2.売上高 (続き)
(原油価格とほぼ連動するアラムコとメジャーズ、影響の薄いENEOS/出光!)
(2)2019年(度)~23年(度)年間売上高の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-12.pdf 参照)
2018年(度)から2023年(度)までの5年間の年間売上高の推移を見ると、まず目につくのは原油価格との連動性である。アラムコとメジャーズ5社は原油価格の変動との相関性が極めて高いのに比べ、邦系2社の売上高は相関性が低い。ENEOSと出光の変動が少ない理由はアラムコ及びメジャーズは原油販売が大きな割合を占めるため原油価格の変動に左右されやすいのに対し、邦系2社は原油を仕入れて製品を売る精製専業であることが一因である。そして本稿の冒頭でも触れた通り原油仕入れ価格の変動をほぼ自動的に製品価格に転嫁できる制度に助けられているため原油価格の騰落は売り上げに影響されない。また国内の石油市場が成熟しており需要が好不況に左右されにくいことも売上高の変動幅が少ない一因と言えよう。
具体的に各社の年(度)売上推移を見ると、2019年(度)のアラムコ売上高は3,298億ドルであった。メジャーズ5社の中ではShellが3,449億ドルとアラムコを上回り、次いでbp 2,784億ドル、ExxonMobil 2,649億ドル、TotalEnergies 2,003億ドルでChevronがメジャーズでは最も少ない1,399億ドルであった。これに対してENEOSは10兆100億円(919億ドル、換算レート109円/ドル)、出光は6兆4百億円(同556億ドル、108.7円/ドル)であった。ExxonMobilの売上高はアラムコの8割であり、ENEOSはアラムコの3割弱にとどまっている。
Brent原油の年間平均価格は2019年の64ドル/バレルが翌2020年には42ドルに急落、しかし続く2年間は原油価格が急騰、2021年の71ドルから2022年には101ドルに達している。そして2023年は83ドル/バレルに再び落ち込んでいる。
アラムコ及びメジャーズ5社の売上高は多少異なる様相を示しているものの、ほぼ原油価格の騰落と歩調を合わせている。例えば原油価格とアラムコ、ExxonMobil及びENEOSの対前年増減比を並べると以下のとおりでありENEOSと他の違いが明らかである。
2020/2019年 2021/2020年 2022/2021年 2023/2022年
原油価格 ▲35% → 70% → 43% → ▲18%
アラムコ ▲30% → 74% → 51% → ▲18%
ExxonMobil ▲32% → 57% → 45% → ▲17%
ENEOS ▲21% → 35% → 14% → ▲14%
(続く)
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