元の人はただ「辣子」とか「中辣」と呼んでいるもの。唐辛子としては、これでも中ぶりなサイズで、肉厚で種が少なく、香り高いのが特徴。辛みは唐辛子の中では中程度、といわれています。ちなみにこれより大きな「大辣」は雲南北方の昭通地区での際材が盛んです。肉厚で粉にする部分が多い品種として好まれています。当然、その地区では乾燥させて使用します。
ところがここの売り場の人々はそのバナナを細長くしたような見事な唐辛子を、自分の売り場近くに持って行っては、生のまま切り刻んで、ひたすら瓶詰めにしているのです。これが一店ではなく、一帯で、です。圧巻。ほんの一部だけ、乾燥目的でコンクリートの上で干していたものもありました。ずいぶん、中途半端な感じでした。
思うに、8月といえば、雲南は雨期。雨が多い上、しかも肉厚とあっては、なかなか乾燥させるのは難しいのでしょう。そこで、保存の第2の手段として、この工程を行っているのでは、と考えました。
ところで市場には夏休み中の子供達がずいぶんいました。宿題の帳面を売り場台の端に広げ、ちびた鉛筆を持って、薄暗がりの中でもかまわず熱心に勉強している子がたくさんいます。そんな子供達が勉強に疲れると、息抜きにするのが親の手伝い。親の脇で、運ばれたばかりの真っ赤な唐辛子に、ちょんと突き出た深緑のヘタを取っていました。偉いなあ、と感心。なにより子供も大人も、ものすごく楽しそうです。どこでも手を休めることなく、賑やかなおしゃべりに花が咲いていました。
(つづく)
【「生」を刻む】
市場やスーパーに行けば、野菜売り場では生、乾物売り場では干した保存食や、干したものを加工した粗挽き品や粉がすぐに目につきます。また、市場の中だけでも唐辛子を利用した加工品も枚挙にいとまがないほどです。たとえば、豆腐にたっぷりと唐辛子をまぶしたものや、辛子味噌、赤々とまぶした浜納豆や乳酸発酵した唐辛子の丸ごと漬け、唐辛子などにつけこんだ川魚などバラエティ豊かです。
2010年8月中旬、昆明のお隣、宜良の市場に行ったときには、野菜売り場はほぼ唐辛子に独占されていました。すべて付近の畑からの直送品、すなわち生ものです。昆明付近の標高1900メートル前後の平らな高原では、ちょうど唐辛子の収穫期だったのです。軽トラの荷台の天井まで唐辛子がぎっしりと詰まったものを無造作に市場に山積みしたり、10キロの米が入っていた大袋を再利用し、詰め込んだものなどが次々に搬入されてきました。
丸いものからピーマンに横縞の溝が入ったものまで様々な色や形の唐辛子が並ぶ中、ひときわ目を引いたのが30センチ以上の細長く尖った、まるで凶器のようにピカピカ光る深紅の唐辛子でした。唐辛子でも大型のタイプです。地元の人はただ「辣子」とか地元の人はただ「辣子」とか「中辣」と呼んでいるもの。唐辛子としては、これでも中ぶりなサイズで、肉厚で種が少なく、香り高いのが特徴。辛みは唐辛子の中では中程度、といわれています。ちなみにこれより大きな「大辣」は雲南北方の昭通地区での際材が盛んです。肉厚で粉にする部分が多い品種として好まれています。当然、その地区では乾燥させて使用します。
ところがここの売り場の人々はそのバナナを細長くしたような見事な唐辛子を、自分の売り場近くに持って行っては、生のまま切り刻んで、ひたすら瓶詰めにしているのです。これが一店ではなく、一帯で、です。圧巻。ほんの一部だけ、乾燥目的でコンクリートの上で干していたものもありました。ずいぶん、中途半端な感じでした。
思うに、8月といえば、雲南は雨期。雨が多い上、しかも肉厚とあっては、なかなか乾燥させるのは難しいのでしょう。そこで、保存の第2の手段として、この工程を行っているのでは、と考えました。
ところで市場には夏休み中の子供達がずいぶんいました。宿題の帳面を売り場台の端に広げ、ちびた鉛筆を持って、薄暗がりの中でもかまわず熱心に勉強している子がたくさんいます。そんな子供達が勉強に疲れると、息抜きにするのが親の手伝い。親の脇で、運ばれたばかりの真っ赤な唐辛子に、ちょんと突き出た深緑のヘタを取っていました。偉いなあ、と感心。なにより子供も大人も、ものすごく楽しそうです。どこでも手を休めることなく、賑やかなおしゃべりに花が咲いていました。
(つづく)
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