石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今週の各社プレスリリースから(8/6-8/12)

2023-08-12 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/7 出光興産

豊富な日本の海洋資源を生かすブルーカーボン事業の創出へ向け、世界各地に拠点をもつHatch社との共同検討を開始

https://www.idemitsu.com/jp/news/2023/230807.html

 

8/7 Saudi Aramco

Aramco announces second quarter and half year 2023 results

https://www.aramco.com/en/news-media/news/2023/aramco-announces-half-year-2023-results

 

8/8 出光興産

2024年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.idemitsu.com/jp/content/100043337.pdf

 

8/10 ENEOSホールディングス

決算短信・説明資料

https://www.hd.eneos.co.jp/ir/library/statement/

 

8/10 コスモエネルギーホールディングス

2024年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/ir/financial/result/2023/q1/pdf/23_1q_all.pdf

 

8/12 INPEX

2023年12月期 第2四半期決算発表

https://www.inpex.co.jp/news/2023/20230809_d.html

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(37)

2023-08-11 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第1章 民族主義と社会主義のうねり(21)

 

037.英雄ナセル:東西両陣営を手玉に取るアラブの星(2/3)

この時まだ34歳であったナセルは大統領兼首相の座をナギブ将軍に譲ったが、1954年には権力闘争の末に自ら大統領に就任した。実権を掌握したナセルはその後汎アラブ主義を掲げエジプトをアラブの盟主の地位に押し上げる。汎アラブ主義は社会主義とアラブ民族主義が合体したものであり、その起源はシリアで生まれたバース党にある。汎アラブ主義はその性格上、英仏の植民地帝国主義あるいは米国資本主義と敵対する反面、ソ連社会主義に対しては親近感がある。

 

権力を握り理想に燃えるナセルがまず目指したのがスエズ運河の国有化であった。スエズ運河は19世紀半ばにフランス人のレセップスの手で開通したが、当初から経営への介入を狙っていた英国は放漫財政に苦しむエジプトから運河の株式44%を取得している。その資金源はこれまで同様ユダヤ人のロスチャイルドであった。こうして第二次大戦後までスエズ運河の管理権は英国とフランスが握っていた。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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利益、売上が前期比、前年同期比で大きく後退:2023年4-6月期五大国際石油企業決算速報(5)

2023-08-10 | 今日のニュース

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(10%超の安定した売上高利益率を誇るChevron!)

5. Chevron

プレスリリース:

https://www.chevron.com/newsroom/2023/q3/chevron-reports-2q-2023-results

(1)売上・利益・利益率

 Chevronの2023年4-6月期は売上高472億ドル、利益60億ドルであった。前期(1-3月期)比では、売上高は▲3.3%減、利益▲8.6%減であり、また前年同期(2022年4-6月期)比では売上高は▲28%減、利益▲48%減である。売上高利益率は今期12.7%、前期13.5%、前年同期17.8%であり、いずれも10%を超える安定した利益率を誇っている。

 

(2)キャッシュフロー

 今期の営業キャッシュフローは63億ドル、投資キャッシュフローは▲39億ドルであり、フリーキャッシュフローは25億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲87億ドルであった。なお同社決算資料では期末キャッシュフロー残高は示されていない。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 Chevronの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油174万B/D、天然ガス73億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は296万B/Dである。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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石油と中東のニュース(8月10日)

2023-08-10 | 今日のニュース

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

(石油関連ニュース)

 

(中東関連ニュース)

・サウジの在イラン大使館、7年ぶりに業務再開

・シリア、震災支援物資輸送でトルコ国境2か所の検問開設を3カ月延長

・トルコの国境侵犯非難:シリア大統領、海外メディアのインタビューで

・トルコ:81県のうち57県の知事交代

・イラン、超音速巡航ミサイル開発を明言

・イラン外相、加藤厚労相と医療協力で協議

・イラク:国内メディアに「ホモ」「ジェンダー」の用語使用を禁止

・損失のオマーン航空、リストラに着手

・エジプト、グリーン水素プロジェクトでインド企業と基本合意締結

・アブダビADNOC、ガス設備拡充工事をスペイン企業に36億ドルで発注

・ドバイ訪問観光客、コロナ禍前の水準を超える。本年上期855万人

・ドバイ観光のミステリー、世界最大の観覧車が2年以上運航停止

 

 

