まつや清の日記 マツキヨ通信

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静岡市議会 災害廃棄物=震災がれき受け入れ関係予算に討論

2012年07月05日 | ニュース・関心事
会派「虹と緑」を代表して、第115号議案、2012年度静岡市一般会計補正予算のうち、災害廃棄物、震災がれきに関わる予算に反対の立場で討論を致します。

東日本大震災による岩手県、宮城県の震災がれきについては、被災地の復旧・復興に向かう一刻も早いがれき処理のために受け入れるべきであるとする方々と放射性物質の安全性、自区内処理、コスト論などの観点から広域処理、受け入れに反対という方々が対立する現状にあります。そうであるがゆえに田辺市長は、安全の保証と安全の納得のために情報公開、試験溶融、パブコメ、市民対話、その後に本格受け入れの是非の判断決定という筋道を提示しました。
... ところが、本会議の総括質問初日6月22日、沼上清掃工場の試験溶融結果が出たことをもって石上議長同席のもとで緊急記者会見を開き本格受け入れ表明をいたしました。しかも、総括質問3日間で4人の災害廃棄物、震災がれきに関する質問者がいるにもかかわらず、緊急記者会見の趣旨を市長自身が議会に説明するということはありませんでした。私は、これまでこの問題にぶれていない田辺市長の政治姿勢を支持してまいりましたが、市長自身の透明性、情報公開の姿勢に変化が起きたと思わざるをえません。大変残念なことです。これが反対理由の第一です。

反対理由の第二は、広域処理自体の根本的な見直しが求められている点です。
5月21日の岩手県、宮城県、環境省の発表によれば、広域処理量自体が401万トンから247万トンと大幅に減少、岩手県においては広域処理量120万トンのうち不燃物が90万トンで震災がれき処理の遅れの最大なものは不燃物処理であること、木くず自体も48万トンから17万トンに減少、静岡県が受けいれる山田町、大槌町の木くずは12万500トンから5万トンに減少しました。
 更に宮澤議員が総括質問で指摘した横浜大学名誉教授の宮脇昭氏が提唱した「みどりの防潮堤構想」が、大槌町においても「千年の杜」実験プロジェクトとして、宮城県議会においても多重防御の一環としてがれきを活用した「いのちを守る森の防潮堤」推進議員連盟が設立され、法的枠組みを緩和することでがれきの自区内処理が大胆に進み広域処理の必要性がなくなる事態が始まりつつある点です。
木くずのリサイクルの進捗をみても宮澤議員は「広域処理の無駄な時間と経費」と指摘しました。因みに処理費用は1トンあたり宮古市現地であれば1万6300円、東京都で5万9000円、静岡市の場合には8万2000円です。これは莫大な費用になります。こうしたことも市民に公表して判断を求める必要があります。環境省は実は運賃コストを考えると関東以北での受け入れがベターと本音では考えている節があります。

 一方、仮に広域処理を行わず自区内処理で対処した時、震災がれき処理目標の2014年3月に、岩手県で2基の仮設焼却場と太平洋セメント活用で1年4カ月、宮城県で29基の仮設焼却場活用で10カ月の遅れがでると環境省は指摘しています。ただ、被災者の心情を考えた時、また、岩手県、宮城県の子どもたちの放射能被曝を低めるためにできるだけ早くと云う意味においては、コストがかかっても受けいれるべきであるとする市民感情が広範に存在していることも事実であります。仮に受け入れる場合には、これは私が総括質問で指摘させていただいておりますが安全性の問題に対する明確な姿勢が必要になります。

反対理由の第三は、その安全性について、焼却灰の静岡市の独自基準を策定する意志を持とうとしない、出口の焼却灰濃度は8000Bq/kgで大丈夫としている点であります。何故、政令市の静岡市長が、島田市ですら設定し住民と覚書まで交わしている入口100、出口500Bq/kg、これを越えたら受け入れを中止するという基準を決めることができないでしょうか。答弁では「県下の統一基準を待つ」という県任せの姿勢のようですが大変残念であります。
独自基準を明確にすることは、住民の不安や風評被害を解消します。また、受け入れ反対の放射能ゼロ論の立場や焼却灰8000Bq/kgでなく何かしらの基準が必要という慎重論の方々と「放射能を正しくこわがる」観点からの対話が生まれる条件となります。
 また、独自基準を定めるか否かは、焼却場の周辺の住民の方々の健康状態に静岡市がどれだけ強い関心を持っているかを示す指標にも重なります。試験溶融された西ヶ谷焼却場の飛灰の汚染レベルは通常の状態で1月115、2月137、3月227、4月125、5月178Bq/kgと云う汚染状況にあります。一方で試験溶融では、山田町、大槌町の木くずを混合した焼却灰が1回だけの実験ですが、静岡市の通常の汚染状態よりも低いと云う結果も出ています。
入口100、出口は少なくも現状を越えないと云う基準250とか、あるいはその通常の汚染レベルを下げるためにも静岡市の通常ごみの組成別の放射性物質の濃度検査の必要になります。

 以上が反対理由でありますが、6月29日、細野環境大臣は広域処理のメドが立ったとして「当面、これらの調整中の自治体における広域処理を確実なものとすることが重要であり、それ以外の自治体との調整は見合わせる」と広域処理自治体呼び掛け収束宣言を行いました。この意味がどのような意味であるのかも静岡市として高いアンテナを立てて把握していく必要があります。最後に市民対話、パブコメを踏まえて、仮に進めていくことになるにしても少なくも静岡市の独自基準、排ガス含めた放射能監視体制を示すなど条件を整えるべきであること重ねて訴えて討論を終わります。