(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0473SovereignRating2019July.pdf
2.7月現在の各国の格付け状況 (続き)
(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)
(投資不適格のトルコ、エジプト、イラク!)
(3) MENA諸国の格付け
GCC6カ国のうちクウェイトおよびアブダビ(UAEは首長国単位の格付けでありドバイは格付けされていない)はAAである。カタールは一昨年6月にサウジアラビア、UAEなどが同国と断交し、陸路・海路が封鎖された結果、同年下半期に格付けは1ランク下がりAA-になっている。これは台湾と同じであるが中国、日本よりは1ランク上である。
GCC最大の経済規模を誇るサウジアラビアは二年前まではこれら3か国と同じランク(AA)であったが、現在はA-であり、UAE、クウェイトとは4ランク、カタールとは3ランクの差がある。同国の財政は必ずしも楽観を許さず外貨準備高が減少、7年ぶりに国債発行を余儀なくされている。財務改善のめどが立たないことに対し格付け機関は厳しい評価を下している。
同じGCC加盟国の中で財務状況が悪化しているオマーンは昨年上期まで連続して格下げされ、投資適格から同不適格に転落し、現在はBBにとどまっている。またGCC6か国の中で非産油国のバハレーンは経済が脆弱であり、また政治的にも不安定要因を抱えているためもともと他の5か国より格付けが低く、現在はトルコ、ギリシャと同格のB+に格付けされている。現在も経済危機のため周辺国から金融支援を仰いでいる状況であり、更なる格下げの脅威に晒されている。GCC6カ国はクウェイト、UAE(アブダビ)、カタールの3か国が比較的安定しているのに対し、オマーン及びバハレーンが投資不適格のBBまたはB+に格付けされ格差は大きい。そしてサウジアラビアは両者の中間に位置し、格上げよりも格下げ圧力が強い不安定な状況にあると言えよう。
その他のMENA諸国ではイスラエルがAA-であるがこれは台湾と同格で日本、中国(A+)より1ランク上である。モロッコはBBB-でかろうじて投資適格の格付けを維持している。これに対してトルコは投資不適格であり、B+である。エジプトの格付けはトルコよりも低いBである。ヨルダンはトルコ、ギリシャと同じB+である。またレバノン及びイラクはエジプトより1ランク下のB-にとどまっている。
(フィリピン、インドネシア、ベトナムが揃って格上げ!)
(4) BRICsおよびアジアの発展途上国の格付け
アジア・オセアニア地域ではオーストラリア及びシンガポールが独、スイスなど西欧諸国に並ぶ最上級AAAの格付けであり、東南アジア諸国ではタイがBBB+、インドは投資適格で最も低いBBB-である。フィリピンは今年上半期にBBBからBBB+に上方修正されタイと並び、またインドネシアもインドと同じであったBBB-からBBBに上がっている。BBBはS&Pの格付け定義では「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」とされ、投資適格の中で最も低いランクである。
BRICsの一角を占めるブラジル及び南アフリカはそれぞれBB-、BBでありいずれも投資不適格とされ、同じBRICsのロシアあるいはインド(共にBBB-)より2乃至3ランクの格差がある。ベトナムは昨年までブラジルと同じBB-であったが、今年上半期にBBに格上げされている。
(続く)
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