(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0583OilMajor2023-2ndQtr.pdf
(原油価格の変化に連動する売上高!)
(付) 過去8四半期の売上高と原油価格
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)
ここでは2021年7-9月期から今期(2023年4-6月期)までの2年間、8四半期の各社売上高と原油価格の推移を概観する。
2021年7-9月期売上高はExxonMobilが738億ドル、Shellは600億ドルであった。2社に次ぐのがTotalEnergies 547億ドル、Chevron 426億ドルであり、最も少ないbpの売上高は379億ドルである。因みに同期間のBrent原油平均価格は73.51ドル/バレルであった。
原油価格は続く10-12月期は80ドルに迫り、さらに2022年1-3月期以降は3期連続で100ドルを超えている。しかし同年10-12月期以降は下落傾向に転じ、同期は89ドル、2023年1-3月期は81ドルに下落、今期はさらに70ドル台(78ドル)に転落している。各社の売上高は原油価格の変動にほぼ比例しており、トップのExxonMobilの売上高は、738億ドル(2021.7-9月期)→850億ドル(2021.10-12月期)→905億ドル(2022.1-3月期)→1,157億ドル(2022.4-6月期)→1,121億ドル(2022.7-9月期)→954億ドル(2022.10-12月期)→866億ドル(2023.1-3月期)→829億ドル(2023.4-6月期)と変化している。ExxonMobilの四半期売上高の変化は上記原油価格の変化と極めて近似している。
他社の売上高の推移は以下の通りであるが、ExxonMobilとほぼ同様の傾向を示している。
(単位:億ドル)
2021年 2022年 2023年
7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月 4-6月
Shell 600→ 853→ 842→ 1,001→ 957→ 1,013→ 870→ 746
bp 379→ 522→ 512→ 695→ 578→ 704→ 570→ 495
TotalEnergies 547→ 603→ 686→ 748→ 690→ 686→ 626→ 563
Chevron 426→ 459→ 523→ 654→ 635→ 545→ 488→ 472
(完)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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(アラビア語版)
(目次)
第2章 民戦後世界のうねり:植民地時代の終焉とブロック化する世界(1)
039.対照的なフランスと英国の植民地支配(1/3)
第一次世界大戦時のサイクス・ピコ秘密協定により、フランスはトルコ南部からシリア全域、さらにイラク北部及びレバノンを勢力圏に収め、英国はイラク南部、ヨルダン、サウジアラビア北辺及びクウェイトを勢力下においた。両国はそれぞれの地域に宗主国として君臨した。
しかし第二次世界大戦を境に各地で独立の機運が高まった。この時、フランスと英国が認めた各国の独立後の政治体制は対照的なものであった。レバノンとシリアはフランスが第二次大戦でドイツに占領され海外植民地まで手が回らなくなった間隙を縫って1941年に共和国として独立を宣言した。これに対して英国はフセイン・マクマホン書簡の約束に従いヨルダンとイラクを王国、しかも預言者ムハンマドにつながるハシミテ家の子孫を国王とする王制国家として独立させた。
フランスは共和制国家を樹立させ、英国は王制国家として独立させたことは興味深い事実である。一つの理由は両国自身の政治体制にあると考えられる。両国は共に議会制民主主義国家であるが、英国はその正式国家名「United Kingdom(連合王国、略称UK)」が示す通り王制(もちろん立憲君主制の)国家である。従ってヨルダンとイラクを王制国家として独立させることに抵抗はなかったと思われる。
(続く)
荒葉 一也
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2.世界の石油・天然ガスの消費量(続き)
(2-2) 1970~2022年の消費量の推移
(1970年の消費量5千万B/D弱が50年後の2022年には1億B/D超え目前に!)
(2-2-1)石油 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-G02a.pdf参照)
1970年の全世界の石油消費量は4,540万B/Dであったが、5年後の1975年に5千万B/D台に、そして1980年には6千万B/D台と5年ごとに大台を超える急増ぶりであった。その後1980年代は横ばい状態であったが、1990年以降再び増加に勢いがつき、2000年代前半には8千万B/D、2014年に9千万B/Dを突破した。2020年はコロナ禍の影響で消費が急減したが、2022年は1億B/D目前の9,730万B/Dに達した。
(1970年以降の半世紀で消費量4倍に急成長!)