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二大産油国サウジとロシアで分かれる明暗:世界主要国のソブリン格付け(2023年8月現在) (上)

2023-08-09 | その他

(注)「マイライブラリー」で上下一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0584SovereignRatingAug2023.pdf

 

 本レポートは著名な格付け会社Standard & Poors (S&P)[1]の2023年8月現在の世界主要国及びMENA諸国のソブリン格付け[2]を取り上げて各国を横並びに比較するとともに、いくつかの国について過去3年間にわたる半年ごとの格付け変化を検証するものである。

 

 因みにS&Pの格付けは最上位のAAAから最下位のCまで9つのカテゴリーに分かれている。このうち上位4段階(AAAからBBBまで)は「投資適格」と呼ばれ、下位5段階(BBからCまで)は「投資不適格」又は「投機的」とされている。またAAからCCCまでの各カテゴリーには相対的な強さを示すものとしてプラス+またはマイナス-の記号が加えられている[3]。なおC以下でS&Pが債務不履行と判断した場合はSD(Selective Default:選択的債務不履行)格付けが付与され、さらに格付けを行わない場合はN.R.(No Rating)と表示される。

 

S&P(日本)ホームページ:

https://disclosure.spglobal.com/ratings/jp/regulatory/delegate/getPDF?articleId=3027987&type=COMMENTS&subType=REGULATORY&defaultFormat=PDF

 

*過去のレポートは下記ホームページ参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/SovereignRating.html 

 

(1ランク上がったサウジアラビア、格付けから外れたままのロシア!)

1.2023年8月現在の各国の格付け状況

(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)

2023年8月現在の格付けを1月のそれと比べると最高格付けAAA(トリプルA)のドイツ、カナダ、シンガポール等の他、AA+の米国[4]、AAの英仏、A+格付けの日本、中国など主要な国々に変動はなかった。

 

極東各国(地)の格付けは台湾と香港がAA+に格付けされている。韓国はこれら2カ国より1ランク低いAAであり、日本と中国はさらに2ランク低いA+とされている。台湾と香港の格付けは米国と同じであるが、米中の対立および中国の同化政策により香港の国際金融都市としての高い格付けが今後も維持されるかは不透明である。また台湾は政治的、軍事的に緊張をはらんだ状況に置かれているが、IT産業が好調であるなど、経済的には日本或いは中国よりも安定していることから高いソブリン格付けを得ている。今後、格付け機関が台湾と香港に対してどのような評価を下すのか注目されるところである。

 

G7の国々のうちドイツ及びカナダはAAAの最高格付けであり、米国は1ランク下のAA+、英国及びフランスはさらに1ランク低いAAである。そして日本はAAAより5ランク低いA+に格付けされ、イタリアは投資適格ではあるがBBBにとどまっている。因みに格付け定義ではAAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(トリプルA)との差は小さい」とされ、これに対して格付けAは「債務を履行する能力は高いが上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」とされている。そしてBBBの定義は「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」である。

 

G7以外の国ではアジア諸国のうちシンガポール及びオーストラリアがAAAに格付けされ、またMENA諸国では、アブダビ及びカタールがAAに格付けされている。カタールは昨年下半期にそれまでのAA-から1ランクアップしている、これはウクライナ紛争によるエネルギー危機が顕在化し、世界的に天然ガス(LNG)の需要がひっ迫したことがLNG輸出国のカタールの経済的地位を高めたためである。

 

その他の主要MENA諸国では、イスラエルがAA-である。またGCC諸国を見るとクウェイトはアブダビ、カタールより2ランク低いA+である。サウジアラビアは今年上半期にA-からAに1ランクアップしている。石油需要が回復し、またロシアなどを含めたOPEC+(プラス)の協調減産の結果、油価が好調に推移しサウジアラビアの財政が大幅な黒字基調になったことが格上げの要因と見られる。GCC諸国の中で石油天然ガスの生産量が比較的少ないオマーンと殆ど石油が無いバハレーンは共に投資不適格のランクであり、オマーンはBB、バハレーンB+である。

 

MENAでは大国に位置付けられているエジプト及びトルコは共にBの格付けであるが、トルコは昨年後半にB+からBに格下げされている。人口の多い両国はここ数年のコロナ禍で観光客が激減していることに加え、ウクライナ紛争による燃料、穀物価格の値上げで国内のインフレが悪化していることが格付けの低い原因である。因みに格付けBの定義は「現時点では債務を履行する能力を有しているが、「BB」に格付けされた発行体よりも脆弱である。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれ易い」である。

