(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)
(君主制国家が上位を占めるMENA!)
2. MENA諸国の2019年「世界平和指数」
(表http://menarank.maeda1.jp/12-T01.pdf 参照)
(平和の世界地図:青色Very high、黄緑 High、黄色 Medium、オレンジ Low、赤 Very low)
MENA19カ国1機関の中で最も平和度が高いのはカタールで、世界ランクでは163カ国中の31位である。因みに世界で最も平和度が高いとされる国はアイスランドであり、日本は世界第9位である。
カタールに次いでMENA第2位はクウェイトで同国の世界ランクは43位、MENA第3位はUAE(世界53位)である。5位及び6位はオマーン(世界69位)とヨルダン(同77位)であり、これら5か国が世界163か国中の上位グループに入っている。このほか世界100位以内にあるのはチュニジア(82位)とモロッコ(90位)であり、それ以外の12か国1機関はいずれも100位以下である。
世界100位以内のMENA7か国の顔ぶれを見るとチュニジア以外は全て君主制国家であることがわかる。これらの君主制国家はいずれも君主(国王または首長)が絶対的な権力を保持している。MENAは絶対君主制国家が命脈を保っている世界的にも珍しい地域であるが、そのような絶対君主制国家の平和度がイラン、トルコ、エジプト、イラクなどの共和制国家よりも高いことがMENA地域の大きな特徴である。因みに同じ君主制国家でもバハレーン及びサウジアラビアの世界ランクはそれぞれ124位及び129位であり他の君主制国家よりかなり低い。
MENA8位のアルジェリア以下の国々はいずれも世界100位以下であり、このためMENAの平和度の世界平均ランクは115位と極めて低い水準にある。MENAの大国であるエジプト、イランおよびトルコはそれぞれ136位、139位、152位である。
イランとトルコをはさむ世界140位台にはパレスチナ自治政府、イスラエル及びレバノンが並んでいる。イスラエルは経済、社会に関する世界ランクでは常に上位を占め、MENA諸国の中でも1,2位を争っている[1]が、平和度は世界146位と極めて厳しい評価である。さらに世界最下位近くにはリビア(156位)、イラク(159位)、イエメン(160位)が並んでいる。
そしてシリアは世界最下位からわずか1ランク上の162位であり「イスラーム国」などの過激組織との内戦状態は終結に向かっているが同国の平和度は極めて低い。因みに世界163カ国で最も平和度が低いとされたのはアフガニスタンである。
なお日本は世界9位であるが、米国は世界128位で中国(同110位)よりも低い。
平和指数ランクでは安全度に応じてVery high(非常に高い), High(高い), Medium(中程度), Low(低い)及びVery low(非常に低い)の5段階に分類されている。日本はVery highであるが、MENA地域ではカタール、クウェイト、UAE及びオマーンの4カ国だけがHighにランク付けされている。そしてヨルダン、チュニジア、モロッコ及びアルジェリアの4カ国はMediumとされ中国と同じ範疇である。そしてバハレーン、サウジアラビア、エジプト、イラン、イスラエル等はLowレベルとされ、米国もこの範疇にある。トルコ、リビア、イラク、イエメン及びシリアの5カ国は最も低いVery lowのレベルとされている。
(続く)
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[1] 例えばUNCTAD「人間開発指数」、WEF「男女格差」はMENA1位、世銀「ビジネス環境」はMENA2位等。
http://menarank.maeda1.jp/11-T01.pdf
http://menarank.maeda1.jp/8-T01.pdf
http://menarank.maeda1.jp/13-T01.pdf