(3-2-2)天然ガス (図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-G02b.pdf参照)
1970年に9,600億㎥であった天然ガスの消費量はその後1992年に2兆㎥、2008年には3兆㎥の大台を超え、2022年の消費量は4兆㎥に近づいている。1970年から2022年までの間で消費量が前年度を下回ったのは2009年と2020年の2回のみであり、52年間の増加率は4.1倍に達している。
石油の場合は第二次オイルショック後の1980年から急激に消費量が減った例に見られるように、価格が高騰すると需要が減退すると言う市場商品としての現象が見られる。天然ガスの場合は輸送方式がパイプラインであれば生産国と消費国が直結しており、またLNGの場合もこれまでのところ長期契約の直売方式が主流である。そして天然ガスは一旦流通網が整備されると長期かつ安定的に需要が伸びる傾向がある。これに加え最近では地球環境問題の観点からCO2排出量の少ない天然ガスの需要が増加している。天然ガス消費量が一貫して増加しているのはこのような特性によるものと考えられる。
(天然ガスの比率が27%から41%に!)
(3-2-3)石油+天然ガス(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-G02c.pdf参照)
1970年から2022年までの石油と天然ガスの合計消費量の推移を追ってみると、1970年の石油と天然ガスの消費量は石油が4,540万B/D、天然ガスは9,620億㎥(石油換算1,660万B/D)であった。合計すると石油換算で6,200万B/Dとなり、両者の比率は石油73%、天然ガス27%で石油の消費量は天然ガスの2.7倍であった。
その後、半世紀の間天然ガスの消費量はほぼ右肩上がりに増加しており、2022年の合計消費量は石油換算で1億6,500万B/D(内訳:石油9,700万B/D、天然ガス4兆㎥)であり1970年の2.7倍に達している。石油と天然ガスそれぞれについて見ると、石油は2.1倍、天然ガスは4.1倍と天然ガスの伸び率は石油の2倍であった。この結果、2022年の消費量に占める石油と天然ガスの比率は59%対41%であり、天然ガスの比率は半世紀の間に14ポイント上昇している。
(続く)
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II. 五社の業績比較(続き)
(トップはExxonMobil 62億ドル、その他3社は40億ドル台で並ぶ!)
5.設備投資[1]
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)
Chevronの設備投資額は決算資料に明示されていない。その他4社の4-6月期設備投資は、ExxonMobilが62億ドルで最も多い。Shell及びTotalEnergiesは46億ドルで並んでおり、bpは43億ドルであった。前期に比べるとbpは増加しているが、その他3社はいずれも前期実績を下回っている。
(原油・天然ガス共にExxonMobilがトップ!)
6.石油及び天然ガス生産量
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-55.pdf 参照)
(1)原油生産量[2]
2023年4-6月期の原油生産量が最も多かったのはExxonMobilの2,353千B/Dであり、5社の中でただ一社2百万B/Dを超えている。ExxonMobilに次いで生産量が多いのはChevron(1,743千B/D)でExxonMobilの8割である。3, 4位はTotalEnergies(1,571千B/D)、Shell(1,283千B/D)、bpは最も少ない1,000千B/Dであった。
(2)天然ガス生産量[3]
天然ガスの生産量が最も多いのはExxonMobilの日産75億立方フィートで石油に換算すると1,255千B/Dであった。2位以下はChevronの73億立方フィート(石油換算1,216千B/D )、TotalEnergies 48億立方フィート(石油換算900千B/D )と続き、第4位はShellの24億立方フィート(石油換算418千B/D )であり、最も少ないのはbpの21億立方フィート(石油換算369千B/D )であった。
(3)石油・天然ガス合計生産量[4]
石油と天然ガスの合計生産量が最も多いのはExxonMobilであり石油換算で3,608千B/Dである。同社に次いで2位Chevron(2,959千B/D)、3位TotalEnergies(2,471千B/D)の2社が200万B/D台の生産量を維持している。Shell及びbpはそれぞれ1,701千B/D及び1,369千B/Dであった。ExxonMobilの生産量を100とした場合、他の4社はChevron 82、TotalEnergies 68、Shell 47、bpは38である。Shellの生産量はExxonMobilの2分の1である。
各社の石油と天然ガスの比率を見ると、ExxonMobilは石油65%、天然ガス35%であり、その他の4社はShell(石油75%:天然ガス25%)、bp(石油73%:天然ガス27%)、TotalEnergies(石油64%:天然ガス36%) 、Chevron(石油59%:天然ガス41%)である。5社いずれも石油の比率が天然ガスを上回っているが、石油の比率が最も高いのはShell(75%)で、逆に最も低いのはChevron(59%)である。
(続く)
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[1] 「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures
Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow
bp:Capital expenditure
TotalEnergies:12. Net investments
[2] 「原油生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Net production of crude oil, natural gas liquid, bitumen and tsynthetic oil
Shell:Liquid production available for sale
bp:Production (net of royalties), Liquids
TotalEnergies:
Chevron:Net liquid production
[3] 「天然ガス生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Natural gas production available for sale
Shell:Natural gas production available for sale
bp:Production (net of royalities), Natural gas
TotalEnergies:Hydrocarbon production, Gas
Chevron:Net natural gas production, Worldwide
[4] 「石油・天然ガス合計生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:
Shell:Total production in barrels of oil equivalent
bp:Production (net of royalities), Total hydrocarbons
TotalEnergies:
Chevron:Total net oil-eqivalent production
(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第1章 民族主義と社会主義のうねり(22)
038.英雄ナセル:東西両陣営を手玉に取るアラブの星(3/3)
これに対してナセルはソ連のフルシチョフ書記長を味方に引き入れアスワン・ハイダムを建設、さらにスエズ運河の国有化を宣言したのである。英仏はこれに猛烈に反発、イスラエルを巻き込み第二次中東戦争が勃発した。戦闘そのものは軍備に勝る英仏イスラエル合同軍が主導権を握りイスラエルはシナイ半島を占領、スエズ運河は閉鎖された。アカバ湾突端の町エイラートは第一次中東戦争に続いて二度目の戦闘に巻き込まれ、戦争が終わってみれば周囲はユダヤ人ばかりでエジプト人たちは姿を消してしまった。エイラート郊外に住むパレスチナ人小作農のザハラ家は難民となり、8歳になった息子を連れて国境を接するヨルダンの港町アカバに逃れた。
第二次中東戦争は開戦の端緒となったスエズ運河の名前を受けて別名「スエズ戦争」とも呼ばれているが、米国を含めた国際世論は英仏及びイスラエルに終始批判的であった。この結果、ナセルは戦闘に負けたものの外交で勝利し、これによりアラブ世界で一躍ナセルの名声が上がった。彼は東西いずれの陣営にも属さない第三世界の指導者の一人に祭り上げられるのである。当時の第三世界の指導者にはナセルのほか、インドのネール首相、中国の周恩来首相、ユーゴスラビアのチトー大統領、インドネシアのスカルノ大統領などがおり、このうちナセル、ネール、周恩来、スカルノはアジア・アフリカの各国首脳に呼びかけ、1955年にインドネシアのバンドンで第1回アジア・アフリカ会議(バンドン会議)を開催する。この頃がナセルの絶頂期であった。
(続く)
荒葉 一也
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II. 五社の業績比較(続き)
4.キャッシュフロー[1]
(図抜けて高いShellの営業キャッシュフロー!)
(1)営業キャッシュフロー(以下C/F)[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56a.pdf参照)
今期の5社の営業C/Fが最も多かったのはShellの151億ドルで、5社中100億ドルを超えるのは同社だけである。Shellに次いで多いのはTotalEnergies(99億ドル)、ExxonMobil(94億ドル)であり、bp、Chevronは共に63億ドルでShellの4割強にとどまっている。
(各社とも40億ドル前後で並ぶ投資C/F!)
(2)投資C/F[3] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56b.pdf参照)
投資C/Fによるキャッシュの流出はTotalEnergies が最も多い▲45億ドルであり、これに次ぐのがExxonMobilの▲44億ドル、bp▲42億ドル、Chevron39億ドルであった。Shellは5社中で最も少ない▲30億ドルであった。
(最も多いのはExxonMobil▲85億ドル!)
(3)財務C/F[4] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56d.pdf参照)
財務C/Fの収支はShellが▲90億ドルでこれに次ぐのがChevron(▲87億ドル)である。ExxonMobilとTotalEngineersはそれぞれ▲82億ドル及び▲79億ドルであるが、bpはこれら4社とは大きな差があり▲36億ドルにとどまった。
(Shellは400億ドル超、その他3社は200億ドル後半のC/F期末残高!)