 

 アジアの国々の多くは投資適格では最も低いBBBの格付けであり、タイ及びフィリピンがBBB+、インドネシアはBBBである。インドは投資適格では最も低いBBB-、ベトナムは投資不適格では最も上位のBB+である。南米のブラジルはBB-であり、南アフリカも同格である。またアルゼンチンの格付けは前回より2ランク下がりCCC-とされている。

 

 ロシアは昨年初めまでインドと同格のBBB-を維持していたが、ウクライナ紛争が長引き、同国経済の先行きが不透明となった結果、格付け対象から外さ、現在はN.R.(No Rating)とされている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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[1] 世界的な格付け会社はS&P社のほかにMoody’s及びFitchRatingがあり、三大格付け会社と呼ばれている。

[2] ソブリン格付とは国債を発行する発行体の信用リスク、つまり債務の返済が予定通りに行われないリスクを簡単な記号で投資家に情報提供するものである。「ソブリン格付け」は、英語のsovereign(主権)に由来する名称であり、国の信用力、すなわち中央政府(または中央銀行)が債務を履行する確実性を符号であらわしたものである。ソブリン格付けを付与するにあたっては、当該国の財政収支の状況、公的対外債務の状況、外貨準備水準といった経済・財政的要因だけでなく、政府の形態、国民の政治参加度、安全保障リスクなど政治・社会的要因を含めたきわめて幅広い要因が考慮される。

[3] S&Pの格付け定義についてはhttp://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-02.pdf参照。

[4] FitchRatingは最近米国格付けを最上位のAAAからAAに引き下げた。S&Pはすでに2011年にAAAからAAに引き下げている。引き下げの理由はFitchRating, S&P共に連邦債務の上限問題に関して連邦政府と議会の関係が不安定であるためとしている。

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(36)

2023-08-09 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第1章 民族主義と社会主義のうねり(20)

 

036.英雄ナセル:東西両陣営を手玉に取るアラブの星(1/3)

アラブ世界で誰しもが認める英雄と言えば12世紀にイラクのティクリートで生まれたサラディン(サラーフ・アッ=ディーン)であろう。彼はエジプトを征服してアイユーブ朝を創設、また英国王リチャード1世による第3回十字軍と戦った勇士である。この時十字軍側が捕虜を皆殺しにしたのに対してサラディンは捕虜を殺さなかった。このことから彼は敵味方を問わずに愛され、英雄として歴史に名を残している。

 

サラディンから800年後の20世紀のエジプトに現れたナセル(ガマール・アブドゥル=ナセル)もアラブの英雄と讃えられている。サラディンが中世ヨーロッパのキリスト教十字軍と戦った英雄であったのに対し、ナセルはイギリスの保護国であったエジプトの王制をクーデタで打倒(1952年)、さらに西欧帝国主義国家の英仏を相手にスエズ運河の国有化を勝ち取っている(1956年)。

 

1918年にエジプト地中海沿岸の都市アレクサンドリアに生まれたナセルは陸軍士官学校卒業後スーダンに赴任、1948年のイスラエル独立宣言を契機に始まった第一次中東戦争では少佐として従軍した。この戦争でアラブが致命的な敗北を喫すると(ナクバ・大災厄)、彼は反英愛国の将校組織「自由将校団」を結成、1952年にクーデタでファルーク国王を追放した。エジプトは専制君主制から共和制に移行したのである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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利益、売上が前期比、前年同期比で大きく後退:2023年4-6月期五大国際石油企業決算速報(4)

2023-08-08 | 海外・国内石油企業の業績

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(浮き沈み小さく安定した業績を続けるTotalEnergies!)

