写真は昆明西側の西山区西園路にある「鉄木真小肥羊香鍋店」(上)とその鍋の具材(下)。昆明でも鍋料理は人気で、その名脇役として豆腐はかかせない。なめらかで、ちょっぴり固めの豆腐が皿に山盛りで出てくる。
ちなみに「鉄木真」とはテムジン、すなわちチンギス・ハーンのこと。この鍋料理店の特徴は、内モンゴル自治区シリンゴル草原の生後6ヶ月の羊肉を用い、鍋のスープには当帰、クコの実、党参、桂円(竜眼というライチに似た果実の干物)、草果、カルダモンなどの漢方薬ともなる果実を丸ごと、ゴマ油風味スープ、もしくはパイタン(白湯)スープに丸ごとぷかぷか浮かべた贅沢さが特徴。
店員には、まず、スープを指定し(2種類を指定すると、太極図の形に2分割された鍋が出てくる。最近では日本でも見られるようになりました。)次に肉2皿、豆腐1皿、青菜1皿、椎茸1皿、トマト、臓物・・、などと具材を指定しての注文となる。
ロールのように丸まっているのが羊肉で、内モンゴルからの冷凍物。
この店はスープも、味もすばらしい上に、値段がお腹いっぱい食べて3人で1500円弱と格安のため、高級料理店のなかでは、昆明でも2007年より2009年まで常に昆明美食店の上位店として君臨している。オススメ。(同じ内容を東京で食べると一人当たり4000円弱の高級料理となり、手が出ません。)
【中国の豆乳がおいしいわけ】
おから入りで煮ると、豆のいろいろな成分が溶け出してより、おいしくなるようにも思えるのだが、じつは豆の青臭さや、雑味が混じり、味の純粋さが奪われる。なにより、泡が大量に立ってしまう。そこで、日本では、たいてい消泡剤(グリセリン脂肪酸エステルやカルシウム塩や食用油)を入れて、泡を鎮めてから、ニガリを入れることとなる。
この消泡剤がくせもので、どうしても味を曇らせる原因となるのだ。日本でもなかには消泡剤を全然、入れない店もあるが、たいていは入れる。
中国では、「日本では苦手な豆乳がなぜ、これほどおいしいのだろう」と毎日、500ミリリットルをゴクゴク飲んでいたのだが、この工程の違いが味の違いとしてくっきりとあらわれてしまっていたようだ。
ちなみに、日本でもまったく中国と同じ作り方をしている県が一つだけある。沖縄だ。生絞り法なので、消泡剤は必要ない上、海が不衛生と言われるまでは、海水をニガリとして使っていた。しっかりと重しをかけて水を絞るのも中国と同じ。県内で作られた豆腐は消泡剤不使用率100%だそうだ。(添田孝彦『日本のもめん豆腐』幸書房、2004年。にある全国調査の統計より)。
この豆腐が沖縄の豆腐チャンプルーなどの特産料理の源といっても過言ではないように、豆腐は中国の庶民料理の源、といっていいのではないだろうか。
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