(4)C/F期末残高[5] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56e.pdf参照)
6月末キャッシュフロー残高を比較する。なおChevronは資料に残高が明記されていないためここでは4社を比較する。
残高が最も多いのはShellの451億ドルである。ExxonMobil及びbpの残高もそれぞれ296億ドル、289億ドルで肩を並べ、残高が最も少ないのはTotalEnergies の256億ドルである。
(続く)
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[1] キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が企業に義務付けられており、日本でも1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。
キャッシュ・フローは(1)営業キャッシュ・フロー(日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支)、(2)投資キャッシュ・フロー(工場新設やビル建設・トラック購入などの設備投資・有価証券投資に要する現金支払いと資産売却による収入)及び(3)財務キャッシュ・フロー(財務活動による現金の収支)の3種類があり、これらの総合収支が会計期間内の現金収支であり、期首(前期末)の現金(及び現金相当物)の残高に期間内の収支を加えたものが当期末の現金(及び現金相当物)となる。(Wikipediaより)
[2] 「営業キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Cash Flow form Operating Activities (U.S. GAAP) / Net cash provided by operating activities (U.S. GAAP)
Shell:Cash flow from operating activities
bp:Net cash provided by operating activities, Condensed group cash flow statement
TotalEnergies:Cash flow from operating activities, TotalEnergies financial statements
Chevron:Net cash provided by Operating Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)
[3]「投資キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。
Shell:Cash flow from investing activities
bp:Net cash used in investing activities
TotalEnergies:Cash flow used in investing activities, TotalEnergie financial statement
Chevron:Net cash Used for Investing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)
[4]「財務キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。
Shell:Cash flow from financing activities
bp:Net cash provided by (used in) financing activities
TotalEnergies:Cash flow from (used in) financing activities, Total financial statement
Chevron:Net cash provided by (Used for) Financing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)
[5] 「キャッシュフロー期末残高」は各社資料から下記項目を抽出した。なおChevronは資料に明記されていない。
ExxonMobil:Cash and cash equivalent at end of period
Shell:Cash and cash equivalent at end of period
bp:Cash and cash equivalent at the end of the period
TotalEnergies:Cash and cash equivalent at end of period, TotalEnergies financial statement
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II. 五社の業績比較
ここでは五社の当期利益、売上高、売上高利益率、キャッシュ・フロー及び設備投資を比較する。
(大幅減益のShell!)
1. 純利益[1](図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
4-6月期は全社が利益を計上しているが、各社の開きは大きく、利益が最も多かったExxonMobilの79億ドルに対しChevron 60億ドル、TotalEnergies 41億ドルである。第4位はShell(31億ドル)、5位bp (18億ドル)であり、ExxonMobilに比べるとTotalEnergiesは2分の1、bpは4分の1である。
前期(1-3月)及び前年同期(2022年4-6月)に比較すると全社減益である。特に前年同期比の落ち込み幅が大きく、38%減であったTotalEnergiesに比べて他社は半減以上の大幅減益である。特にbp、Shellは5の1以下にとどまっている。また前期(1-3月期)についてはChevronは1割減、TotalEnergies及びExxonMobilは3割減であったが、Shellは6割減、bpは8割減である。Shellの場合前年同期、前期及び今期の利益はそれぞれ180億ドル、87億ドル、31億ドルであり、落ち込みが大きい。
(原油価格下落で売上高も続落!)
2.当期売上高[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-51.pdf 参照)
2022年4-6月期のBrent原油平均価格は78.05ドル/バレルであり、前年同期(113.93ドル) 、前期(81.17ドル)と連続して下落している。各社の売上高も油価を反映して続落している。
5社の売上高はExxonMobil の829億ドルが最も高く、これに次ぐのShell (746億ドル)、TotalEnergies(563億ドル)である。bp及びChevronの売上は500億ドルに達していない。
ExxonMobilの売上高を100とした場合、Shell 90、TotalEnergies 68、bp 60、Chevron 57である。前項で触れた通り利益面ではExxonMobil、Chevron、TotalEnergies、Shell、bpの順であり、ExxonMobilは売上及び利益の両面でトップ企業の貫録を示している。
(Chevronのみ二桁台の利益率!)
3.当期売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)
IOC5社の今期売上高利益率はChevronが12.7%と最も高く、5社の中でただ1社二桁台の利益率を達成している。ExxonMobilは9.5%、TotalEnergiesは7.3%であり、Shell及びbpはそれぞれ4.2%及び3.6%である。
前期(1-3月期)或いは前年同期(2022年4-6月期)と比較すると、TotalEnergies 以外は10%以上の利益率であった。1年前の前年同期はShellが18.0%と5社の中で最高の利益率を上げ、Chevronもほぼ同様の17.8%の利益率であった。前期はbp14.4%で最も利益率が高く、ExxonMobil及びChevronが13%台であった。Shellの利益率は前年同期の18.0%から10.0%に下落、さらに今期4.2%と大きく下がっている。
(続く)
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[1] 「純利益」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)
Shell:Incom/loss attributabel to shareholders
bp:Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
TotalEnergies:Netincome (TotalEnergies share)
Chevron:Net income
[2] 「売上高」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Total revenues and other income
Shell:Revenue
bp:Total revenue and other income
TotalEnergies:Sales
Chevron:Sales and other operating revenues