4. TotalEnergies

プレスリリース:

https://totalenergies.com/media/news/press-releases/totalenergies-second-quarter-and-first-half-2023-results

(1)売上・利益・利益率

 TotalEnergiesの2023年4-6月期は売上高563億ドル、利益41億ドルであった。前期(1-3月期)と比較すると、売上高は▲10%減、利益は26%減であり、前年同期(2022年4-6月期)比では売上高▲25%減、利益は▲28%減である。

売上高利益率は今期7.3%に対し前期は8.9%、前年同期7.6%であり安定した利益率を確保している。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは99億ドル、投資キャッシュフローは▲45億ドルであり、財務キャッシュフローは▲79億ドルであった。この結果、6月末のキャシュフロー残高は256億ドルとなっている。

 TotalEnergiesの4-6月期設備投資は46億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 TotalEnergiesの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油157万B/D、天然ガス48億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は247万B/Dである。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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石油と中東のニュース(8月8日)

2023-08-08 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・OPEC+協調減産で原油価格4か月来の高値。Bret $86.09, WTI $82.67

・サウジアラムコ、アジア顧客向け9月価格引き上げ

(中東関連ニュース)

・訪日中のイラン外相、ロシアへのドローン提供報道を強く否定

*外務省HP「日・イラン外相会談」参照。

・サウジアラビアジェッダに40カ国が集まりウクライナ危機解決策を協議

・エジプト大統領:UAE大統領、バハレーン国王と相次いで会談

・イスラエル、シリアダマスカス近郊を空爆。死者6名

・米国、艦艇2隻を紅海に展開、イランを牽制

・イラン、来年の議会選挙立候補者の登録始まる

・サウジと韓国、鉱業部門の人材育成で協力

・サウジ、トルコ製ドローン国産化へ

*レポート「中東に広まるドローン(UCAV)の開発と軍事利用 」参照。

・サウジアラムコ、4-6月利益300億ドル、前年同期比38%減

 

 

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利益、売上が前期比、前年同期比で大きく後退:2023年4-6月期五大国際石油企業決算速報(3)

2023-08-07 | 海外・国内石油企業の業績

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(5社の中で最も見劣りするbp!)

3. bp

プレスリリース:

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/second-quarter-2023-results.html

(1)売上・利益・利益率

 bpの2023年4-6月期売上高は495億ドルであった。これに対して利益は18億ドルで利益率は3.6%であり、これは5社の中で最も低い。売上高は前期(1-3月期)比で▲13%の減収、前年同期(2022年4-6月期)比では▲29%であった。また利益は前期比▲78%、前年同期比▲81%の減益であった。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは63億ドル、投資キャッシュフローは▲42億ドルであり、また財務キャッシュフローは▲36億ドルであった。この結果、6月末のキャッシュフロー残高は289億ドルとなっている。

 bpの4-6月期設備投資は43億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 bpの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油100万B/D、天然ガス21億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は137万B/DにとどまりExxonMobil (361万B/D)の3分の1強である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(35)

2023-08-07 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第1章 民族主義と社会主義のうねり(19)

 

035.ナクバ(大災厄)で覚醒した青年将校(2/2)

 これに対してアラブ側は開戦と同時に四方八方からイスラエルに攻め込んだものの、アラブ連合軍とは名ばかりで統一した指揮命令系統もなく単なる烏合の衆に過ぎなかった。個々の兵士たちは自分たちが何のため、そして誰のために戦っているのかわからないまま、ただ上官の命令に従い旧式の武器でユダヤ人と交戦させられたのである。戦線のいたるところでアラブ兵士は敗退した。彼らはこの戦争を「ナクバ(大災厄)」と名付けた。

 

 後にエジプト大統領となるナセル少佐も戦争に従軍し負傷している。1918年生まれのナセルは1939年に陸軍士官学校を卒業後スーダンに赴任、第二次大戦中にエジプト解放運動に身を投じ、第一次中東戦争の時は30歳の若き少佐であった。この時代、頭脳優秀だが貧乏なため大学に進学できない家庭の子弟が出世する道は士官学校に限られていた。士官学校に行けば衣食住の心配は無くそれどころか給与も支給される。さらに最新の技術を習得することができ、成績優秀なら外国にも留学できる。野心にあふれた若者にとってこれほど希望に満ちた職業は無かったであろう。

 

 しかし士官学校卒業後には生命を祖国に預ける厳しい戦争が待っていた。戦争に敗れたそのとき、それまで祖国のためと思って戦ってきたナセルの胸に去来したのは祖国エジプトに対する幻滅だったのか。「マッチ擦るつかのまの海に霧深し 身捨つるほどの祖国はありや」と虚無感を露わにしたのは詩人の寺山修司であるが、ナセル少佐は違っていた。彼はナギブ将軍らと共に軍隊の中に反英愛国の秘密結社「自由将校団」を結成し革命の道を目指したのであった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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