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スペインとポルトガル109 エル・グレコの最高傑作といわれる絵を見る 

2023-07-09 07:11:23 | Weblog
トレドの夜の街角。日中、大勢いた観光客が夜にはほとんどいなくなる。(マドリードから一日観光で訪れる人が多いためだろう。)夕食をとろうとレストランに入ると、いかにも、な観光客向けの店以外は、地元の人が集うディープな空間になっていた。スペインにしては店が閉まるのも早めだ。

【サント・トメ教会(Iglesia de Santo Tomé)】
トレド最終日の月曜朝。
何度もポルトガルとスペインを訪れている研究者のKさんから

「とにかく混むので、朝いちに行ってください!」

とアドバイスされていたサント・トメ教会に行きました。
開場前の朝9時50分だというのにすでに行列ができています。

ここにはエル・グレコの最高傑作のひとつ『オルガス伯爵の埋葬』があります。教会のためではなく、その絵1枚のための列なのです。

この教会はイスラム勢力からトレドを奪還したアルフォンソ6世が12世紀に建てたもの。13世紀末には荒廃していたため、当時の領主だったオルガス伯が私財を投じて再建しました。さらに伯爵は遺言で恵まれない人のために、ものや寄付金を教会に納めるように命じ、自身も遺産を教会のために遺したそうです。

16世紀半ばに、同教会の司祭がいろいろな意味を込めて、彼の死のときに現れた奇跡の絵をエル・グレコに依頼。1586年から1588年にかけて描かれたのが本作です。

さて順路にしたがって進むと、すぐに縦4.8m、横3.6mの巨大にして縦長の絵が礼拝堂脇のテラスを覆ってつくったような場所に恭しく飾られていました。この絵以外にはなにもない不思議な順路。

絵を見て、何も考えずに順路を進むとあっという間に外に出てしまいました。あまりにあっさりした順路に驚きました。ちゃんと探せば礼拝堂も見られるようです。

 画のほうはエル・グレコの最高傑作と形容されるだけあって、生生しいというか、神々しいというか。黒を基調にたくさんの神を含めた人々の顔が悲し気に白く浮き上がっています(政策当時のトレドの人々の顔やエル・グレコ、エル・グレコの息子も書き込まれているそう)。大きな絵なのに緻密で、緊張感がみなぎっています。それにしても彼の絵は手のかたちが本当に美しい。細くて繊細で、色白、で、なまめかしい。

門外不出だそうなので、現地でしか見ることができないという貴重さもこの列を生んでいるのでしょう。そして、絵を見る場所が少ししかないので、入場制限がかからざるをえないのでしょう。

カテドラル(大聖堂)の内部。このような手の込んだ芸術的でワビ・サビの対極にあるような空間があらゆるところで展開している。とても豪華。話はとぶがセブ島(フィリピン)で1566年に創建されたサント・ニーニョ教会の祭壇と雰囲気が似ていた。少しの余白も怖れるような豪華なしつらえや金の使い方の感性は時代なのかもしれない。

【カテドラル(大聖堂)】
この後、昼食をとって、カテドラル(大聖堂)へ。広く、薄暗く、金がふんだんに使われていて、彫像も彫刻もこれでもか、というほどふんだんにあり、圧倒されました。宗教画も数多く納められていて、エル・グレコの絵もありました。

大勢の参観者がいましたが広いので、ゆったりと日が傾くまで見学することができます。サント・トメ教会では一枚の絵に集中するだけでしたが、同じ集中力でカテドラルに対しようとしたら、あまりの質と量に気力が追い付かず、へとへとに。さすがスペイン・カトリックの総本山。まいりました。

参考:
 https://spainzatsugaku.com/arte-el-greco-santo-tome/ 2023年7月8日閲覧


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