イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「はずれ者が進化をつくる  生き物をめぐる個性の秘密」読了

2021年07月04日 | 2021読書
稲垣栄洋 「はずれ者が進化をつくる  生き物をめぐる個性の秘密」読了

新聞の記事で、著者の著作は入試問題によく出題される代表だということが書かれていた。はて、どんな文章を書く人なのだろうと思って読んでみたが、途中で気がついて過去のブログを見てみたらすでに2冊も読んでいた人であった。やっぱり記憶力がない・・・。

この本については、SMAPの歌を理科系の人が本に作り替えたらこうなるんじゃないかという感じだ。そして、科学の本というよりも道徳の本というような内容だ。
雑草の生存戦略や人間の特性などを例に上げ、人と同じでなくてもいいのだよと説いているのである。
元々この本、「ちくまプリマー新書」という、小中学生向けの新書のシリーズなので定年退職を前にして人と同じでなくても大丈夫と言われてももう遅いと愚痴を言いたくなるだけなのだ。毎日ペコペコ申し訳ございませんと誰彼になく頭を下げ続けてきたのでそんな勇気はどこかへ吹き飛んでしまった。

とりあえずはこの本のまとめを少しだけ書き留めておこう。

人はそれぞれ違って当たり前ということを、すべての生物の共通祖先である単細胞生物、それは「ルカ」と呼ばれているそうだが、そこからこれだけ多様な生物が生まれた。だから、多様性、人それぞれの個性があって当然なのであるという。
また、人の体の構成(目や耳の数、指の本数)は自然界で生きるためのベストな形としてあるけれどもその形は人それぞれだ、性格も違う。それは、そういう個性が人間にとって必要なのだ。

しかし、人間は「比較したがる」「順番に並べないと理解できない」「複雑なものは単純化しないと理解できない」。そうしないと脳が理解できからだ。それが「平均」とか、「ふつう」であるべきということにむすびついてゆく。
一方では、「ガウゼの実験」というものが証明しているように、自然界では「ナンバー1」しか生きのこれない。だから競争というものが生まれる。
普通の中のナンバー1だけが勝ち組というのが人間の世界だ。

ここで著者は「オンリー1」と「棲み分け」という言葉を提示する。自然界では生物は棲み分けをしながらそれそれの場所でナンバー1となって生き残り続けてきたのだ。だから読者にも自分が輝ける「ニッチ」を見つけなさいという。ただ、そのニッチは他の人も狙っている。だから「ニッチシフト」自分でつくり出しながらナンバー1を目指せという。

自然界では負けることは即、死につながるが人間界ではそんな心配はないのだから自信を持てというけれども、実社会ではどうだろう。まずはそれで稼げるかという問題がある。おカネがないというのはこの世界では死よりも辛い。また、この本には人間関係というものがまったく取り上げられていない。嫌なら逃げればいいというけれども、逃げればおカネを貰えなくなる。だから悩みは尽きない。

結局、そんな世界で成功する人間と負け組だと思いながら生きる人間の違いとは、自分は人と違って当たり前と思いながら生きるか、人と比べられたくないからわざと違うように装いながら生きているかの違いなのではないかと思うのである。

多分、こんな答案を書いたら絶対0点だということだけは確かだ。

コメント (2)
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